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Hunting Game.


透き通る様な青い海。何処までも高く吸い込まれそうな青空に浮かぶ雄大な雲。
ここは絶海の孤島。どの大地よりも隔絶された人工の孤島。
その名も「DOOM」
ドームとは名ばかりで、島には人工建築物は一切無い。大した広さは無いものの、島を端から端まで直線に縦断すれば1日はかかる広さだ。島には小高い山と森やジャングルといった密林まであり、池や小川といった自然環境を基に造られている。人工なのは島の土壌だけで、島に生息している木々や小動物は、全て他から持ち込まれた無人島だ。勿論、島製作だけで莫大な金額が動いているし、所詮は小さな島なので地図にも載っていない。
何故この様な島を造る必要があったのかは、この島の所持管理者である大富豪『ジェーン・ドゥ』以外には解らない。名前からして身元不明者だが、その人物像も不明である。

「こんにちは。ようこそお集まり下さいました」
リゾート地の浜辺を彷彿とさせる美しい砂浜に、上陸した3人の来客へ、出迎えの少女達は明るい笑顔と礼儀正しく一礼にて出迎えた。 来客の3人を降ろしたボートは大型船に戻っていった。
いずれも容姿端麗に引き締まった体型、女性的な起伏に富んだ美女が3人。 髪型や身長差はあるものの、一様にメイド服を着て、何れもTVウケする外見をしていた。
来客の男性陣は手にはボウガン。腰にはジャングルマテェットを吊り、迷彩服姿にポケットだらけのベストを着込み、荷物用の鞄を足元に投げ出した重装備だ。 まさしく探検家の様相だ。
この2組の男女はその場には相応しくない相反した出で立ちだった。
「既に道中の船内で御説明されていると存じますが、確認のためここでもさせて頂きます」
恭しく真ん中に立った少女が一礼する。
「趣旨は『ガールハンティング』です。とは言え、ナンパを意味する用語ではなく、この島に潜伏する15人の少女を狩る『リアル殺人ゲーム』です。制限時間は本日正午12時より2日後の正午12時迄となり、それまでに15人の少女を狩り尽くせばお客様方の勝ち、1人でも狩り切れなければ主催者様の勝ちで御座います」
現に男性陣はこのゲームに参加する際、契約書にサインし、15億円相当の金額を主催者に抵当として預けている。その金は一時金でゲームに勝利した場合は全額返金され、別口の参加費用の2億は戻らない。
もし、ハンターが狩り切れずに敗北した場合は、一時金は没収されて手元に戻らないシステムだ。
「捕獲した獲物に関しては、お客様の好きにして構いません。 そのまま殺しても構いませんし、お帰りの際にペットや奴隷として、連れ帰っても良いです。しかし、その際は必ず体内に埋め込まれた生体センサーを摘出する必要があります。 それをあそこに在ります台座に据えて頂ければ、その獲物はハント済みとカウントされます。御質問は?」
「そのセンサーってのはどの部位にあるんだ?」
何処にでもいる青年風の男が小さく挙手して質問した。
「獲物の個体によって違いますが、共通するのは頭です。ですから獲物一人に付き2箇所のセンサーが仕込まれています。頭部以外のセンサーは獲物自身しか知りません。尚、センサー持ちの獲物が台座の受信機に接近した場合、センサーが微弱な電流を発し、苦痛を与えますので生きた獲物が台座のセンサーを持ち去る事は出来ません。逆に台座以外の場所なら可能です」
「つまり、あの台に15人分全員の首を並べれば、俺らの勝ちってこったな?」
「左様で御座います。他に御質問は御座いますか?」
「日を跨ぐ訳だが、宿泊出来る場所はないのか?」
端正な顔立ちの紳士が軽く手を上げて言う。
「この島に建屋は一切御座いません。野宿して頂く以外にないですが、その際、蜘蛛や蛇といったものも島には居ますので、噛まれないように注意して下さい。毒は無いですが危険です。獲物も条件は同じですので、そこは妥協して頂きます」
「水や食料は用意されていたが、それ以外の・・・例えば地図に載っている池や川の水は飲めるのか?」
先ほどの紳士が続けての質問だ。
「池の水は雨水の滞留水なので飲用はできません。川の方は濾過循環装置で流れているので飲用は問題ありません。食料が尽きた場合は各自で食べられる物を探すか、それこそ、獲物の肉を食べても構いません。他に御質問は・・・?」
「開始と終了を伝える伝達方法は?」
無精髭の男が質問した。
「開始時はこちらのブザーが鳴ってハント開始を知らせます。終了時刻前に、獲物を全て捕獲した場合は、台に最後のセンサーを据えた方から、支給された無線機で連絡をして頂けましたら、別行動中の方に伝わるかと思います。もし、事故で無線機が壊れてしまった場合、この浜辺で合流されるのがよろしいかと思います。台座にあるセンサーの数でご理解頂けるかと存知上げます」
「なるほど。台座はここにしか無いから、ここに来れば自然と残り数も分かるって事か」
ハンターの男性陣からは質問は無くなった様子であった。時計を見るとゲーム開始時間も押し迫っていた。
男性陣の緊張感が高まっていった。

ぷぉぉおおおおおん!

ブザーが鳴り、マンハンティングゲームの火蓋は切って落とされた。
男達は足早に荷物を持って、それぞれに歩き出した。
無精髭の男だけが山へ一直線に向かい、青年と紳士は森の方へと入っていった。
青年はマチェットで枝を払い、紳士がボウガンに矢を番えてその後に続いて進む。
因みに彼らの持っているボウガンは、特別に新調された主催者の支給品だ。弦は発射された2秒後に自動で巻き上げられ、セットした矢は下に向けても毀れ落ちない仕組みが導入されている。
銃火器ではない理由は『連発発射をさせない』のと『狩りの雰囲気を楽しむ』ためだ。
矢も一人30本なので、撃ち切らない様に大事に使わなければならない。
もし矢が尽きた場合は、自力で追いかけて捕獲する以外に方法はない。
ゆっくりと慎重に歩みを進める二人の視界を何かが通り過ぎた。紳士は1本の木に狙いを定め、注意深く様子を伺い、ゆっくりとそちらに近付いていく。青年もマチェットを納め、ボウガンに持ち替え、彼我の距離を縮めていった。
紳士が木の横に回り込みつつボウガンを構えた。
背を丸め木の陰に隠れた少女の姿が見えた瞬間、構えたボウガンの矢を発射した。
「ぎゃっ!?」
放たれた矢は少女の脇腹に命中し、深々と体内に突き刺さった。
命中を悟った二人は少女に歩み寄って状態を確認した。栗色の髪の毛を三つ編みにしたお下げの少女は、黄色のビキニ姿に腰にはパレオを巻いていた。
円らな瞳から涙を溢れさせ、矢傷に呻いて蹲っていた。
「た、助けて下さい!なんでもしますから!センサーの位置はお臍の位置にあります!」
二人の男が近づくと、少女は顔を上げて命乞いを始めた。
「何でもするんだ?」
「は、はい!どんな事でも喜んでします!」
「じゃあ、その首をくれ」
青年が少女の背中を踏みつけ、お下げを振って少女の身体は地面に押さえつけられた。少女の顔は蒼白になり苦悶の悲鳴を上げた。青年の振り上げたマチェットが少女の白く細い首に食い込んで赤い華を散らした。二、三度振り下ろされたマチェットは、少女の首をあっさり切断して髪の毛を掴む青年の手にぶら下げられた。
首の切断面から鮮血を流れ出し、少女の口からも溢れた血が零れ出して涙に霞んだ。まだ、辛うじて意識があるらしく、口をパクパクさせてから、舌をダランと垂らして少女は事切れた。
首を失った肢体が荒い呼吸に合わせて背中を上下させ、地面に血泡を広げていた。
「先ずは1ゲットだな」
やれやれと言った軽い感じで、紳士は青年に声を掛けて、青年もその言葉に頷く。
「距離も近いからコレを台座に置いて来るぜ?」
「ああ、私は先に進んで狩りを進めておく。ここからは別行動だ」
言葉を交わして男達は別々の方向へ歩いていった。青年は南へ、紳士は北へ。

西の山へ向かった筈の無精髭男は、開始1分で一人目の獲物を捕獲していた。
少女は腕を後ろ手に縛られ、両足の腱を切られて犯されていた。
「ふぅ、気に入ったぜ。センサー取り出して持って帰ってやるぜ。一生俺の慰み者にしてやろう」
腰を前後させながら、男は砂浜に押さえつけた、メイド姿の少女の身体を揺すっている。
「恐れながら、私の命はここで摘み取られると決めて居りました。不躾ですがこの首、刈り取り下さいませ」
犯されつつも、反応薄く男に向けてそう切り替えした。
「ちっ!しゃーねぇなぁ。他の獲物を探すか・・・なっと!」
男のマチェットが、少女の小さな背中に切っ先が滑り込み、肌蹴た胸の間から飛び出した。
「ごぷ!」と少女は込み上げた血反吐を、きつく結んだ口角から滴らせた。
キュウっと締め付けられた肉棒の感触に男は、瀕死の少女の中へと欲望を吐き出した。
余す事無く少女の肉体を愉しんだ男は、背中に刺さったままのマチェットを引き抜き、少女の髪を鷲掴みに引き上げて、その白い首に刃を宛てた。男は引き切りながら首を後ろへ傾けつつ傷口を開き切る。既に覚悟を決めていた少女は、観念した様子で瞳を閉じ、男の作業が終わるのを無抵抗で受ける。
喉までを掻き切ってから、鼓動に合わせて血飛沫を溢れ出す少女の首筋に、横合いから脊椎を断ち切って、凛とした美しい生首が男の手で持ち上げられた。
ピクピクと痙攣し続ける身体のスリットからは、筋肉の弛緩でオシッコが吹き出して砂を濡らした。
男は少女の着ていたメイド服で、肉棒を拭いてから後始末をした。一息付いて先ほど刈り取った首を
台座に持って行くと、森から出て来た青年に出くわした。
「あれ?その子も獲物だったんだ?」
無精髭の持つ生首と死体を認めて青年は事も無げに聞いた。
「ああ。もしかしてって思って、開始早々呼び止めて捕えたら案の定だったぜ」
「他の2人は?」
「逃げられちまった。まぁ、東側に行ったからそっちに居るんだろうな」
台座の窪みに生首を置くと、窪みの周辺が光って認証OKを示した。それに倣って青年も三つ編み少女の首を置くと、同様に台座は光を放った。
「そっちも幸先いいな?」
「2人で1ゲットだからまだ全然足りないよ。それに数が減るほど発見率は低くなる」
青年の尤もな意見に不精髭も真剣な眼差しだ。
「俺は予定通りに西側の山から北へ行く。そっちは他のメイドが向かった東に行ってくれないか?」
「ああ、元よりそのつもりだった。じゃ、何かあったら無線連絡宜しく」
そう言葉を交わして、再び正反対の方向へ歩き出す男たち。

紳士は息を潜めてボウガンを構えていた。
あれから1時間半と時間は経っていたが、茂みに隠れてじっと正面の少女を見つめていた。
男の視線の先には、首を失ったビキニ少女の矢死体が、逆さまに木から吊り下げられていた。
あれから少女の死体を調べて診たところ、少女が自ら言った様に臍の皮下にインプラントした様な盛り上がりがあった。これを使わない手は無いと判断した紳士は、少女の死体をパラコードで吊るしたのだった。 息を殺し、茂みに隠れて今に至る。
男の耳に草擦れの音が飛び込んできたが、飽くまでも冷静に少女の死体を注視し続ける。
すると、恐る恐る周囲を警戒しながら、少女が姿を現した。
麻色の肌をした快活そうな少女だ。何故か白い体操服とブルマー姿だった。キョロキョロと辺りに視線を走らせつつ、吊られた死体に近付いていく。
ゆっくりとボウガンを構える紳士は狙いをブルマー少女に向ける。
ブルマー少女は死体の臍を弄り、持っていた尖った石で死体の肌に石を突き刺した。どうやら死体のセンサーを抜き取ろうとしているらしい。
抜き取り作業を始めた無防備な背中に矢が打ち込まれた。
トスンと衝撃を受けて少女はよろめいた。そして、視線を下に向け自身の状態を目にした。
胸から飛び出した鏃は正中線よりやや左胸を貫いていた。
鼓動が巧くリズムを刻まない。それより先に頭がパニックに陥った。吐き出す吐息に鉄錆の匂いが混じった。紳士の放った矢は見事に少女の心臓を射抜いていた。
ブルマー少女の膝が笑い、みるみる力が抜けていき、やがてストンとへたり込んで、上体を地面に投げ出した。
観る者が居れば、なんとスマートな狩りだろうかと、絶賛した事であろう。
男は少しの間物音を立てずに、耳を澄まして周囲の気配を探った。
他に誰も居ないのを確信し、射止めた少女の首を切り取る作業にとり掛かった。
少女の死体に残されたセンサーを餌に、獲物を罠にかけた紳士の作戦勝ちだった。
少女が他の死体からセンサーを抜き取り、自身のセンサーだと偽って交換条件を提示すると、予測していたのだ。その心理を見事に突いた作戦であった。
ブルマー少女の首を刈り取ると、紳士はブルマー少女の腹に『罠に嵌ったバカ』と書いてその場を後にした。 紳士は獲物の心理操作を巧みに利用していた。
わざわざそんな事を書かなくてもよかったのだが、念のための用心だった。状況的にビキニ少女の死体の下に、心臓を射抜かれたブルマー少女の死体があれば、それが罠であると推測できる状況だのだ。
獲物である少女達からすると、その周辺は完全にデンジャーゾーン以外の何ものでもない為、この場を離れる意外に選択肢は無いのだ。
紳士の目論見は、この周辺半径1キロ圏内に獲物は近寄らない事になる為、捜索圏から外す事が出来るのだ。終盤をも視野に入れた行動は、男の策士としての領分でもあった。

更に北上を続ける紳士は川原に行き当たった。ぐるっと見渡すと、川の向かいには竹林があり、少し川上に歩けば飛石の様に平らな石が川を横切っている。川自体も底まで30センチと浅く、ズボンと靴を濡らせば渡るのは容易だ。
紳士は逡巡した後、飛石を渡って対岸に渡り、竹林へ向かうと、飛石の前辺りの竹をマチェットの背で折る。竹の繊維は弾力性に富み、節の間をへし折った程度では千切れない。男は川と反対方向へ竹を倒しロープで固定する。竹の撓りで元に戻ろうとするのを押さえるためだ。竹の全長と飛石までの距離を歩数で測り、地面に計算式を書いていく。
荷物の中からピアノ線とロープ、そして水のペットボトルを取り出した。
男は川原で拳大の石を、ロープで数珠繋ぎに縛って5束の石数珠を作った。途中ペットボトルの水で喉を潤す。出来た数珠を竹の先端にロープで長さを調節して固定し、ピアノ線を竹本体の固定ロープに結んで飛石を渡って対岸へ。箸程の丈夫な木を飛石の前に打ち込み、ピアノ線を掛ける。仕上げに水を3分の1残したペットボトルを飛石の前に投げて置く。
コレで罠の完成だ。
本来はスパイクウィップと言う名の罠だが、紳士は有り合わせでアレンジしている。喩えるならばバンブーフレイルと揶揄できた。
ピアノ線に触れると、撓った竹を固定しているロープが外れ、飛石目掛けて石数珠の束が襲い掛かる仕組みだ。飛石を渡ろうとすれば引っ掛かるが、川の中を歩かれたら発動はしない。だが、相手は人間だ。この場合例外はあるものの、人は本能的に脚を無意味に濡らすのを避ける。渡れる場所があるならそこを渡ろうとする。脚を濡らせば走りにくく、逃げる者にとっては致命的だ。
保険に水を残したボトルを捨てている。それに気付いてしまうと、拾いたくなるのも道理だろう。
紳士は荷物を持って予定通り北へ歩き出した。現在地は、丁度島のド真ん中に位置していた。


東へ向かった青年は浜辺に残った2組の足跡を追跡していた。案内役で左右に控えていたメイド姿の娘達のものだった。
足跡は途中で北に曲がり、ジャングルへ向かった様だった。そのまま足跡を辿っていくと、また浜辺に出て来た。そこからまた東へと足跡は続いていく。しかし、こちらは1組しかない為、密林で別れたらしいと推察できる。
迷った挙句、青年は密林に分け入って行った。見通しの良い砂浜よりも密林の隠れ易さから、メイド以外の獲物と遭遇するのも加味した結果だった。
密林とは云え、所詮人工的に植林されたものだから、植物の密生具合が僅かに違った。
マチェットを振り回し、枝払いをしつつ前進すること1時間。休憩をしようと足を止めた時、視界の片隅の木から、木の実が落下するのが見えた。
なんて事無い現象だが、木の実が落ちる前に枝葉が揺れたのを、青年は見逃さなかった。
よく目を凝らすと、木の幹を両サイドから腕が抱えているではないか。恐らく隠れる様に木の幹にしがみ付いて居るのだろう
青年は荷物を置いてから、その木に接近する。
ボウガンを構え、樹上を狙った。
少女の露出した脚がサイトに入って、引き金を引いた。
トスンと、矢は少女の脚を翳めて幹に突き立った。当たらなかったとはいえ、その矢は少女の肉を抉って流血させていた。
「きゃあっ!」
掠った矢傷の痛みで、少女はバランスを崩し、樹上から滑落した。
次弾を装填しようとしていた青年は、それを中断してマチェットに持ち替えて走り寄った。
金髪の白人少女はスクール水着姿であった。右脚が変な方向に向き、右腕も曲がらない方向に折れ曲って、肘の骨が皮膚から飛び出していた。
スク水少女は青年の姿を認めると、恐怖を露わに身震いした。歯の根もカチカチと浮つき、まるで悪魔でも見るかのような、恐怖の表情を青年に向けた。
「い、いやぁぁ・・・死にたくないよぅ・・・」
少しでも青年を近づけまいと突き出した少女の腕が、青年によって切り飛ばされた。近くの木に当たって鮮血を撒き散らして落ちる。切り飛ばした切っ先は、深々と少女の太股に食い込んでいた。
「ひぃ!!」
極端に短くなった自身の腕を見て悲鳴を上げた。青年は痛くて動かせないであろう右腕を掴んで、左腕同様小枝の様に切り落とした。少女は痛みと恐怖から泡を吹いて気絶してしまう。
青年は残虐な笑みを湛え、少女の太股にマチェットを何度となく振り下ろした。
程なくしてスク水少女は四肢を欠損したダルマに姿を変えた。
青年は鞄の中に、ピアノ線とダクトテープがあったのを思い出して、一旦回収に戻った。
荷物を担いで戻ると、スク水少女は四肢の切断面から流れ出す出血で、顔面を蒼白にして瀕死の状態になっていた。青年は急いで応急処置に取り掛かった。
傷口をピアノ線で巻いて締め込み、血管を圧迫して止血し、ファーストエイドキットからガーゼと包帯を出して傷口を塞ぐ、更にその上からダクトテープを巻いて処置を固定した。
短時間での出血とは言え、失った血液量は決して少なくない。少女は貧血状態で意識は戻らず、喩え戻ったとしても意識は朦朧としている事だろう。
応急処置を終えた青年は少女のスク水を脱がし、センサーの埋め込まれた位置をくまなく探した。
胴体部分に無いのを確認して、軽くなったダルマ姿の少女を草の上に置いて、無残に転がった手足を拾って調べると、それはすぐに見つかった。 折れて解放骨折した右掌の甲にインプラントされていたのだった。ポケットから折り畳みのナイフをパチンと出し、手の甲へ刃を滑らし削ぎ落とす。
血脂に塗れた円盤状のコインが少女を認識するセンサーだ。
「意外と小さいんだなぁ」
1円玉ほどのセンサーを摘んで感心する青年。同じ物が少女達の頭骸骨の内側に、埋め込まれているので当然だった。
軽く血脂を拭うと、胸ポケットにそれを入れて荷物を弄ると、ロープを取り出した。
太めの枝に束を投げて枝をくぐらし、ダルマ少女にロープを張り巡らす。見事な亀甲縛りでダルマ少女は縛り上げられた。ご丁寧に膣と肛門に当たる部分に瘤まで用意していた。枝から垂れた末端を引くと、ダルマ少女の小さな体が宙に浮き、枝から吊り下げられて揺れた。
手の届かない位置まで引き上げて、末端を近くの木に括り付け、簡単に解けない様に何重もの瘤で縛り付けた。そして真下には大きな岩がある。青年はそれすら見越してこの位置に吊るしたのだった。
少女を降ろすにはロープを切断する以外に方法が無い。切断に成功しても、少女は固い岩にダルマ少女を落とす結果になるのだ。
大きな蓑虫の様に揺れるダルマ少女をその場に残して、青年は密林の奥へと再び歩み始めた。


 不精髭は斜面を疾走していた。鞄とボウガンは置いて、体一つの軽装で少女の背中を追っていた。
少女は背中の大きく肌蹴たカルメンダンスの衣装を身に纏い、長過ぎるスカートの裾を手で持ち上げて、斜面を下り方向へ全力で走っている。
踵の上がった靴も履いていたが、邪魔になって走りながら脱ぎ捨てて、今は裸足で疾駆するのだった。
無精髭も全力で追いかけて、その距離がみるみる縮まっていく。
当然だが、スカートを握ったまま腕を振って走れない上に、裸足で砂粒を踏み締めなければならない少女には、分の悪い競争であった。
背後に迫る男の足音が、少女のメンタルをも掻き乱す。男が腕を伸ばして摘みかかろうとした瞬間、遂に少女はスカートの裾を踏んで転倒し、斜面を転がり落ちて行って、途中にあった岩に背中をぶつけて止まった。
ゆっくりと近づく男を睨みつけ、石を拾いつつヨロヨロと力無く立ち上がり、交戦の構えをとった。カルメン少女の体は、擦り傷だらけの上に打撲のダメージで既に戦える状態にないが、気丈にもその瞳には燃え盛る闘志が見て取れた。
男はトマホークを抜き放ち、勇敢なカルメン少女に対峙した。この場合はマチェットよりも片手で扱え、投擲にも優れたトマホークを選んだ男の場数が覗い知れる。
ゆっくりと間を詰めて行くと、少女は汗を滲ませて石を持った腕を振り上げた。口の中を切ったのか、それとも内臓を損傷した吐血なのかは不明だが、溢れる血を口角から垂らしていた。
殴って来るか、投石かの出方はまだ分からない。恐らく勝敗は一瞬だった。
先に動いたのは少女だった。
手にした石を男に投げ付け、すぐさま身を翻して逃げ出した。
男は反射的にそれを避けると、血塗れの少女の背中へトマホークを投擲した。弧を描いて飛翔するトマホークは、見事に少女の背中へ命中し、深々と突き刺さった。衝撃に少女は前のめりに倒れて沈黙したのだった。
既に少女は動けないのを見越して、背中に突き刺さったトマホークを蹴り込んだ。
「ぐぇ!」
微かに息のあった少女は肺に残された息を搾り出すが、それでも上から見下ろす男を睨んだ。 正に隙あらば咬み付き兼ねない鋭さだ。
男はカルメン少女の腰を踏みつけたまま、力一杯トマホークを引き抜いた。
そのまま振り上げた少女の首筋に刃を落とす。
パキンと軽い音とともに少女の頚椎は断裂し、睨みつけていた鋭い双眸はクルンと裏返って事切れた。
「ちっ!手間取らせやがって・・・」
それからトマホークを3度振り、カルメン少女の首を切り離した男は、長い髪の毛を毛先で括り、肩に掛けて荷物を投げ置いた場所に戻って行った。

 海は紅く染まり、水平線に太陽が沈み、反対の空には闇が広がり、幾多の星が姿を見せ始め、夜の訪れを誰もが実感することだろう。

『ザー、状況を教えてくれ』
無線から耳に届いたのは、声は紳士のものだった。
『ザー、こっちは西の山だ。俺は今迄に全部で3匹狩った』
無精髭が無線に応えた。最初のメイドと合わせ、カルメンと新たに刈り取ったチャイナ少女の首を携えていた。
『ザー、こっちは中央から東のジャングルだ。俺も3匹だ』
最初のビキニと、スク水ダルマ少女の他に、ナース服を着ていた少女を、簡単な櫓を組んで焚き火を起こし、目の前で生きたまま炙っていた。
裸に剥かれ、手足を後ろに纏められ、組んだ櫓に吊るされて、下から立ち昇る熱と煙に身悶えている。
「殺すならさっさと殺しなさいよー!この首が欲しいんでしょ!あげるからっ、ゲホ、すぐに殺してーっ!!」
少女の悲痛な言葉に耳を貸さず、赤く火傷した腹と乳房が、身悶えによって揺れる様を愉しむ青年。
『ザー、そっちはどうなんだ?』
再び無精髭の声が紳士に向けられて発信された。
『北側のこっちは4匹だ。北側は恐らく全て狩り終わった筈だ』
紳士はブルマー少女の他に、バンブーフレイルの罠に掛かったセーラー服少女をゲットし、赤いドレスの少女を射殺し、そして今、奴隷志願と言って自ら接触して来た修道服少女と共に居る。
正直4人分の生首を持って歩くのは億劫だった為に、少女の申し出を受け入れた。
彼女のセンサーは直腸にあると云う。排出させれば傷を付ける必要はないので、紳士にとっては都合も良かったのだ。もし、仮にそのセンサーが他の獲物から盗った偽者であった場合、彼女の首を台に据えれば済むだけの話だった。
そして、彼女を有効に使わない手は無いとも思っている。紳士は先ず彼女がこの島から連れ出す条件を確約する代わりに、散らばった獲物達の情報と、自分に全面協力する事を条件とした。
違反した場合は即座に反逆として、嬲り殺すと宣言した。
少女にとってはそれでも好条件であったため、忠誠も込めて紳士に他の獲物の情報を正直に話した。
身形や特徴と最新の潜伏方向を提示し、紳士はその情報を他の2人の情報と照らし合わせた。
『ザー、・・・すると、西側にチアの格好をした獲物が未だ潜んでいるな?』
無精髭が紳士の情報を素に消去法で聞き返す。
『ザー、すると、カルメン姿とチャイナ姿は捕まえているのか。数が合わなくないか?』
『ザー、最初の案内メイドも数の内だった。真ん中は捕まえたが、左右の2匹は逃しちまった』
『ザー、台座で合流した時にコッチで追ってる。問題ない』
無精髭の言葉に青年もフォローの言葉を続けた。
『ザー、了解した。では、チアの方は任せた。残りはメイド2とOL、バーテンは中央から東側となる。私もここから川伝いに東へ進む』
『ザー、了解した。チアを狩り終えたら台座に戻る』
『ザー、了解コッチもあと1匹狩ったら一度台座に戻る』
これで、お互いの交信は途絶えた。
「どうやら君の情報は正しかった様だ」
満足気な表情を修道女に向けると、嬉しそうに微笑んだ。島から生きて出られるのを実感している様子である。しかし、彼女の苦難は終わった訳ではない。
川原で焚き火を起こし、休憩する事となる。
少女が薪を集めて火を点けている間、紳士は川上で何やら作業している様子が気になりはしたが、少女は命令された事を、懸命に遂行しなければならない。
焚き火が出来上がる頃、紳士も戻って来た。手には竹串に刺さった肉だ。それを焚き火の縁に刺して炙り焼く。
「あのぅ…もしかして、このお肉は…」
「新鮮な雌豚の肉だ。しっかり血抜きして洗っているから問題ないはずだ」
そう言いつつも、紳士は荷物の中から携帯食料を取り出して、自分だけ食べ始める。 つまり、男の用意した『雌豚肉の串焼き』は少女用の食事であると示していた。
肉の焼ける香ばしい香りと、脂が染み出し、直火に触れて爆ぜる様は、美味しそうに見えた。
ゴクリと生唾を飲み込む修道女(姿の少女)は、倫理観に葛藤する反面、空腹に打ち震えている。
「その程度の覚悟で私の奴隷になろうと思っていたのかい?」
「う…」
何の肉かは想像するに明白だ。川上にはセーラー服を着ていた首無し死体が転がっているだけなのだから。そして、少女の傍らには3人分の生首が置かれ、セーラー少女の開いたままの目が、自分を見ている様に感じて震えた。 これは少女にとって試練であった。
人間の道徳を捨て切れるかを、主となる男に試されているのだ。
葛藤の末、良く火の通った串肉を齧って食べた。何日か振りの食事に少女の舌はうま味に踊る。
一度口にしてしまえば、後はた易く完食してしまう。生きる事を諦められない彼女には、最善の選択だっただろう。 頭には『美味しい肉』と刷り込みするしか平静を保てなかった。

密林の焚き火は危険が伴うのだが、青年にはそういった認識は皆無であった。寧ろ、焼け野原にして、獲物を燻り出そうとも思っていた程だった。
三角に組まれた櫓に吊るされた少女は、既に瀕死の重体であった。力無く頭を垂らし、炙られる火に焼かれるまま、抵抗の動きも見せなくなった。
身体の前面は焼け爛れ、少なかった陰毛も焼き払われてしまっている。
「コロシテ・・・コロシテクダ、サイィ・・・オネガイ、デスカラァ」
か細く呟いた懇願は、一分一秒でもこの生き地獄から、逃れたい一心で塗り潰されていた。
その様を青年は、無邪気な子供の様な目で眺め、少女の懇願には一切耳を傾けないでいた。残酷な上、一切の容赦をしない青年の意図は、誰にも誰何する事は出来ないであろう。
暫くして、少女の炭化した腹が破れて、内臓が毀れ出し、火中に落ちて直火に晒されると、少女は発音不可能な叫び声を発して、心を闇に落としていった。
こうして、少女は生まれて来た己の生を悔やみ、十数年の短い生涯を散らすのであった。
青年はマチェットでロープを切って、少女を火中に落とし、素早く首を切断すると、溢れ出した鮮血が焚き火の火を消化していった。 青年は一応用心の為に折り畳み式の簡易スコップで、焚き火に土を被せて、火事にならない措置をしてから、その場に横になって仮眠をとり始める。

空が白み始め、小鳥の囀りが夜明けを告げる頃、青年は目覚めた。
鳥の囀りで目覚めたのでは無く、微かな足音と人の気配で目覚めたのだ。そのまま横になったまま、耳を澄まして音のした方向を確かめる。
カサリと草擦れの音を聞き取り、ボウガンを手繰り寄せ、矢を番えて準備を行うと、また草擦れの音がして、距離をも捕らえた。
約20mの距離が縮んでいるらしく、青年の方に近付いている様だった。
そのまま、沈黙して引き寄せる。
どうやらナース少女を焼いた匂いに、引き寄せられているらしい。
徐々に距離が縮んでいくのはどうやら、青年が雑草の下に横たわっている事に気付いていない様子だ。彼我の距離は10mを切った時、青年は飛び起きてボウガンを構えた。
目に飛び込んだのはショートカットのメイドが驚いた様子で目を丸くしていた。それだけを認識すると同時に引き金を引き絞った。
スタンと音がして、矢はメイド少女の左肩を背後の木に縫い付けた。
「うぐっ!」
苦悶の表情を顔に貼り付けて呻く少女に、青年は素早く番えた矢の2射目を放った。
右脇腹に命中し、メイド少女の身体は完全に、木に射付けられてしまった。
にやりと邪悪な笑みを浮かべた青年は、再び番えたボウガンを少女に向けた。
「気付かなかった私の負けです・・・どうぞ、んきゃっ!」
冷静に紡がれる少女の言葉を無視して、青年は3射目を放ち、エプロンスカートに隠れた左太股を射抜いた。
更に矢を番える青年を見て、メイド少女はさすがに取り乱し始めた。
「え?ちょ…まさか」
スタン!
右胸に命中した矢が少女の肋骨を粉砕し、肺を貫通させ、肩甲骨の下から飛び出して、木に減り込んだ。 肺に血液が溢れ、呼吸困難に陥る少女を尻目に、次の矢を装填する青年の顔は嬉しそうだ。
「この首が、ゴホ!欲しいのでしょう!えふ!差し上げますので、切り取り、ガハ!下さい!」
ナース少女を火にかけていた時同様、青年はメイド少女の言葉を無視した。
ダン!
ズダン!
スタ!
次々に発射される矢が、無抵抗なメイド少女を貫いていく。
「んぐ!おげぇぇぇ!」
幾本もの矢の猛襲に少女は、内臓器官に痛烈な損傷を受けて、血の混じった嘔吐をした。
噎せ返る鉄錆た血の臭いと、消化物の混じってない吐瀉物の臭いが、少女の脳を掻き混ぜて、更なる嘔吐感を引き立てた。
ぐったりと脱力し、頭を垂れ下げたメイド少女は、既に瀕死であった。
青年は矢の数が残り2本になっているのに気付き、ボウガンを置いて、マチェットに持ち代えてメイド少女に歩み寄った。 項垂れた少女の髪の毛を乱暴に掴んで引き上げると、光を失いかけた胡乱な瞳が青年に向く。 その目には何も映していなかった。
青年は手にしたマチェットを、少女の首に叩きつけて、切断にかかった。
深く入り込んだマチェットを引き抜くと、切断口から真っ赤な鮮血が噴出する。再度叩き込んだマチェットは、少女の未発達な頚椎を難なく粉砕し、幼さの残る身体から永遠に離別した。
青年の手には、鼻と口から鮮血を垂らした、少女の生首が携えられた。
「はぁ~。楽しかった」
青年は荷物を纏めて、スタート地点に戻って行った。

 時計の針は午前8時を指していた。
不精髭の男は山の山頂から北東に向けて捜索をしていた。下り道を歩いていると、右手に光が見えて足を止めた。木々の間を縫う様に朝日が、水面に反射して光っているらしかった。
男は地図を確認し、それが池である事を知った。男にとっては未踏のエリアなので行ってみる事にした。開始直後に捕まえたメイドの話では、ここの水は循環しないので、飲めないと言っていたのを思い出した。
池の水は緑色に濁り、池というよりも沼と喩えられ、水底がどの位あるのか検討がつかなかった。
外周を歩けば5分で一周できる程の大きさで、ヘドロでも溜まっているのか、息抜き用の笹筒が水面から飛び出している。
「ち、頭だけとは言え、こんだけ持って歩いてりゃあ、さすがに重いな・・・」
独り言を呟いて、荷物を降ろして休憩がてら横になった。 木の葉を舞わす穏やかな風が吹いて肌を撫でられるのが気持ちいい。
無精髭が少し伸びた男が違和感を覚えた。はっきりとした変化ではなかったが、どこかおかしな雰囲気がして、緩めていた気分を引き締めた。
再び風が吹いて、舞い飛ぶ木の葉が池に落ちていくなか、木の葉の一枚が笹筒の穴に吸い付いた。目を凝らすと、次の瞬間には吸い付いた木の葉が吹き飛ばされて、水面にヒラヒラと落ちたのだ。
男の違和感は確信に変わった。チアの格好をした獲物は池の中だと。
男は荷物の中からロープの束をベルトに挟み、生け捕りの準備を始めた。
男はボウガンを構えて、シュノーケル代わりの笹筒を狙って発射したが、的が小さいのでそうそう当たるものでもなかった。何度か発射したが、当たらないので、割と大きめな石を竹筒周辺に投げ込むと、竹筒は前後左右に揺れ動いた。獲物の位置を特定した男は次々と石を放り込むと、その一つが竹筒に当たり、支えを失ったのか、水面に浮き上がって波紋に流されていった。
ボコボコと泡が水面に浮かんで弾けると、暫くして長い黒髪の少女が浮き上がってきた。
「ようし、無駄な抵抗はやめてコッチへ来い。狙っているからいつでも射殺せるぞ」
「・・・」
少女は状況を把握すると、無言で男の指示に従った。
紳士の情報通りに、ずぶ濡れだがチアユニフォームを着ていた。 地面に上がると、ふやけた両手を挙げて無抵抗を示した。
「全部脱いで裸になれ」
「・・・」
首を少し傾げる少女の様子は、言葉が通じていないらしかった。実際、長い黒髪少女の顔立ちは日本人特有であった。
「ちっ!俺はこんなんばっかりかよ・・・」
そう言いながら、少女を地面に組み伏せさせて、両手を腰の上に置かせ、足を蹴って開かせた。
警察官が犯人検挙の際にさせるポーズである。 このポーズは犯人に咄嗟の行動をさせない効果がある。両手が腰の上にあれば起き上がる際、地面に手を突かなければならず、足を開いていれば、横に転がり起きるのも出来ず、膝立ちで起きるにも3モーションと時間がかかる。ただ起き上がるだけで、数モーションの予備動作を強いられるのだ。
 男は用意していたロープで手首を縛ると、ナイフで服と下着を引き裂いた。
ロープを1mに切って両端を両足首へ、間隔40センチにして括り着けた。
こうすると走る時に地面に接した軸足を、蹴足で引っ張り上げて転ぶのだ。それでも用心の為に手首を縛ったロープの末端を、自分のベルトに括っておく念の入れようだった。
少女の脇を抱えて立ち上がらせると、切り裂いたチアユニフォームは地面に落ち、少女は全裸を晒す事となった。 恥かしそうに身を捩る少女だが何の効果もない。
男は髪の毛を括った少女達の生首をチア少女の首に掛けた。冷たい生首の感触に少女は恐れ慄いた。
自身の鞄のスリングベルトを襷掛けにし少女に運ばせる。
そして、行くぞと、ジェスチャーして歩かせた。向かうは南のスタート地点であった。

 同じく修道女を連れた紳士は、西の中央から東へ流れる小川の、少し北側を東に向けて歩いていた。
無精髭と同じく、少女に刈り取った首を運ばせているが、自分の荷物鞄までは持たせていない。 それでも首3つは重たいらしく、額に汗して呼吸を乱していた。
ボウガンを携えた紳士は、辺りに首を廻らしながら、時に後ろを振り返るなど、感覚を研ぎ澄ませて進んでいた。
30分後、紳士は修道服の少女を呼び止めて言った。
「疲れただろう?ここで休んで居てくれ、その間ぐるっと見回りをしてくる」
実際少女は汗だくで、疲労が顔に滲み出ていた。
「え?ああ、スミマセン。へばってしまって申し訳ないです」
男は鞄を置いて紳士は木々の立ち並ぶ林に消えて行った。
生首をなるべく直視しないように置くと、その場にへたり込んで大きく息を吐いた。
少女にとっては、今が逃走のチャンスではあったが、少女はそれを考えていなかった。仮に逃走したとして、男達を負けさせれば、この生首の様に必ず殺されるだろう。
もしかしたら、もっと残酷な殺され方を、されるかも知れない。
ならば、紳士的な男に服従していれば、少女の生命だけは安泰なのだった。男にとってメリットのある存在としてアピールしなければならなかった。
少女は考えた。 今、男に協力できる事を・・・。
「体力を回復して、それから、なんだっけ?・・・あ!ウンチしてセンサーを渡さなきゃ!」
根本的な保身を思い出した少女は、男の居ない間に排泄を済ませる事にして、茂みに半分隠れて息んだ。

 一方、紳士は北に向かって走っていた。
今、修道女姿の少女が逃走すれば、相当な時間のロスとなるので気懸かりではあった。
しかし、コレまでも逃走のチャンスはいくつもあったので、男は少女が本気でこの島を出たいという思いを、信じていいと判断している。
それよりも、今はハンティングに集中し、獲物を追い込む事に頭の中を塗り替える。
走り続ける男の視界に、少女の後ろ姿を捉えた。正確にはずっと視界に入れて移動していたのだが、北側にコースを変えたため、足手纏い兼、荷物持ちの修道少女を置いて来たのだ。
少女の後ろ姿はオフィースレディー(OL)だった。男の追跡に気付かず、進行方向をキョロキョロと何かを探している様子だった。男は音を立てない様に接近するが、まだ直線距離で200mはある。 再び移動を開始したOL姿の少女は、林を抜けて海岸に出た。
紳士は林の影で様子を見ると、少女はテトラポットの隙間に潜り込んでいるのが見えた。
(なるほど、ここにテトラポットがあるのを、他の獲物から聞いて来たのか)
少女の姿が見えなくなると、紳士は呼吸を整えながらテトラポットに歩いて行った。
トマホークを持ってテトラの隙間を覗くと、首元で小さな三つ編みを二つにした少女と目が合った。
蛇に睨まれた蛙の様に硬直し、脂汗を垂らしはじめたOL少女。
「お前のセンサーは何処だ?」
静かに少女へ問い掛ける紳士。
「・・・あ、あああああ、頭と・・・ししししし、子宮内です!」
パニック状態の少女。
「解体が面倒そうだな」
「え?」
男が少女の顔面を拳で殴って、少女は突然のパンチに反応出来ずに鼻血を散らした。 よろけた少女の頭を鷲掴みに、勢いつけてテトラに組み伏せた。
「きゃ!」
少女が悲鳴を発した次の瞬間には、細い首にはトマホークが食い込んでいた。
噴出す鮮血にもお構い無しに、トマホークを振るい、先程まで快活に動いていた少女は首を失い、テトラポットの隙間の陰に消えていった。
少女の意識は何処までを認識したであろうか?紳士の手際の良さが少女の死を、不明瞭なものにしてしまった様に感じた。
血に塗れたトマホークを塩水で洗い、ホルダーに戻してOL少女の首を抱えると、修道少女の所へ足早に戻っていった。
 残りの獲物は2人・・・長髪のメイド少女とバーテンダー少女だった。

 
「うう、臭い・・・」
排泄を終えた修道服の少女は、自身の排泄物を前にして鼻を摘んだ。
拾った枝で大便を解きほぐして、目的のセンサーを探し出す作業に悪戦苦闘している。
「あ!あった!」
1円玉程のコイン状のセンサーを、小枝を駆使して見つけ出したのだった。
表面に付着した便を拭き取るのをどうしようかと思案し、熟考の末、自分の穿いていたパンティーで拭った後、自分の尻を拭いてそのまま捨てた。
指に挟んだセンサーを嗅いで苦い顔をする少女。どうやらまだ便臭が染み付いていたようだった。
そこへ紳士がOL少女の首を携えて戻って来た。
「お?休んでいて良かったんだぞ?」
鮮血滴る少女の生首を目にし、修道女少女は恐れ慄いたが、男の声を聞いて何とか平静を保つ事が出来た。
「あ!あの、こ、これ取り出しました!」
そう言ってセンサーを男に見せる。
「ほぅ?出していたのか?良い心掛けだな。ついでにソイツを口の中で舐めて綺麗にするんだぞ」
「え?」
男の言葉に驚愕し戸惑う少女。その様子をニヤニヤと伺う男は、やはり何かを試している節があった。
男にとっては、ソレが本当に彼女自身を認識するセンサーなのを今は確認できないのだ。
その上で彼女の反応を見ている他なかったのだ。
彼女としても、自分が男の所有に値するかを、試されている様に感じていた。
怖ず怖ずと口に運び舌を突き出して、瞼をきつく結び、震える手でセンサーを口に入れた。
「飲み込むのは勝手だが、その場合は生きたまま腹を引き裂いて取り出すか。代わりに首を刎ねなければならんからな。注意するんだぞ」
新たに増えた荷物を首に掛けさせて穏やかな口調で少女を諭した。
「ふぁい」
コロコロと口の中でセンサーを転がし、雑菌だらけの苦味と臭みに顔をしかめる少女。
紳士は荷物を持って歩き出すと、少女も続いて生首の束を肩に掛けて男の背を追う。
目指す先はスタート地点だ。


 青年がスタート地点に戻ると、無精髭の男は両手足を縛られた、全裸の日本人少女を犯していた。
青年は既視感を覚えつつも、台座に少女達の生首とセンサーをセットし、男に声を掛ける。
「お楽しみも良いが、そろそろ時間的にヤバいぜ?遊ぶならさっさと片付けてからにしようぜ」
「そういや、お前日本語喋れるか?」
腰を振りつつ青年に尋ねる無精髭。
「少しなら解るけど、意思疎通の会話は無理だ。何せ日本語は難しくて」
「なら、コイツにセンサーの場所を聞いてくれ。出来ればコイツを持って帰りたい」
「ああ、そういう事・・・」
青年は少女の前にしゃがみ込んで乱暴に髪を掴むと、顔を引き上げて少女に問い掛けた」
「センサー、どこにアル?」
スク水少女から抜き取った、コイン大のセンサーを見せた。
「あ、ああ、脚に・・・」
犯されつつも苦悶の表情で応える少女。
「レッグだってよ」
「そうか。なら切り取ってやるか・・・こんなもんは穴さえありゃ充分だからな」
無精髭の言葉に青年は、何か思い付いた様にニヤリとした表情をした。
「それなら面白い提案がある」
「なんだそりゃ?」
少女に中出しをかましてから一物を引き抜きながら訊ねる。
「俺も四肢を切断した獲物をジャングルに吊るしてあるんだ。ソイツがまだ生きていれば、そいつと芋虫レースをさせないか?」
「ほぅ?手足の無い身体でレースを強要か。面白そうだな」
「だろ?だからさっさとノルマをこなしてソレしようぜ?」
「そうだな」
無精髭が青年の提案に同意すると、少女を身動き出来ない様に縛り直して距離をとったロープで台座に括り付けた。
その間に青年は紳士に向けて無線で現在の状況を連絡をした。
『ザー、すると、残りの獲物は長髪のメイドとバーテンダーの2匹となるな。今私もそっちに向かっている途中だ。荷物が多くてな』
『ザー、了解。こっちは先行して二人で東に向かう。それと、日本人の獲物を捕らえているが、勝手に殺さないでやってくれ。土産らしい』
『ザー、了解した』
無線連絡を終えて二人は荷物を置いて東に向かった。
残り時間を考えての、移動し易さを優先した結果でだった。
ボウガンの矢を無精髭に渡し、代わりに青年はトマホークを受け取って2丁携帯にした。
「さぁて、サクっと終わらせようぜ」
意気揚々と二人はジャングルに踏み入って行った。途中でスク水ダルマ少女を吊るした場所に戻って状態を診て見ると、意外と元気に男達へ罵倒を浴びせる少女の鼻っ柱をブン殴って大人しくさせ、そこから二手に分かれて捜索を開始した。 無精髭はそのまま東へ行き、青年は少し北へ行って小川の南側を東へ行った。絨毯捜索の構えだった。


 腕時計をみると、時は午前11時を指していた。
 台座に戻った紳士は、修道女姿の少女から刈り取った少女達の生首とセンサーを受け取って台座に据えた。少女の排泄したセンサーは、偽物ではなかったと証明されて、修道女はホッと一息吐いた。
紳士も満足気に残り二つの台座の空きを眺めている。
その時、無線が入った。声の主は無精髭の男だ。
『ザー、バーテンの首を取ったぜ。そっちはどうだ?』
声は青年に向けられていた。
『ザー、ああ、こっちもメイドを捕らえた所だ。急いで戻らないと時間的にヤバいぜ』
『ザー、急いで戻る』
そんな二人のやり取りに紳士は割って入った。
『ザー、こっちは台座に居るんだが、出来る事はあるか?』
応えたのは青年だった。
『ザー、島の中央部位の位置に獲物をダルマにして吊ってるから、悪いがソイツを回収してくれないか?』
『ザー、了解した』
『ザー、あと、台座に括り付けている獲物は脚にセンサーがあるらしいから、時間があったら切り取っておいてくれないか?そいつもダルマにする予定だから、手足は切断して構わん』
無精髭が交信に言葉を重ねた。
『ザー、了解したが、とりあえず後回しにする』
交信を終えると、修道服少女に向き直った。 少女は台座に並ぶ10もの少女達の生首を、空虚な瞳で見つめていた。
「おい、移動するぞ」
放置されていた荷物用バッグの中身を全て出しつつ少女に命じた。 少女はハッと我に返り慌てて立ち上がると紳士に付き従った。

 ジャングルを歩いていると、すぐに目的のモノを見つけることが出来た。
亜麻色をした髪のダルマ少女が、木から吊り下げられていた。 近くの木には木の幹に打ち付けられた無残な死体と、簡易櫓の下には土を被った死体があった。 何れも首を失っていた。
紳士は少女を吊ったロープに、持参したパラコードを結び付けて、修道服の少女に引かせた。
ぎゃいぎゃいと喚くダルマ少女を無視して作業を続ける。
ダルマ少女が岩の上から反れるタイミングで、幹に括り付けられたロープを切断した。
「っきゃ!」
ダルマ少女が、修道服少女に向かって落ちてきた為、思わず悲鳴を上げてしまった。
辛うじて受け止め、尻餅をついて地面に転がる少女。
痛みの為か、罵詈雑言を男にぶつけるダルマ少女を、持って来た鞄に詰め込んで修道服少女に持たせた。
「さ、急いで戻るぞ」
ダルマ少女の罵倒に少しイラついた表情を浮かべて静かに言い放った。

 紳士が台座に戻って、素っ裸で括り付けられたチア少女の両足を切断し終えた頃、青年が髪の長いメイドを連れて戻って来た。
「お、回収の手間をとらせてしまって申し訳ない」
周辺の状況を把握した青年は、紳士の後ろ姿に声を掛けた。その声に振り向く紳士の目にメイドの惨状が飛び込んだ。
メイドの顔はボコボコに殴られ無残に腫れあがり、左腕を欠損して鮮血を滴らせていた。 佇まいから、服で見えない部分も殴打されているらしく、服に血が染み込んでいるらしかった。
青年はメイド少女を蹴り倒してから、呻く少女に一瞥くれて、台座にメイドのものであろう左腕を置いた。淡い光で認証が完了すると、青年は砂浜で呻くメイドに再び蹴りを入れて悶絶させる。
そのやり取りに構わず、紳士もチア少女から切断した脚を、台座の窪みに置いて認証を完了させた。
チラリと腕時計を見ると、11:51を指していた。
「遅いな・・・」
独り言を呟く紳士。視線の先では執拗にメイドを蹴りまくる青年と、悲痛な悲鳴をあげるメイド少女。
反対に台座から距離を置いて佇む修道服少女は、青年の暴力に怯えた目で成り行きを見守り、バッグに詰め込まれたダルマ少女も、周囲の音と空気から状況を察して沈黙している。
自分に矛先が向くのは得策ではないと判断したのだろう。
 ガサガサと茂みを掻き分けて無精髭が戻って来た。
「わりぃ、遅くなっちまった」
言うなり、台座に駆け寄って最後の窪みに少女の生首を据えた。全ての窪みが明滅すると、台座の側面に文字が浮かんだ。
『your win.』
「ふぅ・・・どうやら間に合ったな」
「ああ」
「お疲れだったな」
一様にゲームの勝利を実感する。
「迎えが来るにはまだ時間がかかる様だな」
「だろうな・・・おう、お前さんの言ってたレースやろうぜ」
「ああ、いいねぇ」
「レース?」
紳士だけは話の意図が、いまいち掴めていないのだった。
「ああ、コイツとソイツを競争させようって話だ。悪いが手伝ってくれないか?」
「いいとも」
チア少女の恐怖に慄く顔が、修道少女の目に焼きついてしまい、顔を背けて耳を塞いだ。
すると、ぐいっと腕を掴まれ捻られると、反射的に悲鳴を発した。
「なぁ?コイツもレースさせようぜ」
青年が嬉しそうに修道服少女の腕を捻りあげていた。
「ああ、止めてくれ。意外と従順だから働かせようと思っているんだ。ここで潰すには惜しい」
紳士の静かな口調に、無言で修道少女を解放する青年だった。 さすがに他人の財産に手を出すほどの外道ではなかったらしい。
 スラリとトマホークを抜くと、青年はズタボロの長髪メイドに刃を振り落とした。
深々と右腿に食い込んで、鮮血と絶叫を上げた。
刺したトマホークをそのまま残し、ナイフに持ち替えてメイド服を引き裂き下着姿にした。
青年は脚に刺さったトマホークを無理やり引き抜き、同じ傷へ何度となく振り下ろすのだった。 青年の嗜虐に満ちた表情を見るに、誰もが恐れ慄く事だろう。
程なくして、長髪メイドの四肢は永遠の別れを告げて、砂浜に鮮血を染み込ませていた。
「おおい、悪いがこっちも止血頼むよ」
「ん?ああ、わかった」
四肢を欠損したチア少女の止血処置を終えた紳士が、青年の呼び掛けに応えて駆け寄った。
チア少女は四肢を奪われたショックで気絶していたが、無精髭はそんな少女の容態など意に介さず、少女のアナルに男根を捻じ込んで犯していた。
対するメイド少女も失血と過度の肉体的苦痛によって意識を失っていた。 その凄惨な光景を修道少女は目撃してしまい、恐怖で歯の根をカタカタと鳴らし、涙を溢れさせていた。
紳士が青年の提案に乗っていれば、あの様な姿にされていたのは自分なのだ。
最初に出会ったのが紳士であったのが、少女にとってはせめてもの救いであった。 もしも最初に青年に接触していれば、鞄の中に詰め込まれた少女は自分だったのだから・・・。否、もしかすると台座の上に、首だけ陳列されていたかも知れなかった。
この島の獲物として唯一無事な少女は、紳士の人となり一点で無事に居られているのだった。
 青年は失神してしまったメイドの腹を蹴り付けると、痛みで強制的に正気を取り戻した少女は、苦悶の悲鳴をあげて身悶える。
「寝てんじゃねーよ」
メイド少女には、冷たく見下ろす青年の顔が、どこまでも残忍に映った事だろう。
「もう、殺して下さい!こんな・・・」
出迎えた時の凛とした少女のイメージを崩すかの様に、か細く消え入りそうな弱々しい声を涙と嗚咽で懇願した。
しかし、相手は残虐非道な青年だ。 そんな少女の切なる思いを蹂躙するのを楽しんでいるのだ。
「お前は死にたいのか?なら、これからするレースに勝ったら、お前の願いを叶えてやる」
そう言ってから鞄に詰まったスク水少女を取り出して砂浜に放り出した。
受け身の取れない不自由な身体で浜に転がった少女は、再び青年に罵倒を浴びせかけた。 そんな少女の腹に容赦の無い蹴りを入れて黙らせると、髪の毛を掴んで引き上げて顔を向かせた。
「お前も苦しまずに殺して欲しいのか?それとも違った願いがあるのか?」
静かにそう問うと、今までの会話を聞いていたスク水少女は、押し黙って思考を巡らせ始めた。
「・・・何でもしてくれるのね?」
「ああ、レースに勝ったらだけどな」
あっさりと頷く青年に、意を決した言葉を紡ぐ少女。
「なら、介護付きで何不自由無く一生私の面倒をみて貰うわ!」
「ほう、なかなか考えたな。いいだろう・・・但し、勝ったらの話だがな」
「・・・負けたらどうなるって言うの?」
「俺の気分次第でどうにでもさせてもらうさ。飽きるまで嬲り物になるだろうな」
その言葉はメイド少女にも言い含んでいる様であった。
スク水少女だけでなく、メイド少女も顔面を蒼白にしていた。
「なるほどな。馬の鼻先に人参か・・・」
チア少女の体内に射精を終えた無精髭が感心したように小声で呟いた。そして、未だ失神している自分のダルマ少女の頬を打って無理やり正気に戻す。 目を覚まして自分の状態を確認すると、顔色を変えて泣き出した。
そんな彼女を抱えて青年の側に運ぶと、砂浜に少女を転がした。 手足の無いダルマ少女が3人並べられ、鼻先に線を一本引いて示す。どうやらスタートラインらしい。
そして15m程先にラインを引いてゴールを表示した。
その間、青年はチアダルマに片言の日本語で説明をしている。
どうやら釈然としないながらも、競争させられる意図は伝わった様だった。 そして、負ければ最悪の仕打ちが待っているのも、少女には容易に想像できた。現に先ほど手足を奪われたばかりでなく、女性器として扱われたばかりなのだから。
「レディ・・・ゴー!」
青年の合図で少女ダルマ達によるレースの幕が切って落とされた。
クネクネと身体をくねらせて砂浜を這うダルマ少女達の姿は観ていて滑稽だった。 発案者の青年はゲラゲラと大笑いで転げ回り、無精髭と紳士も芋虫の様に這う少女達を、ニタニタと見下した笑みを浮かべていた。
しかし、当の少女達にはそんな余裕など微塵もないのだ。
効率的な移動手段を毟り取られた彼女達は、芋虫の様に背筋運動で少しずつ距離を縮める他ないのだが、スク水少女は妙策を使って少しだけ早かった。 横転運動で転がっているのだ。
ころりころりと慎重に砂浜を側転で転がって、メイドとチアとの距離を抜け出したのだ。
それでも腕の切断箇所が痛むらしく、苦痛に顔を歪めて耐えていた。 痛みを堪えてくるりと側転すると、首に冷たいモノが当たった。 横目でソレを見ると、砂浜に突き立てられたマチェットだったのを認めると、スク水少女は狼狽した。
「ちょっ!何ぃ~?なんでこんな・・・妨害しないでよ!」
非難の声を上げるスク水少女に構わず、ニヤニヤとその様子を眺める男達。 チャンスとばかりに差を縮めるチアとメイド。
「ちょっと!コレどけてよ!進めないじゃないの!」
スク水ダルマは更に言い募るが、男達は腕組みでその様子を眺めるだけで動こうとはしない。
一向に進展しないままダルマレースは横一列に戻ってしまった。
スク水ダルマは追い付かれたと判ると、身体をくねらせて突き立てられたマチェットを迂回してチアとメイドに遅れをとった。
一心不乱にゴールへと這うメイドの表情はどこか狂気染みていて、チアの方も髪を振り乱してゴールへと懸命に身体をくねらせてゴールまでの距離を縮めている。
メイドダルマは余程殺して欲しいらしい。チアの方も意図は分からないが懸命にレースを行っているのは律儀なものだった。
殺処分が目当てならレースに参加せずに、使えない肉ダルマになりきっていれば、趣を削がれた男に残酷な殺され方で確実に死ねるのは明白だったのだが、そこまで思い至らなかったようだ。
第一、主催である青年が、そんな口約束を守ると本気で信じているのが、青年には可笑しくて堪らないのだった。
レースも終盤。リードは以外にも長髪メイドで、続いて日本人チア、少し遅れて気位の高いスク水となった。
と、ここで日本人チアが進行を止めた。力尽きたのか諦めたのか、荒い息を吐いて仰向けに寝転がった。 その姿をスク水は見て取ると、一気に身を捩ってラストスパートをかけて、メイドの後を追う。静観していた不精髭が煙草を吹かしながらチアに歩み寄り、脇腹に硬質プラ入りの爪先で蹴り上げた。短い悲鳴とともに、小さな肉体が宙を舞い、砂浜に叩きつけられて転がった。
チア少女は白目を剥いて失神していた。
「ゴールだ」
静かにだが、はっきりと聞こえる声で無精髭は呟いた。
「ああ、なかなか面白かったな」
青年も同意して、足元に這い寄ってきたメイドの頭を踏み付けた。
意識を失って失禁しているチアは砂浜に引かれたゴール線を越えていたのだ。
「ちょ!どういう事よ!!そんなの無効よ!認めないわ!」
スク水が抗議の声を上げたが男達の冷たい視線に射抜かれてゾッとした。
「元々ルールなんてねーんだよ。ゴールしたらそれで終わりだ。残念だったな」
砂に顔をめり込ませたメイドを力いっぱい踏みにじり、バタバタと身体をくねらせるメイドも意に介さず冷笑し、スク水ダルマの言葉を切って捨てた。
「予想以上に面白かったぜ。本気でやってるお前らの滑稽な姿ときたら爆笑モンだったぜ」
青年は砂浜を踏みしめてスク水の前まで歩み寄った。
「んで、最初の約束だが、負けたお前は処刑される事になってるんだが・・・」
その言葉を聞いてスク水は恐怖に慄いた。 覚悟が間に合わない。命乞いをするか逡巡した時、青年は思いもよらない提案をした。
「靴を舐めれば生かしてやってもいいぜ?」
言葉と共に砂と泥だらけのジャングルブーツが視界いっぱいに広がった。その行為は服従の証である。
少女は自身の命と自身の自尊心を諮りにかけた・・・。傾いたのは生命の方だった。
彼女は惨めな思いをしてでも、己の自尊心を捨てて、曖昧な生にしがみ付いたのだ。
ゆっくりとピンク色の舌を出し、爪先に舌を這わせるスク水。その目には溢れんばかりの涙が浮かび、堰を切った様に頬を零れた。
青年はその様子を嗜虐的な笑みを浮かべて眺め、紳士もその様子を修道女少女と共に見つめている。
無精髭は気絶中のチアダルマの髪を鷲掴みに持ち上げて、波打ち際まで持っていくと、両手で振り回し、ハンマー投げの要領で海へを放り投げてしまった。
ダパンと水飛沫があがり、波紋を波が消した後、助けを請うであろう声が波間に途切れて上がったが、何事も無かった様に無視して砂浜に戻ってくる無精髭。
ぼー・・・ぼー・・・ぼー
遠くで汽笛の音が響いて、そちらに視線を向ける一同。 巨大な豪華客船がゆっくりとこちらに向かってくるのが見えた。 迎えの船であるのは明白だった。
「迎えが来たようだな」
「なかなか楽しいイベントだったぜ」
「次も参加するのか?」
「抽選に入ればな」
「今度は違った趣になるだろうな」
などと話してしていると小型船が砂浜に近付いて来た。
「さ、帰るとするか・・・」
青年はスク水の髪の毛を掴んで引き摺って波打ち際に移動し始めると、不精髭が声を掛ける。
「おい。コレはどうすんだ?」
長髪メイドの背中を踏みつけながら煙草に火を点けた。
「ん?いらね」
至極あっさり言い捨てる青年の言葉で無精髭がニヤリと笑う。
「・・・なら俺が死ぬまで遊んでやるとするか」
青年と同じ様にメイドの長い髪の毛を掴んで波打ち際へと移動すると、接岸させた船に搭乗した。
次いで青年と紳士。最後に修道女が乗り込んで、小型船は人工の娯楽島DOOMを後にした。

暫くして豪華客船は進路を変えて進んでいく。

そして島は静寂の中、また無人島に戻ったのだった。
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