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cross world (閑話)

人はこの地域を『穢れた街』『ならず者国家』『Free state』などと揶揄する。
世界的に比較してみても、中東・アフリカや中南米と並ぶ、アジアでも最も治安の悪い地域だ。
10年前、元々そこにあった軍国主義独裁国家は、自らの政策により滅んだ。理由は簡単、度を超えた軍備拡張とそれに伴なう圧政により、諸外国連邦議会の怒りを買った。その愚考から世界各国からあらゆる攻撃を受けた。経済・流通は完全に断たれ、外国への移住国民、観光中の国民は自国への強制送還及び入国規制を全国が行った。結果、その小国が生き残る道は、『融和政策』か『侵略戦争』の2択となった。
小国が独自開発したという核ミサイルを使うか使わないかの瀬戸際まで追い詰められた。 
愚かしい事に、その小国の独裁者は陳腐なプライドを守るために、自国民を切り捨てたのだった。 3発の同時発射された弾道核ミサイルは成層圏で自壊、と同時に諸外国の防衛迎撃ミサイルによって撃墜され、あっさりと数千億円の税金は『開戦の花火』と化した。
戦端を切った小国は隣接国への侵略を開始・・・。連邦国はその国の独裁者を戦犯と認定した。
独裁小国が消滅する決定事項であった。
しかし、国連の攻撃は実は緩やかなもので殆ど消耗していないのであった。
侵略に出たはずの軍隊は隣国の境界にて投降したのだ。プロの軍人ならば自国と相手国との戦力格差は見て然るべきだ。ほぼ全ての部隊が投降し、機密情報を手土産に自国へと攻め入る援助をしたのである。愛国者であれば尚更自国の膿(悪政)を嫌うのは道理だった。
正規軍がそのまま反政府軍となって国連軍に鞍替えをしたのだ。 守る者の居ない独裁者と官僚達は逃げ、身を隠す以外に方法はなくなったが、全員あっさりと拘束され、戦犯として自国民によりあっさり処刑された。
国連は独裁政治を叩くまでが仕事であり、それ以上の介入は出来ない。残された国民が民主的に代表を取り決め、平和的国営を掲げるのを促し導いた。
まず大統領として選任されたのは、本来外国人である「ラペトヌ・シェルキア氏」であった。
彼は自国と他国で一流大学を卒業したエリートで、経済倫理学を専門にあらゆる学問に精通するとして、国民に歓迎され多くの指示を得た。
それに伴なって、各国からの大使館設営や、生産知識や技術、物流・流通・運送などのノウハウを大々的に受け入れた。
コンセプトは「自由なる自立」をスローガンに外国人の移民や移住労働と同時に、それ目的の出国なども推し進めた。
産業革新は目覚ましかったが、同時に治安の悪化も酷くなっていったのだが、建国したばかりでそこに費やす予算などは微々たるものである。
現任大統領であるラペトヌ氏は日々頭を抱えていた。
外国人の流入は悪いことばかりでは無いのだが、こうも犯罪が多くなるのも困りものである。だとして、閉め出せばここまでの繁栄はなかったのも事実である。国連からの援助金はありがたいことであった。
現在の犯罪件数を放置するわけにもいかないが、自分の任期が終えるまでは何とか政策を考えなければならない課題であった。
そこで、『合法』と『非合法』を明確に区別する倫理の位置付け以外に今の自分には出来ないと彼は感じていた。
彼は思う「自由なる自立」を掲げる以上、国民もそれに従い、自制や自重をすべきなのだと・・・。
その思想は多くの国民や移住者に支持されていた。
貧しい者は、自由な発想を駆使し、自由に商売が出来るのが魅力的である。風土が嫌なら他国へ行けば良い・・・従来の搾取型独裁国家では絶対に出来なかった事だ。
富裕層の感覚でも、『法に触れなければ何をやっても自由』という事なのだ。 それはつまり、取締りが出来ない所でその痕跡さえ残さなければ、それは何をやっていてもOKと言い換える事が出来る。明るみに出ない範囲の自由は富裕層にとっても居心地が良いのだ。
まだ建国年数の短さと、田舎としての皮肉も込めて、国民は『自由共和国・Free Country』と呼ぶ。


10年前のニュースで連日放送されていたこの国の事柄を反芻して物思いに耽っていた。
方や、傍らでは監視カメラの映像を観ながら、どう見ても幼女と見紛う年増女が手淫に耽っていた。
「おい、人目も憚らずマスターベーションをするんじゃない。お前の仕事は『過剰行為の監視』だろ!」
「だって、あんたが頑なに相手してくれないから、仕方なく自己満足させてるんでしょう」
そう言って女の匂いをプンプンさせた指を開くと、塗れた愛液が指間に糸を引く。
「俺はお前の性欲の捌け口じゃない!」
「あんたもボケーっとして何もしてないじゃないのさ」
「俺はオーナーだぞ!お前の雇い主だ!ユーアンダスタン?」
そう問い詰めるとシビエナは口を3の形にして押し黙って、指をチュパチュパ吸っている。 コイツ頭良いはずなのに変なところでアホだよな?
俗に『賢い』と『聡い』が字面は似ているが意味が全く違うって事なんだよな。
シビエナに至っては『超賢いが他が壊滅的』と言えるだろう。『賢い』は勉強や記憶、応用力で頭を使う部分だ。その点、エストは『聡い』のだ。聞けば元々奴隷上がりであったため、学業面の知識は無いものの、理解能力が高く、目端が利き、面倒見も良い、自分の仕事をよく理解し、効率よく忠実にこなすのだ。彼女の『聡さ』は実体験に裏打ちされた経験値がそれを可能にしているようだ。
日本に居る時にも感じていたが、履歴書って何の意味があるのか理解が出来なかった。
学歴・職歴が人事の評価視点とする会社ってどうなんだ?と思う・・・。
今の俺はオーナーで、少女達を働かせている立場だが、仮にこの店が会社だった過程しよう。
履歴書を送付されても俺としては写真の見た目と名前年齢意外に選考基準が無い。経歴とかを読んだとしても、そいつの人格や人間性なんかは推測する以外に方法が無い。話もしていない人物の人となりを勝手にイメージして勝手な先入観で接するはめになる。そして面接時に都合のいいイメージとのギャップで候補から外す。実は有能な人材であったとしても判断材料がないからだ。
そいつがどの位真摯に働いて頑張れるのか、また、逆にそいつの破天荒ぶりや、サボタージュの度合いなど履歴書には全く書かれていない。てか、項目がない。
なんと言うか・・・メリットが感じられない変なシステムだなと失笑を禁じえない。現在に至っては簡単にコピー可能な印鑑とか全く無意味だと思っている。
履歴書なんて嘘だらけで幾らでも書けるのに、雇用側はそれを一方的に信用しなければならない。
経歴詐称なんてバレて初めて問題になるだけで、言及されて明るみになってないだけが大半だ。それに、詐称があったとしても、その人物が在籍している事によって会社に利益があるならば、詐称など意味が無くなる・・・と、いうか履歴書自体には全くと言っていいほど意味が無い。
 俺の店では、履歴書には書きようがない『聡さ』を備える求人なのに、一番大事な部分が欠落しているのが履歴書だ。外国人雇用者が見てもそれはレシート程度の価値しかない。笑ってしまう文化だ。己の半生を込めた履歴書は紙切れ同然の価値しかないのだ。
だれもソコを不審に感じて、システムを見直そうとしないのが不思議でならない。
会社は国の縮図とはよく言ったもんだ。労働組合毎に記入内容フォームを変えれば少しは利便性が生まれるかも知れんがね。
ま、今の俺は母国を見限った流れ者だから関係ないんだから別になんとも思わない。思いたくない。

思えば、俺はそんな停滞する日本が・・・国民性が、嫌になってここに来たのだ。
選挙の投票率が悪くて投票権年齢を18歳からに下げた報道をネットで目にしたが、その時は笑い過ぎて片腹痛かったな。
政府はとんだ勘違いをしている。根本的に間違っているとも感じていないのだろう。それは政治が民意を軽視しているからこそそう感じるのだろう。
投票率というのは、国民の政治への関心の表れだ。
投票率が低いという事は、国民は政治に無関心だと言うのはいささか短絡的に考え過ぎだ。
実は政治に関心が無い訳ではない。腐った政治に愛想を尽かれているのだ。つまり、国民を軽んじた結果、国民から政治家は軽んじられているのだ。
誰が政治をしても政治家は国民を食い物にする『搾取の対象』でしかないと思われているのだ。言い換えれば悪党の代表を選ぶ選挙に映っている事だろう。そんな選挙に誰が行くのか…。投票率が悪くなるのは政治家の自業自得である。
打開策は政治へのイノベーションだ。正解は『選挙権の対象年齢を引き下げる事』ではなく、『政治の信用を取り戻す事』だ。先ずは『政治家及び公務員の不正・汚職、公費の私用を厳重に取締り、違反者は国家反逆罪として処分する』くらいしなければ、国民は納得しないだろうし、政治への関心と信用は取り戻せないだろう。ノーリスクで国民からの支持は貰えないんじゃないのか?
全く、雁首揃えて無能な連中だ。
海外暮らしの俺には一切関係ないことだが、斜め上をいく報道でなかなか面白かったな。


この街は開放的な様でいて、実のところは閉鎖的だ。
定住者には暗黙のルールみたいなものがある。街には街の不可侵領域が存在する。
知らずに踏み込もう者ならば人生はそこで終わりとなる。無知が己に身を滅ぼすのだ。
平和で安定的な生活に慣れ浸っていた日本人が観光気分でこの地に足を踏み入れようものなら、数時間で命が吹き飛ぶ。何故ならば、日本人の大抵の人達は自分たちの生活環境を照らし合わせて、自分のモラルや常識をこの地の住民に押し付けるのだ。自分の正義感で他者を推し量る。それによって他者を改心させようとする傾向がある。愚かしい事だが、大半の日本人は『自分の正義感で他者を否定』するのだ。国民性なのだろうが、そんな事をこの街でしてしまえば、朝美さんの仕事が増える事になるのは明白だ。
『目障りだから消え失せろ』と銃口を向けて警告してくれる善良な住人など居ない。銃口を向けられた時点で、もうそいつは確実に死ぬのだ。街の現状や気風だけを知っただけの観光客が相手ならば尚更その引き金は軽い。
日本人ほど危機管理が希薄なのだ。スイッチがあれば押したくなるらしい。それが例えどデカい地雷であってもだ。
自分の安全が保障されているのと勘違いして軽率な行動をおこし、結果として墓も残さずにこの世から消えるのだ。
勿論、日本人全員がそうではない。俺や朝美さんや叔父の様なアウトサイドの人種は上手く折り合いをつけているし、真白や葵の様に売られてここに流れ着く日本人も居る。
流れてくる余所者は全員街に淘汰される。 ここでは正義感やモラルなど糞の役にも立たない。自分と相手の利害関係を知り、折り合いをつけられない者は街に殺される。
 どんな場合でもそうだが、人間社会とはそういうものだ。正義感で飯は食えないし、誰も喜ばない。説教垂れた位で相手が改心してくれると思う事自体が幻想だ。正義なんて無くても地球は回るんだ。
節度という言葉は正義やモラルではない、本来の自分を抑え、自重する言葉だ。 その節度は歩道の白線1本分の幅しかないのに、血迷って街に干渉しようとする者が絶えない。
その大半は『無知からなる身の程知らず』である。
では、この街で生き残るにはどうすればいいのか…。それは単純明快。簡単な事だ。
この街の意志は外道から形成されている。ならばこの街に沿った外道になればいい。いや、どんな事でも同じなのだ。 人間という集団には一定の方向性がある。学校でも会社でも国家でもそれは変わらない。
それを察知し、順応しなければ異物として排斥される。それだけの単純な話なのだ。
知らなければそれに越したことはない。だが、知ってしまったらその関係性をできるだけ多く知って予防線を張る必要がある。関わらないのが一番の良策だが、予防線を張り遅れて巻き込まれる場合もままある。
関係性も知らずに、俄か知識で口出しや関与しようものならバッドエンドのコンティニューなしとなる。
『一部始終を知った上で関わらない』これが人間本来の処世術である。

この国の経済も様々だ。
俺の居る悪党ばかりのこの街も例に洩れず経済は思ったよりもまともだ。
各国からの輸出入の物流機構は意外と届く確率が高い。それでも配達員にチップを渡せばの話だが…。 仮に荷物が届いて配達員にチップを渡さなかった場合、次からの荷物は横領されてしまうのだが、最初に満足のいくチップを渡しておけば次回からは同じ配達員が丁寧に届けてくれるのだ。分かり易い構図である。
女性もちゃんと自活出来ている。
売春が主な仕事だが、ショー・ストリッパーやカジノのディーラー、飲食店の店員、高級ホテルのコンシェルジュなど女性ならではの職種が多い。
男の場合は、更に幅が広い。
うちの娼館を改装してくれた中国人の棟梁は工務店。同じ飲み友達仲間は土建屋や金属加工の溶接工、解体屋、武装警備員と日常生活に密接する仕事が多い。 その反面、マフィアも多く集まっている。エストや朝美さんの所属するマフィア『グランドクロス』はこの街でも指折りの勢力を誇る。俺や叔父もその傘下で恩恵に与っている。
対立マフィアは『ギャラクシー』と聞いた。拠点は分からないが港街の奥まった隣街が主な縄張りだそうだ。
この街にもグランドクロスの組員を狙った抗争がちょいちょいあるらしい。
やはり物流関係は特に重要で、末端組員等は物流トラックを狙った強盗もかなりあるらしい。この街の配送業者はグランドクロスに護衛を雇っているのだが、同じ会社でもギャラクシー拠点の街ではギャラクシー組員を護衛に使っているといった具合に、上手に折り合いをつけている様子だ。
叔父などは、畑で収穫した作物を市場に卸しているといったサイドビジネスまでしている。
俺は幼児性癖の女衒、朝美さんは死体処理屋。エストはグランドクロスの武闘派組員兼俺んとこの用心棒。叔父の本業はスナッフフィルムのクリエイターで、シビエナの本業はハッカーらしいが今はエンジニアとしてウチに転がり込んでいる。
…俺の周りはこんなものかな? そういえば、朝美さんのところに居候が増えたとエストが言っていたな…。確か医療関係の仕事をするとか何とか…。
街の意に反するアンポンタンでないことを祈らずにはいられないな。
いずれにしてもみんなこの街の意に沿って根差している訳だ。

これからどんな出会いがあり、どんな出来事があるのか…。
運命の交差は実に面白いな。


cross world 閑話 🈡
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イリュージョン (未年編)

 ここは魔術師の館。マジックショーを披露する娯楽施設『魔界館』。
毎年行われるイベント企画で、どのマジシャンも新年を向かえ、未年に因んだネタを披露している。
この施設では飲食も出来るので、ショーを見ながらお酒を飲むお客さんが多い。勿論、成人(得に店側の認めた富裕層)のみの入店に限られる。 未成年者も店側が入念な審査をパスすれば、入店だけは可能である。
毎年多くの会員が訪れ、新年に一度の一大イベントを満喫するのだった。
中でも人気なのがイリュージョンを専門にしているシニガミ導師のマジックの人気が高い。導師も若干疲れ気味なのだが、来館客には関係のない話ではある。

 客席はショー開演を今や遅しと心待ちに賑わっています。
円形ステージに近い客席の前方にあるVIP席は小さなソファーで囲ったボックス席で、モニターの据えられたガラステーブルには、高価なお酒類が並び、クリクリにパーマの掛かった頭には、くりっと曲がった小さな角と獣耳一体のカチューシャを付け、胸と腰だけにはカシミアのフワフワ衣装を身に纏った半裸姿のラウンジガールがお客を持て成す特等席である。
ラウンジガールのコスチュームも毎年恒例で、羊をモチーフにしてはいても、多かれ少なかれ差異はある。
着ている女性によってまちまちではあるものの、いずれも着用者特有の魅力を引き出す様にデザインされている。
稀に、女性客用に10歳前後の少年スタッフも用意されている。まるで少女と見惑う容姿の可憐な女装をされている。肉体整形なのか、胸も豊胸され、男性器以外は女の子であった。
用途としては玩具以外の何者でもないのだが…。
退屈凌ぎにマダムが、小羊女装コスの少年の包茎チンコを苛めて遊んでお楽しみを満喫するのだ。
傍らでは、連れの幼女達が胡乱な眼差しでその様を静かに眺めていた。 幼女は言うまでもなく、マダムの所有奴隷である。
全裸の幼い女の子には、無数の鞭痕と内出血が柔肌を染め、また別の幼女には左半身を火傷痕で皮膚が波打つ様に隆起し、変色していて痛々しい。 また別の幼女は両手足を短く切り揃えられ、四足動物の様な扱いをされていた。

既に開演時間は過ぎている。
どちらかと言えば導師は時間にルーズな方だった。
ステージに半裸の快活そうな少女が進み出て客席によく通る声で声高らかに声を上げた。
「今回は導師の固有ステージはありません。ですが、当館内全体が今回のステージとなります。いずれこちらの客席にも訪れ、数々の奇跡を振りまく事でしょう」
客席からはどよめきがおこる。例年通りであれば、導師の特設ステージ観覧席には莫大な大金で予約がされるのであるが、今回に限っては事前予約の受け付けは無かったのだ。
そうでなくとも、個室観覧のライブ映像も予定されていない。固有ステージが無いのが理由だった。
今のアナウンスで多くの観覧客にも合点がいった事であろう。
客席からはどよめきが周囲を満たし、合点がいった者、予想外の事実に困惑する者、状況に慌てる素振りもないままマイペースにスタッフを弄って楽しむ者・・・反応は多種多様である。
「今回こちらのステージでは、新年のお祝いに『活き造り』を御振る舞い致します。一流の食材と一流の板前による一流の料理をご堪能ください」
活発な声を合図にステージ袖から機材を運び込む羊コスの女性スタッフ達。
ストレッチャーの様な台座の下に様々な機器が搭載された『解体台』だ。
続いてそれに伴う道具類がずらりと取り揃えられる。
「準備完了です。さて、食材の紹介です。仔羊ちゃんカモーン!」
袖から姿を現したのはデフォルメされた羊衣装に身を包んだ少女だった。MC役の少女と遜色無い、顔も体型も整ったかわいい系の容姿だ。若干ぽわっとした大人しそうな雰囲気を醸し出している。
少女は短いふんわりスカートの裾を摘まんで伏し目で腰を落とす仕草で、上品なお辞儀をした。客席から拍手喝采を受ける。
やはり、清楚なかわいらしさがある。
後ろでは同じ様に最低限の羊の衣装に身を包んだ女性作業スタッフが準備を始めている。他と違うのは、コスチュームは黒一色であるため、お腹や太腿といった露出した白い肌がよく映え、また違った役割である事を如実に物語っていた。
少女はストリップショーでもするように、1枚ずつコスチュームを脱ぎ捨てていくと、たちまち全裸となり、ハッキリとした無毛の恥丘と弾力のある若干小ぶりな乳房、ピンク色の乳首が衆目に晒された。
ストレッチャー型の解体台が横に運ばれて来ると、少女は自らその上に横になる。
例によって客席にはモニターがあり、分割された画面に様々なアングルから視聴でき、視聴者次第でリモコンを使って画面を寄ったり引いたりも可能である。個室視聴の場合、カメラのチャンネルを切り替えさえすれば、館内の各催しを覗き見する事も可能だ。
画面の中では少女は頬を赤らめて薄く微笑み、期待の表情を浮かべている。
 黒羊たちは各々に作業に動き出す。カメラアングルを遮らない様に一切の無駄のない動きだ。
先ずは少女が解体中に暴れださない様にと、手足と首をベルトで固定された。これから調理される少女にそんな抵抗の兆しなど感じさせないが、万一の用心の為だろう。
「あっ!」
スポットマイクが仕掛けてあるのか、モニターのスピーカーから少女の喘ぎが聴こえた。
少女は鳩尾から下腹までを一気に切り裂かれて、線上を珠の血が涌き出していく。
間髪入れずに両側から傷口を開き、吹き出す血潮にも怯まずに腹膜を更に切り開かれ、内蔵を晒け出された。
「ぅう・・・んっ!」
少女は熱い吐息で喘ぎ、剥き出しの股間を潤ませていた。
そんな状態にも拘わらず、黒羊たちはテキパキと内蔵を切り離し、取り出していく。
少女が堪らず吐血して胃袋を取りだした間に、内蔵は肺と心臓を残して空っぽになってしまった。リンパ線と大きな血管も細かく除去されている。
少女の首は止血帯によって締め上げられ、血液循環装置を動脈に接続されている。これで少女は発声出来ない状態になった。
胸の間にもY字に切れ目を入れられ、肋骨の鎧が露になり、工具のカッターでバチンバチンと切断されて、蓋を外す様に取り除かれた。
解体台に流れ出した血液は、台に無数に空いた孔と吸出し菅から吸収回収され、解体台下に設置された循環器によって濾過された上、適度な酸素濃度をヘモグロビンに供給して少女の首の動脈に戻す仕組みだった。
同時に横隔膜と肺が切り離され、その奥で力強く鼓動を刻む心臓が顔を出す。
少女の全体を映し出す映像は普段の生活では絶対に目の当たりにしない医学的にも貴重な画だ。こんな状態でも少女は惑うことなく生きたまま意識を保っているのだ。
人によっては嘔吐を催すだろうが、少女は自分の取り返しのつかない苛烈な姿なのに、血の気のある顔には恍惚の表情を浮かべて、自分の体から脈打つ心臓が取り出される様を視ていた。既に手足には力は入らないだろうが、神経伝達によって微かには動かせる様子だった。少女の頭には酸素は供給されているが、身体の細胞には血が通ってないどころか、血抜き処理をされているからだ。
ここで愈々少女の首が切断され、胴体から切り離された。
少女の身体は逆さまに吊り下げられ、精肉店の肉塊の様だ。自らの返り血を浴びた生首は綺麗に拭き取られ、髪の毛を整えられた後、解体台の上に立てれると、ニッコリと観覧客に微笑んだ。
客席からは感嘆の拍手がおこる。
首だけのまま延命措置をとられた少女には近い未来に「逃れられない確実な死」が待ち受けている・・・。それどころか、自分の肉体が調理される様を見せつけられ、観客達に振る舞われ、食される光景を目に焼き付けて死ぬ事となる運命だが、その残酷さに悲壮感すら感じさせない笑顔は、少女にとってどんな感情が支配しているのか、もう問いかけても返答する術すら少女の首には最早無く・・・ただ満面の笑顔で応えるだけだった。
削ぎ取られ、切り身に処理されていく肉体は、焼かれ蒸され又は炒められ、油で揚げられたりと様々な料理へと姿を変えて、食欲をそそる香ばしい匂いで観客たちの食欲を刺激していった。

 鋼鉄製の重厚な張形が、金属の枠に全身を拘束された少女の膣内を抉り擦りあげ、女性器を蹂躙する。
一定のリズムで挿入を繰り返す張形には短い棘が突き出し、その表面はおろし板の様に細かく尖り鱗の様に逆立ち粘膜を削る。
身動ぎ叶わぬ少女は激痛の渦に体内をかき回され、人が発する声とは思えぬ絶叫を吐き出していた。
長くしなやかな髪を振り乱し、金枠に固定された部位をも傷つけ流血するのも構わず可能な限りで暴れ、膣内を苛む苦痛から逃れようと必死の抵抗を続け、血と粘膜を股下に散らしている様を、観客達は薄ら笑いで眺める者、歓声をあげて喜ぶ者と反応は区々で楽しんでいた。
張形の動作機器を操作していた羊コスのスタッフが用意されたキャンドルに点火した。それを金枠の上部に固定し、角度をつけると溶け出した蝋が少女の背中に落ちて白い肌に散る。途端に上がる悲鳴と激しく暴れる少女。次々に垂れ落ちる熱蝋が少女の背中を赤く彩り、肌を焼き、少女に更なる苦痛を与えるのだ。
それだけではない。先のスタッフが少女の固定された手足を狙って乗馬鞭を振るい、擦過傷を刻み込む。
とんでもないダメージによって拷問され、観覧者達の侮蔑と剥き出しの欲望の眼差しに、少女はなす術も無く蹂躙されるだけだ。
 そこに一人の男が歩み寄って来た。上等なスーツに身を包み、清潔な出で立ちの長身の男だったが、不思議と顔を見ても印象に残らない人物であった。周囲の観客は男の様子に眉をひそめていると、唐突に男は指をパチンと鳴らした。
その指音に注目が集まった中、自分の役割りを果たしている羊コススタッフだけはそれに気付いた。
今自分が拷問している少女の頭の上3センチ上に、天使の輪の様な光の環が出現したのだ。理解を超えた現象に思考が停止し、動きを止めていると、光の環は少女の頭から下にゆっくりと降下し始める。
視線を戻した観客達もその現象を認識し、スタッフと同じく黙して見いってしまう。
ゆっくりと降りてくる光の環は少女の周囲を包む様に広がり、肌に沿って少女の身体を這い、頭から腰、足までをゆっくりと移動して、指先を過ぎると光の環は小さく萎んで消えてしまった。その間は一瞬にも1時間にも感じた。
泣き叫んでいた少女は静まり返って大人しくなっていて、不思議な事に凶悪な張形マシンも蝋燭も動きを停止してたのだ。
項垂れた少女の口元がつり上がり微笑んだ様に見えたと思ったら、少女の頭の先から円形に切った紙がするんと落ちてた。
それが一体『何か』を認識する前に次々を少女から溢れ出し宙を舞い落ちる。次第に紙束を倒したように薄っぺらいソレが床に墜ち辺りに散らばると、拘束されていた少女が喪失し、後には金枠の拘束具だけが残った。
それらの一部始終を目撃した全員は目を丸くし驚愕した。
足元に舞い落ちて来た薄っぺらい紙を拾い上げてみた客は更に驚いた。
例えるならそれは、CTスキャンされた映像を印刷した紙の様だった。だが通常と違うのは、 余白が全く無い実物大である事と、その薄さであるにも関わらず暖かいという事だ。
 ここに来てやっと認識したのだ。
その薄いスキャン画像全部があの少女を形作っていた全てであったのだと。
こんな奇跡みたいな現象をおこせるのは死神導師以外に居ない。観客達はそう思い至り、男の顔を改めて注目した。だが、なんの事はない。特に目立った特徴の無い普通の男だった。
男は踵を返してその場に背を向けて去っていった。
「ぎゃあっ!!」
男を見つめる観客達の背後から突然の悲鳴があがり、声に振り返ると羊コスのスタッフが金枠に四肢を拘束された上、凶悪な鋼鉄棘ディルドーで膣内を引き裂かれている。首板から頭を突き出した上部には先程まで無かったはずのギロチン式断頭台へと様変わりしていた。重厚な刃を吊った湿ったロープには自ら設置した蝋燭に炙られ、溶けた熱蝋も自分の背中に垂らされて苦痛を助長させていた。しかも今回は時間制限付きである。
バラバラに散らばった輪切りの上で、羊コスが悶絶し悲鳴を叫び、拷問を観覧したい客達は被害者が入れ替わっただけで、客の欲望を満たす部分に変わりは無い。再び観客達は熱狂し拷問を楽しみ愉悦に浸るのだった。

「あ、ああん・・・んっんぅ・・・♪」
来客の男性がデフォルメ羊コスチュームを纏った前髪パッツンの眼鏡少女との性交を楽しんでいた。少女の無垢な膣を荒々しく挿入を繰り返し、少女の固くて吸い付く様な軟らかな粘膜を余すこと無く堪能する男性。腰を突き出す度に少女の秘部からはネバつく愛液と共に水っぽい厭らしい汁も散らす。
少女も男性の熱い体温を感受し、涎を垂れ、熱い吐息とかわいらしい喘ぎ声を発する。
「ぁんっ!ぃ・・・っっくぅっ!・・・あっ!!・・・ひ・・・ぃぅう・・・くぅんん♪」
パッツン眼鏡少女は背中を仰け反らせると、大きく痙攣してからくたりと男性にもたれ掛かると、繋がったまま男性に潤んだ瞳で舌を突き出すと情熱的なキスを交わし、男性の射精を子宮口に受け止めた。
「あっ、いいっ♪熱いよぉ・・・お客様のせーし熱くてぇ・・・中に、いっぱい出てるぅ♪気持ちっイイっ!イクっまたっイクぅ~・・・ぅんんっ!・・・ぁふぅ・・・」
男性客は少女の小柄な身体をぎゅっと抱き締め、子宮めがけて欲望を吐き出し、少女もそれに応える様に男性の腰に回した脚で挟み込み更に奥に導く様にホールドしている。
「あはぁ♪お客様の精子で受精したいですぅ♪素敵なお客様の精子で妊娠したら女の子を生んでその子と一緒に犯されたいです♪いいですか?」
「ああ、死ぬまで犯し尽くして、娘と一緒に燃えるゴミの日に捨ててやるよ」
「あはっ、嬉しいです♪」
そしてまた熱い口づけを交わし貪り合う。
「御主人様とお呼びしても良いですか?」
「構わんが、お前の事はメス奴隷と呼ぶぞ?」
「光栄です。では、今から私は御主人様のメス奴隷です♪」
「すぐに飽きられない様に頑張るんだぞ」
「はい!頑張って新しいメスを妊娠します!」
「受胎しなかったり、妊娠してオスだったらその時点で殺処分だからな」
「寛大な御主人様で良かったですぅ♪」
依然繋がったままの状態で少女は男性に抱きつく。
「後で御主人様の所有物である証しが欲しいのですが・・・」
「ふむ・・・どういったものがいいんだ?」
「クリトリスにピアスでもいいですし、焼き印や入れ墨などもお薦めです♪」
いずれも取り返しがつきそうにない提案を嬉しそうに語る少女。
「あっ♪仔メスが生めれば充分なので手足の切断などもイイと思います。棄てる時も少しの手間で済みますし♪」
自分の行く末を意図も簡単に他人へ委譲してしまえる少女はどこか狂っていると言っていいだろう。
「なんだって構わないが、とりあえずクリピアスでもしておくか」
対して男性は少女の申し出に、淡白な返答で決めてしまった。
「んふっ♪大好きです!できれば乳首にも孔を空けてくれると嬉しいです・・・あっ!」
男性のピストン運動が再開され、愛を囁きキスを求める少女。
「御主人様の・・・逞しくてとってもステキです♪子宮口まで開いて・・・ぅん!直接子宮に精子が流れ込んで・・・卵巣が破裂するほど御主人様の精子でいっぱいにして下さい!・・・ぁひん!」
再びの射精を子宮へ直に受け、腰を激しく振るパッツン少女は、激しい絶頂に達して身体を跳ねさせ、頭が真っ白になる程のオーガズムに涎を垂らして失神していた。

とある男がニヤニヤと下卑た嘲笑でその行為を眺めている。
拷問ブースの端っこでは男の連れである少女奴隷に羊コスのコンパニオンの指を切断させていた。
主人に命令されているのだろう奴隷少女は怯え、涙を潤ませながら震える手つきで鋸を引き、クールビューティーな大人の魅力を醸すコンパニオンの左手親指を引き切っていた。
テーブルに両手を釘で打ち据え固定された羊コス少女は痛みに顔をしかめこそすれ、喚き取り乱す事無く、拙い切断作業に堪え忍んでいる。
ただ指を切られているだけではない。
自分の指を切断している相手である奴隷少女に対して、優しい口調でアドバイスまでしているのだ。
とんでもない忍耐力だった。
泣く泣く作業を終えた奴隷少女は被害者である羊に促されるまま切断した指を摘まみ挙げ、傍観している客に披露すると、歓声があがり、「よくやった」だの「がんばったな」などと称賛の声が疎らにあがった。
「お次の方、どうぞ~」
テーブルに掌を打ち付けられたまま、次の加害者を募る。
別の観客の中から奴隷少女が歩み出た。少女は自ら志願してその催しに参加しようというのだ。一応主人に許可をとっている様子で、その主人も快諾した様子である。
「さぁ、どうぞ。そちらの道具の中から好きな物を使ってください」
テーブルの脇には数限りなく取り揃えられた道具が陳列されている。
奴隷少女は残忍な笑みを顔に浮かべ、肉厚の鉈を手に取った。奴隷の飼い主も興味深げに静観した。
ダン!
少女が振り上げた鉈は、薬指と中指、人差し指の半分を切り飛ばした。
拍手と歓声が観客からあがったその時だった。
少女が主人に向かって手に持った鉈を振り上げた。その両眼には明確な殺意と敵意、そして憎悪を湛え、ギラギラと光を放った。
「ぶっ殺すっ!!!」
逸早く羊コスの少女が察して制止に動くもテーブルに掌を打ち据えられていた為に間に合わない。飼い主である客も咄嗟の事に対応が遅れ、迫る鉈が頭をカチ割るのは必至であった。
絶好のチャンスに少女の頬が緩み、勝利を叫んだ。
「母さんと妹達の仇!死んで思い知れ!!」
禍々しい殺意に満ちた憎しみにその場の一同は戦慄した。
「・・・」
次の瞬間を誰もが予想した結末にはならなかった。
防御姿勢のまま飼い主が硬直していたが、静寂の中5秒も経った時に何も起こらないのを不審に思い。状況確認に防御姿勢を解くと、観客達は呆然としていた。
この場で反旗を翻した奴隷少女の手には鉈は無く、少女自身も時が止まった様に悪意に満ちた表情で停止していた。
何故か鉈は拷問を受けていた羊コスの頭に深く食い込んで白目を剥いていた。
一瞬の内に何が起こったのかその場に居合わせた全員が理解できなかった。
周囲の観客・スタッフが懸念の表情を浮かべる中、近くにある大理石の柱に寄りかかって観覧していたスーツ姿の男だけはどこか余裕の表情を浮かべ、周囲の狼狽した空気に微笑んでいた。
事の顛末を見ていたスタッフが陣頭指揮を執り、事態の収拾に行動を開始した。
黒羊達の応援も駆けつけ、静止した奴隷少女を床に組み倒し、縛り上げるが、依然静止し、勝利を勝ち取った表情のままで抵抗など微塵も無かった。
少女は用意されたキャリーケースに、関節を捻り上げられて拘束されたまま詰め込まれ、ケースの内側に備えたベルトで厳重に締め上げられ蓋を閉じられ施錠された。更に外側からも特殊なベルトで縛り施錠される始末だ。
「奴隷の躾は飼い主の責任ですが、かくも不思議な現象が起こった為に、他のご来賓様方に迷惑が掛かりませんでした。本来ならばペナルティーとなるところでしたが、今回のみ適用外の処理とさせて頂きます。以降この様な事が無き様お願いします」
スタッフ要員の黒羊は奴隷の飼い主にそう言ってキャリーケースを突き返して去って行った。
大理石の柱に寄り掛かったスーツ姿の男は既に無かった。

 羊コスの少女は突然の連絡を受けて魔界館入口へ急いでいた。
予定時刻を大幅に過ぎて招待客が今頃になって到着したからだった。
モコモコフリースに覆われ巻き角の付いたカチューシャを頭に被り、同じくモコモコとしたフリースのビキニに同じ素材のハイニーとピンヒール姿だ。
大きなおっぱいを揺らし、長い黒髪を靡かせて、早歩きですれ違う来客とホールスタッフ達を華麗に躱していく。
 会場入場口では男性客がウェルカムレディーを相手に上機嫌で接していた。否、レディーというにはあまりにも幼く、10代に満たない容姿である。
少女は男性客に歩み寄り跪いて声を掛けた。
「いらっしゃいませ。本日ご案内をさせて頂きますコンシェルジュです。宜しく御願い致します」
男性客は振り返って
「え?ああ、そうなんだ?てっきりこの子が俺の相手をしてくれるのかとおもって勘違いしちゃってたよ~はははっ」
ウェルカムレディーは来館者に針や串を手渡して自身の身を刺して貰って身を彩るのが仕事である。今回はコンシェルジュが到着するまでの時間稼ぎも仕事に含まれるため、その任を全うしたに過ぎない。 しかしながら、ウェルカムレディーの幼い身体には幾つもの装飾された針や串が刺し貫かれ、立って居るだけでも辛そうだった。耳や薄い乳房、敏感なクリトリスや乳首には複数本。舌を出したまま鼻を貫通して縦に貫かれ、更に頬を貫通させ、舌幹を通し反対の頬からその突端が飛び出していた。客達は彼女の持っているバスケットの中から選び、客の好きな部位や刺し方をされる為、体内に突端を突き込まれたままの物も多い。筋肉の多い腿や脹脛、神経の集中した手足の指先、長さは不明だが、臍から内臓に突き込まれた物もあった。身体を苛むダメージは相当なものだろうが、彼女は暴れたり、取り乱したりといった粗相をする事も無く、笑う膝で懸命に立ち続け、男性客に笑顔さえ差し向けて内股から涎を垂らしてさえいた。
男性客は終始上機嫌で、ウェルカムレディーのマゾっ気に加え、身を投げ打った献身的なサービスの成果が大きいだろう。
「それではご案内致します。私共の事前データですと、今回初めてご来館とのことですが、相違ありませんでしょうか?」
「あ~うん。そうなんだけど、先に質問いいかな?」
「はい。勿論で御座います。ご不明な点があれば何なりとお応え致します。その為のコンシェルジュなのですから」
「この子さ、喋れるように刺さってるヤツを抜いてあげたいんだけど、オッケー?」
軽い物言いの男性客の言葉にコンシェルジュは頭を振った。
「お客様がなさったものならば可能ですが、他の来館者様の行為に対しては変化を加えられません。ご了承下さい」
コンシェルジュは恭しく頭を下げた。
「あらら、残念。じゃあこの子この後どうなんの?このままじゃ死んじゃうよ?」
「状態の善悪に係らず殺処分の予定です。ご希望であれば今からその様子をご覧に入れましょうか?」
「えっ!?殺しちゃうの?今から手当てすれば助かるかもよ?」
男性客の動揺にコンシェルジュは満身創痍な幼女と目線を合わせて屈み、頭に手をそっと置き優しく撫でた。
「そうよね?」
幼女はコンシェルジュの言葉をコクンと頷いて肯定した。
「痛くて苦しいの…大好きよね?」
問い掛けつつも幼女の潤んだ縦スジを指でなぞり、淫蜜を指先に掬った。幼女は頬を赤らめ、コンシェルジュの言葉に頷いて肯定を表した。
「うわぁ…すげぇな~」
男性客からはその遣り取りを静観しつつも感嘆の声を漏らす。
「お客様は貴女の無様な死に姿をご覧になりたいそうよ?ご要望に応えたい?」
幼女はハッキリと頷き言葉を肯定し、自らの意思を伝えたのだ。
「じゃあどんな死に方を見せてあげようかしら?やっぱりオマンコから口までを串刺しで貫通がいいかしら?」
その言葉に幼女は頭を振った。否定を表したので言わされていると云う訳ではない様子だ。
「あらあら…貴女の今の姿なら相応しいと思ったのだけれど、お気に召さなかった様子ね。それなら何が良いかしら…」
入口エントランスホールを見回して見ると、視界に斬首ショーが目に入った。
「あ♪あれはどうかしら?」
コンシェルジュの指し示す先の斬首ショーに剣山姿の幼女は目を輝かせてそちらに向かって歩き出した。
「決まったみたいですね♪お客様もよろしいですか?」
「ぁあ~、まぁ本人が良いってんなら止める権利は無いと思うんだが」
「彼女が自分の生命をお客様に捧げる感動を楽しみましょう。役得ですよ」
コンシェルジュの少女は男性客の腕をとり、大きな胸を腕に押し当てて懸命に歩く幼女の後に続いた。
斬首ショーブースでは頭のない女体を運び片付けられているところだった。
鉞を担いだ処刑人の前に幼女は自ら歩み寄った。
「お?なんだ~?ウェルカムレディーじゃないか?」
そう処刑人は問いかけるが、舌を突き出し、涎を垂れ流すだけの幼女の口からは言葉は出ない。代わりに、コンシェルジュの少女が顛末を伝え、処刑人は納得し、飛び入りでウェルカムガールの斬首処刑に承諾してくれた。
幼女は持っていたバスケットの中から一際長く鋭い鉄串を男性客に手渡した。
そして、自ら斬首台に首を乗せ、後ろで腕を組んだ。そして男性客に向けて腰をクイッと突き出し、股間の潤んだスリットを曝け出した。
男性客が呆然とその様子を眺めているが、まだ周囲の清掃中で斬首の準備は出来ていない。幼女は腰をクイックイッと動かし、まるで手招きしているみたいだった。
何か察したコンシェルジュの少女は男性客にそっと耳打ちをする。
そう、ウェルカムガールは生命を捧げた男性客に最後の一刺しを要求していたのだ。
男性客はコンシェルジュに指示に従い、幼女の突き出されたスリットを指で分け開き、膣口に鉄串を差し込むと、向きを変えて一気に刺し貫いた。鉄串の突端は幼女の肛門を貫いて体外に飛び出していた。
ウェルカムガールとしての最後の痛烈な一刺しを終えた男性客はコンシェルジュの元に戻り見ると、幼女はビクンビクンと腰を前後させ潮を噴出させている。
表情こそ見えないが、歓喜に身を焦がしている事だろう。
静観を打ち破り処刑人が何人もの首を刎ねた鉞を大きく振り上げた。
ダン!
衝撃音と同時に幼女の首が床に転がった。音の派手さに反して生首は飛ばずに斬首台から転がり落ちただけだ。すぐに処刑人が転がった頭の髪の毛を掴み掲げてブース客に披露して見せる。
その表情は舌を突き出したまま刺し貫かれて滑稽に見えなくも無いが、確かに愉悦と絶頂を感じ取れるなんとも大人びた顔だった。
魂の座を失った身体は尻をヒクヒクさせて身をよじって勝手に動き、生命の残滓を輝かせ、真っ赤な鮮血を溢れさせていた。他の観覧客から称賛の拍手が興った。
程無く幼女の瞳から光が消え、意思を感じさせなくなった。
「ウェルカムレディーの斬首処分は如何でしたか?」
「あ~、スゲェや。これが魔界館か…」
「左様です。表の世界では決してお目に係れない催しが満載です。・・・それではご案内の方よろしいでしょうか?」
「あ、ああ…」
「うふふ…まだまだこれからですよ♪」
コンシェルジュの少女は恋人に声を掛けるように腕に組みつき歩き出す。
「先ず始めにご案内するところは、マーキングブースです」
「マーキング?」
コンシェルジュはフリースビキニに押し込まれた巨乳の谷間から金属の板を取り出した。
「はい。先ずはこれをお渡しします。これは当館でのお客様の印となります」
男性客はその金属を受け取ると、マーキングブースに到着したらしい。
時間的には中盤から終盤に差し掛かっている為、他の客は疎らだった。
「その印をそこにある鏝先に装着しまして、火の中に投入して焼いて下さい」
初見の男性客はコンシェルジュに言われるままの作業をした。
「では焼き上がるまでに説明をさせて頂きます。当魔界館では初回入場時に割り当てられたコンシェルジュ1人をお客様専用として私物化出来ます。私物化されたコンシェルジュは当館に居る間お客様の自由に扱う事が出来ます。自由という概念は正しく言葉の意味そのままで、お客様の『私有物』ですから、自由意思次第でどう扱っても構いません。それこそ拷問して楽しむ事も、手足を切断したり肉体改造して楽しむ事も、必要なくなったという理由で殺してしまっても構いません。但し、初回だけですので、殺害処分してしまったら次回からはコンシェルジュは居なくなります。毎年の繰り越し継続システムです。尚、コンシェルジュはこのマーキングブースで新規に追加購入する事も可能ですが、ご希望に合ったコンシェルジュが居るかはその時のタイミング次第です。ここまでご理解頂けましたでしょうか?」
「まぁ、大体は・・・」
「ご確認ですが、専用コンシェルジュは、僭越ながら私でよろしいでしょうか?ご希望でしたらチェンジも可能ですが?」
男性客は一瞬ドキっとして
「あ?ああ、え~、つまり君を俺のものに出来るって事だろぅ?…うん。大歓迎だ」
と二つ返事をした。
「恐悦至極に御座います!」
と少女は恭しくお辞儀した。
「それでは早速契約を致しましょう」
「先程の焼き鏝でわたくしの身体に二度と消えない所有物の証を焼き付けて下さいませ」
そう言いながら少女はフリースビキニに指を掛けるとスルンを脱ぎ下した。男性客が戸惑っていると、高温によって真っ赤に焼けた焼き鏝を男性客に手渡して、促す様に傍の壁に手をついて露わになった尻を向けクイと腰を突き上げた。
男性客は少女の躊躇いの無さに後押しされて、真っ赤に焼けた焼き鏝を右尻に押し当てた。途端にジュウゥ!と皮膚は一瞬にして高熱で溶け筋肉に熱が浸透するところで焼き鏝が引き離され、少女の真っ白な尻に真っ赤な刻印が刻まれていた。叫び声一つ上げなかった少女は、いつの間にか自分の脱いだビキニを口に詰め込んで耐え切り大粒の涙を湛えて呼吸を整えている。
ムダ毛一本無い真っ白な下半身は煽情的でありながら、その右尻には二度と消えない所有物の印(マーキング)が刻まれた姿は家畜や奴隷そのものであった。
「はぁはぁ…これでわたくしは貴方様の所有物となりましたので、他のお客様との性交や付随プレイ、無断でのショー参加をする事がなくなりました。今後私がそれらの行為を行う状況になった場合、所有者である貴方様の許可が必ず必要となります。尚、所有物であるわたくしは所有者である貴方様の命令には絶対服従となり、拒絶や否定の意思表示を含む権限の一切は無くなりました」
「おおぅ…すばらしいな…」
「つきましては、貴方様の事をなんとお呼びすればよろしいでしょうか?」
「なんでも構わないけど…ご主人様とでも呼んで貰おうか。憧れでもあったしな」
「畏まりました。御主人様!これより正式に所有物として、宜しくお願いします」
「んじゃ、君の事は何て呼べばいい?」
「それをお決めになるのは御主人様御自身です。単純に『女』でも『肉』でも『豚』でも『奴隷』でも…『おい』や『お前』でも…『メス豚』…でも一向に構いません…」
そう言って顔を赤らめ、身を捩る少女。メス豚という言葉に興奮し、身体を火照らせた様子だったが、男性客はその微妙な機微に気づかない。
「君の名前は?」
「え?わたくしの名前ですか?」
キョトンとする少女の尻をブーススタッフが氷水袋を当てて冷やされていた。男性客はそのサービスを快く容認している様子だ。
「そそ、みんなから何て呼ばれてるの?」
「私の古い名前はチタです。ここで呼ばれる場合は番号で、LF4893です」
「番号だと俺が忘れちゃうから、名前のチタと呼ぶ事にするな」
「はい。有難う御座います」
大きなおっぱいを揺らしてお辞儀するチタ。
「んじゃあ、話も纏まった所で、次の案内を頼むよ。あ、その前にパンツ履こうな」
「寧ろ全裸で羞恥プレイでも良いのですが、御主人様の最初のご命令ですし従います」
二コリと微笑んで言われた通りに、一度口に押し込んだフリースビキニを再び履いた。彼女のプロポーションと美貌であれば、全裸で連れ回してしまえば来場客達の視線を奪い、必ず彼女の肉体を奪おうとする者が出てくる可能性もあった。そのトラブルによってとばっちりを受けて、誰かが死ななくてもよい命が消える事となる。

男性客の腕をチタの豊満な乳房で包む様に組み付いたまま歩く二人。
「御主人様はどんな趣向がお好きなのですか?」
「ぅん?性癖?」
「はい」
「基本的には何でもありかな。俺は先ずなんでも理解する所から入るから」
「ご寛容なのですね。あの子、良い仕事していたのだと今更ですが理解できました」
「どゆこと?」
「だって、こんな素晴らしい男性にその身をもって命を捧げられたのですから、本懐だったと思いますよ」
嬉しそうにチタは微笑みかける。
「本来ならばウェルカムレディーの殺処分は串刺しにして晒すのがデフォルトだったのですが、彼女だけは自分が望む殺処分がなされた事で、誰よりも特別になる事ができました…御主人様に出会えた幸運に感謝している事でしょう」
「別に何かした訳じゃないけどな。・・・あ、遅刻したからか・・・」
「御主人様は年端もいかない子供があんな事を望んだり、殺されたりとかにあまり抵抗が無いのですね?」
「ここに来てるのって俺みたいな外道ばっかりなんだろ?郷に入っては郷に従えってね」
「ふふっ…そうですね。わたくし達も同じです♪」
館内をおしゃべりしながらのんびり歩いて散策デートをしている二人の傍で、突然声を荒げる男性客が居た。スタッフであろう少女の羊コスチュームを掴み上げて怒鳴っている。
「死神導師が居ないってどういうこった!?こっちは毎年楽しみにして来てるんだぞ!!」
掴み上げられた羊コスの少女は特に抵抗も無く、半眼の無表情で男性客を諭す様に話す。
「ですから先程も説明させて頂いた通り、死神導師は会場のどこかに現れます。姿を隠し、奇跡をばら撒くといった趣向ですので、私共スタッフですらその行動や出現場所を把握しておりません。ご了承よろしくお願いします」
男性客は相当量の酒を飲んでいるのか、真っ赤な顔に青筋を立てて酒臭い息を吐き出した。その様子をチタら二人組が足を止め見ていた。
「…チタ。あいつの言ってる死神導師って何者?」
「この魔界館では毎年恒例のマジックショーが催されているのですが、そのマジックショーの人気№1イシュージョンマジシャンです。あの彼の様に死神導師のマジックショーを楽しみに来館される方が多く、ステージ前面のボックス席には多額のキープ金が積まれていると聞いた事があります。腕は間違いなく一流でトリックや仕掛けなどは一切無いとも噂されています」
「へぇ~、そんなに凄いなら1度見てみたかったな」
「大変な気分屋だそうで…でも、噂ですと、一回のステージでアシスタントの子を7回も惨殺して、最終的に元通りに生き返らせた…なんて話を聞いた事があります」
「アシスタントが8つ子って事も無さそうだなぁ…はは、興味深いな」
傍らでは泥酔客をスタッフ数人で宥めにかかって穏便に済ませる様にと説得を試みていた。
「この落とし前をどうつけてくれるんだゴルァ!!おお~?ねぇ~ちゃんよ~?」
半眼の羊コスは「…フゥ」と溜息を吐いてから男に言い放った。
「それでしたら、お詫びに私をお好きにな様になさって下さい。それで納得して頂き、他のお客様に迷惑が掛からなくなるのであれば…」
「はっ!?はははははははっ!ぅわははははははは!!こりゃあ傑作だぜ、お嬢ちゃんがこの俺の相手をするだと?冗談も休み休み言えよ。」
泥酔客は一頻り笑ってから、半眼少女から手を放し解放した。
「いいえ、本気です。私一人で穏便に事が治まり、お客様がご機嫌良くお帰りになるなら、私はそれで充分だと判断しました」
「はっ!良い度胸だ。その澄ました顔を歪ませて泣き叫ばせてやる!おい、拷問できる場所に案内しな!」
「かしこまりました。こちらです」
半眼少女が歩き出し、泥酔客を案内する。
「俺はお嬢ちゃんみたいな幼児体系じゃなくて、あのねーちゃんみたいな大人のナイスバディーが好みなんだがなぁ…げひひ」
すれ違い様にチタを舐めるように見て下卑た笑いを浮かべる泥酔男。
「私の発育が足りず申し訳ありません。ですがどんな姿になってでも、お客様のご機嫌をとれる様に、私は命の続く限り全力を尽くします」

「あーいったパターンもあるのか…」
「非常に稀です。あのお客様は来年から招待を受けられなくなるでしょう」
「まぁそうだろうな…新年の無礼講とは言え、自制心を失う様じゃあまた同じ事の繰り返しをするんだろうなぁ。…やだねぇ」
「コンシェルジュが就いていなかった所を見ると、早々に使い潰してしまったのでしょうか」
「彼女は手切れ金代わりの役割に回ったのか?」
「お察しの通りです。やはり御主人様はご聡明ですね」
厳密には規約違反料として多額の引き落としが発生していて、素面に戻った時に男は蒼顔となるだろう。
「如何なさいますか?ご興味がおありでしたらご観覧できるかと思いますが?」
「え?他人のプレイも見られんの?」
「プライベートルームの個室にさえ入らなければ誰でもご観覧できます。あの様子でしたらオープンプレイブースに向かうのではないかと思われます…」
「何でそう推測したの?その根拠は何?」
「彼女の立場でわたくしでしたら、プライベートルームには案内しません。何故なら、プライベートルームの数は有限です。空きがある保証も無い上、満室であった場合、彼は更に激昂する事でしょう。その点、オープンプレイブースであれば、出来るだけ彼のマナーの悪さを衆目に晒す事ができる…と言う意図もあります。」
男性客はコンシェルジュであるチタの言葉に「ふむ、なるほどね」と納得した様子だ。
「ちょっと興味が沸いてきたな。どうせブラブラする予定だったんだ。ついて行ってみるか」
そう言いつつ男性客は館の奥へと歩き出すと、チタはすかさずその腕に組み付いて歩調を合わせる。
道中に様々なオープンプレイブースやショーブースの前を通りかかり、男性客の目を楽しませる。
眼帯の巨漢が少女の細腕を片手で握り潰し、肩を捻り折り、足を絞り粉々に潰して、少女に絶望の悲鳴を上げさせる。バキボキと生低い破砕音と共に枯葉の如く少女の骨は砕かれ、肋骨や脊椎までも意図も容易く握力と腕力だけで砕いてしまう一つ目巨漢男。悲鳴一つ上げられなくなった少女は、口から舌と泡を吐き出し気絶してしまった。漏れ出す汚物にも構わず少女の躰を無理に折り曲げ続けた結果、少女は四肢を巻き身体を折り畳まれ丸めて、肉団子の様な姿に変貌してしまった。
まるでバルーンアートの様な手際と手軽さで行われ、一人の人間が、少女が肉の塊となり果て、人間の原型を逸脱した姿に変貌したショーであった。
 別のショーブースでは緊縛された少女達があられもない姿で逆さに吊るされ、竹鞭や硬い革の一本鞭で何度も叩かれ、皮膚が破れ、骨は砕かれ、肉は腫れ上がり、流血している彼女達は激痛により失禁して、逆さ吊りにより嘔吐して惨めな姿をお客に晒している。
「お察しの通り、あの肉塊群もどこかの時点で処分されます」
チタは主の目線を追い、先回りでコンシェルジュとしての役割を遂行する。
「既に人間扱いじゃない言い様…」
「『既に』ではなく、『最初から』です。ショーの消耗品以外の意味はありません」
「ああ、そう…」
次に目に留まったのは、10代前半の羊コス少女が数珠繫ぎの小道具をそこに集まった観覧者達に披露していた。男性客はふと興味を持ったのか足を止めてそのショーブースを見た。チタも男性の肩越しにそこを覗きこむ。
清純そうな少女が両手でその数珠繫ぎの長い物体は、弾帯状に連なった特殊な作りの爆竹だった。
末端には筒状に巻かれた爆竹束…。その末端の筒を少女は自らの縦スジを分け開き、観客によく見える様に膣内に押し込み始める。
腰をくねらせつつ徐々に奥へと筒を体内に導き入れていくと、下腹部がポッコリと膨れているのが見て取れた。
股間からはみ出した帯を臀部に回してから左足に巻いていき、腰、続いて上半身から右腕から手に、そしてそこから巻き戻しつつ、首を2回周回して背中から右足を回し、更にウエストを覆う様に回し、最後に左腕へと続いて、まるでミイラの様にグルグル巻きになった。
「ご主人様、派手な音が鳴りますので、耳を塞ぐ事をお勧めします」
「ああ、予想してた」
男性が耳を塞ぐのと同時に、少女は用意されていた燭台の蝋燭の火を導火線に移した。一拍の間を切り裂く如く連続した破裂音と空気を震わす衝撃と白煙が清楚な少女を包み隠す。白煙によって少女の足しか見えないが、連続した小爆発の軌跡が少女の躰を這い回っているのがよく分かる。
小爆発が止まると、空調換気によって白煙はすぐに排出され、少女の変わり果てた姿が露わになった。全身の肌を破裂によって散らされ、火傷と生傷が覆っていた。
生まれたての小鹿を思わせる覚束ない足で懸命に踏ん張って立って居る。少女は観客達に二コリと笑顔を振り撒き、吹き飛び、千切れ落ちそうな指でダブルピースで愛嬌を見せつけると、次の瞬間、盛り上がった下腹部が爆散した。
その衝撃によって前のめりに倒れる少女。
爆散し内臓を垂れる少女は、予め床に置いていた筒へと這い寄り、それを銜えると燭台に向けて点火した。そしてそれを飲み込もうと口の中へと入れ嚥下する瞬間に爆発した。
清楚だった少女の頭は内側から爆散し、脳漿を撒き散らし無残な屍を晒した。
残った肉体の部分は脊椎反射で妙な動きをし、痙攣して鮮血を噴出していた。
ステージ前には透明なアクリル板によって爆発によって飛び散った血肉を観客につかない配慮をされている為に、誰も被害を受けてはいない。アクリル板には少女の顔の残骸が張り付いて、自重によって伝い落ちている。
「ホント、ここの子達はよくやるなぁ」
「そう調整されていますので」
「調整…ね。強制や強要じゃないのか?」
「いいえ、調整です。自らそう出来る。ないしは自らの意思に基づいた行為です」
「たまげたな」
 再び歩き出して感嘆の声を漏らす男性に、チタは静かに微笑んだ。
 物見遊山で歩いていると、例の騒がしい男性客を見つけた。
チタが予想した通り、拷問ブースで数人の観覧客に囲まれて半眼少女を嬲って遊んでいた。
男は既に満身創痍な少女に対して啖呵を切り、汚い言葉を浴びせ掛け、手痛い一撃を浴びせ、また罵るといった事を繰り返している様をギャラリーは冷やかな目で見ていた。
 一方の少女はか細い吐息を繰り返し、まさしく虫の息だった。
少女は三角木馬を跨ぎ、宙空に浮いた細い足には均等に錘がぶら下がり股間を引き裂かんばかりに引迫し、激痛を与えている。
仰け反った少女の腹や発育途上の乳房には鈍器による青痣が幾つも浮かび上がり、首と両腕には板枷が嵌っているのだが、両腕は切断され、板枷にぶら下がっている状態だ。
そこから上はもっと酷かった。
両目は繰り抜かれ、視神経が瞼からはみ出し、口は鈍器の一撃でも受けた様に歯は折れ、抜け散り、唇や頬はズタズタに引き裂かれ、曲がった鼻と共にドス黒い血を垂れている。
男は下卑た笑みを浮かべて、汚い言葉を吐きつつ、少女の乳首を鋏で切り落として痛がる少女の反応に狂喜する。
ここまで追いつめてもまだ止めを刺さない醜悪さに観客は眉根を寄せている。傍らではブース管理のスタッフ少女がその残酷な行いに目を背け、止めの許可が出るのをじっと待っている。手に持った電動ドリルを握り締めて感情を押し殺している様子だった。
「ふぉう殺ひへ下ふぁい。おね…が、ひひまふ…」
少女は蚊の鳴く声でだが、ハッキリと生命への開放を懇願するが、男は唾を吐きかけて拒絶し、更なる罵倒を浴びせかけて、太腿に持っていた鋏を突き立てた。
「はっ俺はまだまだ満足してねぇぜ?嬢ちゃんが俺を満足させてくれるんじゃなかったのかい?」
誰もがこの男からは悪意しか感じとれなかった。
少女の…否、人の気持ちを一切汲み取らないKY男性に誰もが嫌悪感を抱いたが、規約によって手出しは出来ないでいる。
「酷いものですね…」
チタも主にだけ聞こえる様に呟いていた。その言葉に無言で頷く。
ここで言う『酷い』とは彼のした拷問方法の事ではなく、彼自身への誹謗である。行為自体はもっと凄まじいものが館内には五万とある。だが、他の来場者への不快感を与える言動や態度に、観客達やスタッフ達は憤りを感じているのだ。
そんな中、男に男性客の一人が歩み寄って行った。
「なぁあんた。喉が渇いただろう?さっきそこで受け取ったマテ茶だけど、口を潤すといいぜ」
男性は手に持ったグラスを男に手渡す。男は実際喉が渇いていたのだろう、それを一気に呷った。すると、男はグラスを取零してその場に倒れてしまった。
観客達は騒然とその様子に目を丸くすると、下品な男は鼾をかき始めた。
昏睡ではなく、ただ単に眠ってしまった事に周囲は安堵した。
男性はジャケットを翻しクルリと回転する。次の瞬間には派手な仮面とシルクハットにマント姿に姿を変えた。
その周辺に居た観客達は、その姿に歓声を上げ、会場を震わせ響かせた。
『出たぁぁぁああああ!死神導師だぁぁぁああああああ!!!』
その言葉は瞬く間に波紋となって広がり、観客達が我先にとその場に殺到し始めた。
そんな騒ぎもお構いなしに、導師は指をパチンと鳴らした。
近くの空間から濃厚な煙と共に金髪に紅瞳の美少女が飛び出してフロアへと華麗に着地した。
『ルル嬢だぁぁぁああああああ!』
その狂喜とも思える叫びにルルのファンまでもがそのブースに集まってくる。
まさかのダブルオンステージに観客達は興奮の坩堝と化した。
ルルが半裸の衣装姿でポーズをとると、盛大な拍手が舞い起こる。導師は再びパチンと指を鳴らし、ボンと籠った音と共に濃密な煙が傍らを包む。
煙が晴れるとそこには巨大な容器を擁した機器であった。
ルルは半眼少女を木馬と板枷から解放して抱き抱えた。意識があるのか無いのかぐったりと脱力している。
「さぁ。貴女の仕事よ?」
ルルはブース端で電動ドリルを手にしたまま呆然としていたブース管理人の少女へと声を掛け、呼ばれた当人は我に返った様にハッ!と息を呑んだ。
慌てて駆け寄り、持っていた電動ドリルの錐を憔悴した半眼少女の頭に定めてトリガーを引き絞った。
「う…」と呻き声が上げ、そのまま脱力した。グリグリと回すドリルの錐は根元まで頭に埋没して、少女の苦痛を解き放ったのだった。
作業を終えて、ブース管理人の少女は引き下がるのだが、その行為にGJ拍手がちらほら上がり始め、徐々に数が増し、盛大な拍手へと変貌した。
ルルは少女の遺体を抱えたまま、大きな機器へと歩み寄り、導師の助けを借りて機器の上に立った。
指パッチンの音で機器の上部が蓋を開いた。丁度ルルの足元だ。
ルルは機器の中にそのまま入り自分でその蓋を操作して蓋を閉めた。
機器内部を見通せる窓からは少女の遺体とルル嬢が狭い空間に密着する形で収まって居るのが見て取れた。ルル嬢は狭いなりに観客達に手を振り、愛嬌ある笑顔を振り撒いている。実に余裕ある衆目慣れした振る舞いに観客達も大興奮で歓声をあげている。
導師は役目を終えて気が抜けたブース管理の少女の手を取ると、びっくりして身体を強張らせたが、導師はそんな様に構う事無く手を引いて機械の前に連れて行く。
そして、ちょいちょいと機器の一部分を指さしてみせる。
「?・・・押せって事ですか?」
導師は頷いた。
「・・・え、じゃあ・・・」
少女が機器のスイッチを押した瞬間、けたたましい騒音を耳に受け反射的に機器を見上げた。ルルが手を振っていた小窓にべったりと泡だった血で染まっていた。
「ひぇぇええ!?」
小窓から見える様子では、内部は高速で撹拌されているらしく、細かく裁断された血肉や筋・骨・内臓などが綯交ぜに泡立って小窓をうち付けていた。
言い換えれば巨大な人間用ジューサーだ。
少女は恐怖に腰が抜けたのか、その場に尻もちをついて失禁してしまった。その様子に観客の一部からは嘲笑を注がれる。
わたわたと逃げる様に四つん這いで這い、定位置に戻ろうとする。だが、目の前に突然ボンと、煙が発生し行く手を阻んだ。すぐに煙が引くと、水槽が出現していた。
少女が目をぱちぱちと瞬かせる間に、運転が停止した機器から水槽に中身が注がれ出した。
元々かわいらしい少女であった二人分のペーストが、少女の目前の水槽へと注がれ血の錆臭さと内臓に含まれるアンモニアや胃酸や汚物、脳漿といったものが綯交ぜになった生臭さが少女の鼻腔を直撃し、嗚咽感が喉を込み上げている様子だ。
血は水よりも濃し。濃縮された動物の人間の哺乳類の、血と脂と細胞の咽返る様な悪臭に本能が拒絶し意思とは無関係に、目前の水槽内に吐き出した。
やがて水槽が並々と満たされると、導師は指パッチン一つで巨大な機械を煙と共に消滅させてしまう。ブース管理の少女が邪魔なのか、導師は少女を猫摘みで軽々と持ち上げて、定位置まで持って行った。
強烈な吐き気に噎せ、同じスタッフに背中を擦られ粗い吐息を吐いている。
鼻を摘まみたくなる水槽にアクリル板の蓋を被せて固定金具で密封した。
臭いものには蓋をするのは道理と言うものだ。
半眼少女の遺体と生きたままのルル嬢のペースト+ゲロの混ざった汚物をどうしようというのか、観客達は固唾を呑んで見守る。
導師は羽織っていたマントを取り外し、水槽にファサリと掛け、そのまま上へ払い除ける。すると水槽の蓋の上に半眼少女が立って居た。切断されていた両腕はそのまま板枷と一緒に放置されているのに、少女は五体満足で元通りの姿に戻っている。そしてルル嬢はエナメルのボンテージ衣装でギチギチに拘束され、空っぽの密閉された水槽に身体を丸めて収まっていた。ご丁寧に目隠しとボールギャグ付きだ。
水槽に密着した股間は粘り、愛蜜を溢れさせているのがよくわかる。
導師は記憶と状況の差異で混乱した半眼少女の手をとり、ルル嬢が窮屈に納まった水槽の上から降ろして、大勢の観客達にお辞儀した。
一斉に盛大な拍手が会場を沸き上がらせ、歓声に満ちた。その中でも少女の生還を喜ぶもの、いけ好かない男性客に一矢報いた導師の功績やルル嬢の卑猥な状況。アドリブで参加させたブース管理の少女へのドンマイ拍手など、沢山の意思が籠った温もりある拍手であった。
スヤスヤと寝息を立てている下劣な男性客は、スタッフによってストレッチャーで運ばれお引き取りになった。
 導師達を取り巻く集団から逆に離れて行くカップルは初見の男性客とチタだった。
人混みから抜け出すと、一息吐いて飲み物を運ぶ羊コスのスタッフ少女からカクテルを受け取り、それで渇いた喉を潤す。
「なるほどね。話に聞いた通り、不思議なマジックだったな」
「目の当たりにするとその凄さが解りますね」
「チタも初めて見たのか?」
「はい。前情報は入れていますが、実際に見たのは初めてです」
「毎年やってるんじゃないのか?」
「そうですが、去年はブース管理要員でした。その前は死体処理と清掃係でしたから機会がありませんでした。仮に近くの担当になれてもお客様のお相手や、お世話でじっくり観られる訳ではありませんので」
「あー、そっか」
「ところで御主人様。ご確認したい事があります。よろしいでしょうか?」
「ん?なに?」
「今回の新年イベントが終わった後、わたくしは来年もコンシェルジュとしてお世話させて頂く事になりますが、わたくしに禁止事項があれば承ります」
「どういう事?」
「来年のイベントまでに時間が空きます。その間に髪を切ったりムダ毛を処理したりがあると存じます。ピアスの施術や、染髪、肉体調整などの変化が多少はあるかも知れないので、先にそれらを指定して頂ければ幸いなのです。」
「あ~、そういう意味か。んじゃ、俺以外とのセックスはもちろん妊娠禁止ね。それとプロポーションは維持する事。髪は…今の長さをキープして、肌も傷跡残さないで…当然タトゥーや刺青も禁止で。まぁこんなもんかな」
「賜わりました」
「ああ、あと、性器周辺のピアスもノーサンキューだ」
先程のブースから人混みが薄れていく。どうやら解散したらしい。
「重ねて…」
チタは弾力あるおっぱいを揺らし、深々とお辞儀をして男性の指示を受領した。
「はぁ、来年も死神のマジックが見たくなったな。今から楽しみだ」
「どうですかね。気まぐれなお方と聞き及んでいますので、どういった形態になるか予想が尽きません」
「そういやあの後から出てきた金髪ロリの娘は何?アシスタント?」
「彼女は死神導師の次に人気のマジシャン『不死者のルル・ヴァンブラッヤー』です。ルーマニア人らしいですが事実かどうかは確証がありません。情報では何度死んでも自力で甦るそうですが、本人は極度の真性マゾの変態との事です」
「あっははははは~なんだそりゃ♪おもしれーな」
「申し訳ありません。今はこの位の情報しかありませんが、次回はもっと詳細なデータを集めておきます。」
「またどこかに現れるんだろ?全部の催し物を見れた訳じゃないからそろそろ見て回るか」
「はい!ご案内致します。魔界館の全てをご覧になって楽しんで下さい!」
二人は腕を組んで再び歩き出す。
その後ろ姿を半眼少女がじっと見つめて願う。
因り良い出会い、撚り良いひと時、選り良い幸運、依り良い新年を・・・

                         イリュージョン (未年編) 了

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

イリュージョン(午年編)


ここは魔術師の館。マジックショーを披露する娯楽施設『魔界館』。
毎年行われるイベント企画で、どのマジシャンも新年を向かえ、午年に因んだネタを披露している。
この施設では飲食も出来るので、ショーを見ながらお酒を飲むお客さんが多い。勿論、成人(得に店側の認めた富裕層)のみの入店に限られる。 未成年者も店側が入念な審査をパスすれば、入店だけは可能である。
毎年多くの会員が訪れ、新年に一度の一大イベントを満喫するのだった。
中でも人気なのがイリュージョンを専門にしているシニガミ導師のマジックの人気が高い。

 客席は導師のマジックショー開演を今や遅しと心待ちに賑わっています。
ステージに近い客席の前方にあるVIP席は小さなソファーで囲ったボックス席で、モニターの据えられたガラステーブルには、高価なお酒類が並び、長い髪の毛をポニーテールに結わえた半裸姿のラウンジガールがお客を持て成す高級席である。
毎度の事だが、ラウンジガールの人種はまちまちで西洋系、東洋系、白人、黒人、黄色人と、一貫性が無い。 そうなると、言語の壁が隔たりを生むのだが、いずれもラウンジガール及びスタッフ一同は最低でも21ヶ国語の公用語をマスターしているので心配無用なのだが、世界各国のブルジュア層が一箇所に集まったりはしない。
何故なら、魔界館からの招待状は勿論の事、店側も他国民共同でのイベントなど企画しない。 そんな事をしてしまうと、民族や宗教観念の相違、文化形態の相違で、客同士での諍いが絶えず起こってしまい、店側も対応に大顕わになってしまい、新年を祝う所のイベントでは無くなってしまう。
故に午年を祝う日本人は、日本だけの招待となっている。 そうでなくともかなりの人数が来店していて、決して狭くもない魔界館は来客でごった返していた。
招待された本人だけでなく、従者としてのお供も数人ずつ来店しては、そういった様相もありうる話となる。
従者の多くは招待客の「人権の無い奴隷」でなければならない。
妻や夫、親、兄弟、親類縁者では、魔界館の厳しい審査にはパスしない。(例外的に血縁者であっても、実際は隷属生活を余儀なくされ、普通の日常生活から隔絶されているのであれば「所有奴隷」扱いでパスできる)
血縁者と言うだけでは入店できないのは、フリーメイソン並みの秘密クラブである為、表社会への口外を防がなくてはならない。 親の傘に入店を希望する者は、虚栄心の塊であるロクデナシと相場が決まっているのだが、勿論例外もある。
親の莫大な援助が一切無しで、自分一人で伸し上がった成金であれば、親類が会員であっても、本人の希望があれば一個人として入会案内が許されている。
 以上の点から、社会から隔絶された奴隷であれば、秘密が外部に漏れる事はなく、後処理も容易である為、審査は容易にクリアできる寸法である。
店側のラウンジガールは全て魔界館の所有物であり、従者との見分けをつける為に、身体に六亡星魔方陣の様な模様が刻印されている。 客は彼女らに対してどんな行為をしてもOKである。(その都度スタッフに高額な買取価格を支払わなければならないが、お祭り気分で気にする客は皆無である)
魔界館は年会費でショー等の催しと、別途のお楽しみで収益を上げているのだ。
ほら、ここにもそんなお客が居ましたよ。
「おや?○○さん。今年もご盛況ですね」
そう呼びかけられた無精髭の男は声の主へと振り返ると精悍な顔を綻ばせた。
「これはこれは・・・いや、どうも。新年明けましておめでとう御座います。」
「珍しいですね。○○さんがギャンブルとは・・・。てっきり賭博はNGだと勝手に先入観をもっていましたよ」
「いやはや、恥かしいところを見られましたね。仰る通り賭博なんてしない性分ですが、マジックショーの開演よりも早く来てしまいまして・・・こうして、時間を潰していたのですが、自分にはビギナーズラックとは無縁の様でして・・・」
頭を掻きながらハハハと笑う。  
男がしていたのは花札だ。 
ブース横では、今まさに負け分の回収が行われている最中だ。
男の連れである女性。短い栗色の髪をポニーテールに結わえ、豊かな乳房と括れたウエストラインを備えた成人女性だ。
「いやっ!いやぁぁぁぁぁっ!許して!お願いですからぁ!なんでもします!ご、御主人さまぁぁぁぁ!」
涙と鼻水を垂らし回収の手を逃れようと必死に抵抗する女性。
だが、女性の身体はリクライニングされた長椅子に、身体をガッチガチに拘束されて身動きなど出来ない。
スタッフは女性の脇に止血帯を通し、肩口に巻いて血流を止めた。
「では、回収を始めます。よろしいですね?」
「うむ。負けは負けだ、仕方あるまい。」
男はデーラーの女性に承諾すると、回収スタッフが連れの女性に群がった。
「いやぁぁぁぁぁああああ!助けてぇぇぇえええええ!!いぎぃい!いだぁぁああ!いだいぃいいいぃぃい!!んぐぅうっ!!」
回収スタッフの姿で女性の様子は見えないが、あまりに騒ぐので、口に噛ませ物をされたようだと想像するに難くない。
程なくして、血塗れのスタッフが女性から離れると、その手には女性の切断された腕部が握られていた。
女性は噛ませ物を食い縛り、べたべたの鼻で荒い吐息を吐いて、固定された首を切断された肩口へ視線を向けようとしていたが、スタッフは黒い布を顔に被せて視線を遮ってしまう。見ない方がよいとの配慮だろう。
「ぼ、ぼすひんはまあぁ・・・ほう、ほはひにひへふらはいぃぃ」
轡越しに言葉にならない嗚咽の言葉を、左腕を失った女性がか細く言った。もう、終わりにして下さい・・・と。
「初めて見るペットですね?去年から飼い始めたので?」
話しかけた男が無精髭の男に問う。
「ええ、とあるサイトで知り合ったんですがね。一度抱いてやったら懐かれちゃってね。」
無精髭は捨て犬を拾ってきた様な気軽さで笑った。 その傍らには、金の乳首ピアスに分厚い首輪を細いチェーンで三角に繋いだ少女が、ぶるぶると身を震わせて、女性を見ないように瞼を固く引き結んで耳を塞いでいた。
「まだ勝負を続けますか?」
と、ディーラーの女性が無精髭に問う。
「ああ。ここまで来たら引き下がれんだろう」
無精髭はニヤリと口元を吊り上げた。 ディーラーはぎこちない手つきで札を繰り、これまたぎこちない手つきで札を配った。
当然ディーラーが親なので、手札の桜を場の桜と合わせ、山札の中から杯を引き当てて、場の菊と合わせて取る。
第1手目で「花見で一杯」を完成させるディーラーに無精髭は舌打ちをした。
「イカサマの可能性は?」
出来すぎた手役に、知り合いらしき男が傍らで野次ると、無精髭はその言葉を否定する。
「このディーラーはその辺で接客していたのを連れて来て打たせているから、そんな芸当は出来ないはずです。過去の経歴までは知らないですが、さっきの手つきはどう見ても素人でしょう?」
「まぁ、確かに・・・。」
納得する言葉を述べても、心の内は「真にプロならば、手つきこそ素人に見せる演技くらいはやって除けるだろう」と思っていたが、口にはしなかった。 彼の連れがどうなろうと、男にとっては知った事ではないからだ。
「勝ったらどうなるので?」
「賭博ブースでのルールで、ディーラーである私の首を差し上げる規定になります。お客様が負けた場合は、お客様ないしはお客様の代理者の各部位を回収させて頂きます。・・・こいこいです」
無精髭ではなく、札を打ちながらディーラーが男に説明した。 場では見る見るうちにディーラーが札を取っていく。
「なるほどね。ところで、君は花札の経験があるので?・・・こいこい」
「ルールと手役は嗜んでいますが、殆ど打った経験はありません。」
その言葉に無精髭の額に青筋が浮き出していた。 ずぶの素人相手に圧倒的な負けを晒してしまっていたのだ。
ゲームテーブルに並んだ札は内蔵されたマイクロチップによって自動的に手役を算出できる仕組みで、テーブル中央のモニターに獲得文数が表示される親切設計で、画面には親の勝ち(回収P3)と表示されている。
「回収に移ります」
ディーラーは冷たくそう言うと、拘束された女性に回収スタッフが群がり、反対の腕と両脚を切断にかかった。 ギャラリーも多く群がって来て、女性の手足の切断ショーを眺めてひと時を楽しんでいる。
「どうやら負けた文数で回収ポイントが変動するのですね。よく出来てる」
ベットされた女性のくぐもった悲鳴を余所に、知り合いの男は独り言のように呟いた。 大敗を期した無精髭は頭に血が昇って怒り心頭の様子だ。
「よし!勝っても負けてもラスト一回だ!あの愛玩動物は好きに処分してくれていい。」
回収作業が終わる前にディーラーへ勝負を仕掛ける無精髭。
覚束ない手つきで配られた手札を見て、男は勝ちを確信した。既に五光が手元にある。場には雨があり、それさえ引き当てれば安泰である。
静観を決め込む男もその手札を見て「ほう」と感嘆の声を上げた。これで負ける方がどうかしている。
回収作業が終わり、連れの女性は四肢を失い、切断のショックで頭と胴体だけとなった身を痙攣させて失禁していた。
傍らの少女がチラリと目にしたのは、回収スタッフが切り離された脚を抱えて運ぶ姿に、恐怖で身を縮ませた。
賭博に熱くなった主は、自分をも賭けに出してしまうのではと、戦々恐々となっている。 そうでなくとも、この後に控えたマジックショーで、過去2回の客弄りに遭っている少女は、どこで命を落とすか気が気ではなかった。
「よっしゃっぁあああああ!」最後の札を取り終えて、男はガッツポーズをとってディーラーに勝利した。
「お客様の勝ちに御座います」
ディーラーは他人事の様に冷めた口調で、中指をおっ立てた無精髭を上目遣いで見上げる。
「魔界館賭博規定に従い、ディーラーの命は勝者であるお客様の物です。こちらへどうぞ」
ディーラーに案内される無精髭は上機嫌だ。そして、知り合いの男性も野次馬根性でそれに追従した。
すぐ近くにある処理室と札のかかったドアを開け中に入る。
連れの少女と男性は中までは入らずに、入り口でそれを静観する為に端へ寄って待機した。
中にはギロチン台が鎮座し、引き上げられた重厚な刃が鈍い光を反射していた。
「うつ伏せと仰向けのどちらをご希望でしょうか?」
ゼブラ柄の全身タイツを脱ぎながら無精髭に問い掛けるディーラー。脚まで下げたタイツを抜く際に乳房が前屈みでたぷんと揺れた。
「このギロチン台はタイマー作動と手動作動の2方式で選択可能ですが、使用しなくても構いません。この部屋に備え付けてある物ならばどれをご使用なさっても構いません。」
部屋にはズラリと拷問器具が取り揃えられているが、大道具はギロチン台と電気椅子の2つしかない。
「ふむ、ならばそのギロチン台に仰向けだ。そしてタイマーにしてくれ」
「作動時間は如何様に?」
ふむ。と頷いて腕時計を見る。
「20分後だ」
「畏まりました。タイマーをセットします。それと、テイクアウト用にあちらにホルマリンの入った瓶が用意されていますので、必要でしたら自由にお使い下さいませ」
その言葉で首一つ入るであろう瓶を認め、無精髭は頷いた。
ディーラー娘はギロチン台の機器を操作してから自ら刃の下へ仰向けに頭を通し、両手も固定板の窪みに宛がうと、「ピ、ピ、ピー」と電子音が鳴り、半割れの板が自動的に下がってガチャリとロック音がし、ディーラー娘の首と手首を挟み込んだ。軽くブリッジ姿勢のディーラー娘は、これでギロチンの刃から脱出不可能になった。
「カウント開始です・・・あっぐっ!」
ポニーテールを垂らした彼女が板越しに宣言した直後、無精髭は器具の中から手に取った千枚通しを、彼女の乳房に突き立てた。そして次にバーベキュー用の串を軟らかい双丘に突き通す。
「へぇ、アソコは綺麗なもんだな。ここのスタッフは上玉揃いだ」
後ろの壁にもたれて静観する、男も親指と股間を立てて無精髭の言葉に同意した。
「お褒め頂き、ありがとう、ございます。勿体無いお言葉、恐縮です」
串の貫通と、無理な姿勢で声が上ずっていた。
「今生の別れになるんだ。折角だから使ってやるよ」
無精髭はズボンを下ろして怒りに膨らんだ一物を、丹念に剃り上げられた秘所に宛がうと、無精髭の一物にヌルリとした感触が伝わった。
「おいおい、こんな酷い仕打ちを受けて気分をだしてるのかぃ?」
「お恥ずかしながら・・・」
拘束板で表情こそ見えないが、彼女は肉体的な苦痛と、迫り来る確実な死の状況にも関わらず性的な興奮を晒し出していた。
自ら分泌した蜜を潤滑剤として男を受け入れるディーラー娘。
一瞬の抵抗と供に膣奥まで挿入され、か細く呻いたとき、内腿を鮮血が伝い落ちてきた。
男はそれに気付かずに激しく腰を振り、彼女を思うまま犯した。
上体は突き上げられる度に揺れ動き、乳首の勃起した美乳は胸の上でプリンの様に揺れ、下腹部は内側から小さく隆起を繰り返す。
「具合が良いぞ。中にぶち撒けてやるぜ」
「子宮の奥まで吐き出して下さ・・・ぁあっ!」
男は射精と同時に手にした大振りなナイフを彼女の腹に突き立てた。丁度臍の上辺りに深々と突き刺さり、突き立ったナイフをそのままに手を離して結合から離れた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・言い忘れましたが、わたくし、排便の処理を行っており・・・うっ!・・・ませんので、処置完了の際はお見苦しい物を仕出かすかと存じます。・・・その点ご一考、・・・ご、対処下さい。」
その言葉を聞きながら、無精髭は女性器から白い内腿を伝う血痕にようやく気付いた。
「なんだ初モノだったのか。いや、これは傑作だ。ハハハ」
彼女は口から込み上げる熱と嘔吐感を必死に耐え、柔らかな唇から漏れ出した鮮血が一筋垂れる。 ナイフによって肝臓か膵臓を損傷したらしく、ディーラー娘の意識が朦朧とし始めて、苦痛に表情が歪もうとするのだが、気力で微笑もうと表情を作っていた。
「そろそろ時間ですよ」
静観を決めた男が腕時計を見つつ無精髭に声をかけた。
「そうだ、俺の可愛い愛玩動物をオナホールにしてくれたお礼をしなきゃな」
そう言って器具の中から持って来た鋭く尖った鉛筆の束を膣に差し込んでいくと、頭を揃えた鉛筆の束を一気に蹴り込んだ。
絶叫を上げるも直ぐに立ち直って耐えるディーラー娘。目には大粒の涙が伝っていたが、無様な言葉は一言も発しない。
数分前までは新品の処女性器だった股間は、蹴り込まれた鉛筆の束によってズタボロに破壊し尽されていた。
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、
再びあがる電子音。
「それでは、お客様・・・の、良い、お年を、願って・・・」
ピーーーーーーーーー!ガシャコン!!
無機質かつ機械的に落ちたギロチンの刃によって少女の首が切断された。ポニーテールが弧を描き床に落ちて転がり、首を失った身体は鮮血を噴出して身を振るわせて、勢いよく失禁した。
板枷に挟まったままの手首が上体を支え、首を失った背中を宙に留めたままだ。 身体は悶え動いて切断された首から吐き出す血潮でギロチン台を紅く染め上げ、胸を上下させ生命の残滓を見せていた。
無精髭は転がった生首の髪束を掴んで持ち上げると、少女の首は微笑を浮かべて瞳から生気が徐々に消え、薄く開いた口からテロンと軟らかく弛緩した舌がこぼれ出した。
無精髭はニヤリと笑い。案内されたホルマリンの瓶に、まだ意識が残る生首を押し込んで蓋と施錠をした。
ホルマリンの容量が半分だった為、溢れ出す事もなかったのは、ちゃんと計算され尽くされた結果だった。
入り口付近に佇む二人に軽く手を上げて「待たせたね」と一言言って、少女に「戦利品」を持つ様に指示した。
「いやはや、良い見世物でした。ありがとう」
「こちらこそ、どうも。また後で」
と手短に言葉を交わしてから男と別れて処理室を出た。
すると、回収スタッフの一人が待ち構えて居て、部屋を出るなり声を掛けてきた。
「お待ちしておりました。お連れ様の処置が済みましたのでご返却致します。」
別のスタッフが台車を押して前に来る。 台車の上には包帯をグルグルに巻いた上にエナメルのボンテージを着せられた四肢を失った連れの女性だった。エナメルのボンテージ衣装は胸と股間が剥き出しで、代わりに四肢の切断面と鼻上から額までを覆う様にデザインされた魔界館特有の特注品だった。 
「はははっ無様な姿になったな~オイ。ぷ、ククク・・・」
連れの変わり果てた姿がツボに入ったのか、大笑いをする無精髭。 そんな様子を察してか、当の女性は嗚咽混じりにスンスンと泣いて悲しみに暮れていた。
「傷口を焼き、切断部位から剥がした生皮を貼り付けて縫合しています。一応、麻酔がまだ効いていますが、痛み始める様なら再投与致しますので、お気軽にお申し付け下さい。」
恭しく頭を垂れて行ってしまう回収スタッフ。
「まぁ、そんなに泣くな。お前の手足の犠牲でちゃんと戦利品を手に入れたから、後で見せてやるよ。しっかし、可愛らしい姿になったもんだなぁ」
「ぁぁぁぅ…どうしよう…手がぁ…脚がぁ…何も出来なくなっちゃったぁ…どうしよぅ…ううっ!」
その痛々しい姿に少女は顔を背ける。
次に自分がこんな姿にされるかも分からないのだ。 そうでなくとも、今は元通りになっているが、一時的にダルマにされて酷い仕打ちを受けた経験がある。 死の瞬間の記憶は曖昧ではあるが、元通りになった肉体が覚えているのか、凄惨かつ痛烈な体験だったと少女の肉体は告げていた。 意識的に覚えているのは、手足を失いステージ上でいい様に弄ばれた喪失感からくる無力感と羞恥心、そして絶望からなる避けられぬ「死」への虚無感だった。
目の前の女性はそういった感情で混乱を極めていると、経験者である少女だけはその思いを共有できている。
願わくば、あの仮面の魔術師にステージ上で弄られながらも、最終的には元の姿に戻れる事を願うばかりだった。 異常性癖の変態客の晒し者にされた上、無残な死を擬似的に体験する訳だが、今後の事を鑑みれば、それでも手足が戻り、来店した時と同じ姿で帰れる可能性に期待したいと願う。
タネや仕掛けは全くの不明だが、あの仮面の魔術師ならば不可能ではないと切に願う少女だった。

・・・

 予定されたシニガミ導師の舞台ブースへ到着したら、既に前座が開幕していた。予め指定されたボックス席に入って、高級なソファーに腰を降ろし、少女は台車と供に脇へ控える。
(余談だが、イベント開催前にブース席を予約し、高い金額を支払わなければならないのだ)
無精髭の男は周囲の静けさに驚きつつ、舞台に目を移した。
ステージ上では、明るい栗色の長髪をポニーテールに束ね、黒いレオタードと白い燕尾服の上着を羽織った20代の美人が、履いたパンプスから軽快な音をリズミカルに打ち鳴らして踊っていた。
パンプス靴底の爪先(ボウル)と少し踵の上がった踵(ヒール)には「タップス」と呼ばれる金属が装着されている。
タップダンスには欠かせない部品だ。
軽快に跳ね、引き締まった瑞々しい肢体と弾力と柔軟さのある乳房、縦巻きのウェーブのかかったポニーテールを揺らす度に、幾重もの床を打つ音色がリズムを刻む。
美人女性は様々なステップの種類を駆使しつつも、実に楽しそうにタップダンスでステージ上を舞っていた。
少女はその美しい姿に見蕩れ、息をするのも・・・いや、凶悪な主の顔色さえ伺うのも忘れて、その美しくも妖艶な舞と調べに心奪われていた。 少女と同様に無精髭の男ならずも、そのステージを観る者は、時が止まった様に微動だにせず、そして言葉を失っていた。
有名なプロタップダンサーのステージを目の当りにした客も少数居たが、彼女の『それ』は夢物語や神話を観ている気分にさせた。 1秒間に3音の快音を響かせて、美しい女性は実に楽しげな表情で多様なステップを刻む姿に誰もが息を呑んだ。

 カカカッカカッカカカッカ!!  
女性は一層の快音で脚を止め、上体のバランスをとる様に両手を大きく広げて胸を逸らして完全停止した。
・ ・・シン・・・と無音が周囲を包むと、女性タップダンサーは深々と御辞儀で客席に長いポニーテールを垂らしたのを皮切りに、客席からは割れんばかりの拍手喝采が堰を切った様に巻き上がった。
賞賛や賛辞を贈る者には涙を流す者も少なくなかった。
その中に幼さの残る少女も含まれている。 少女は人生初のタップダンスを観た訳だが、言葉に出来ない感慨深い衝撃に涙が止まらなかった。少女の主である無精髭の男も、満足気な溜息を吐いてステージ上の美しい女性に心奪われていた。
それは恋に近い感情だったのかは、本人のみの知るところだ。
タップダンサーの女性は、ヒマワリの様な笑顔で何度も客席に御辞儀をし、賞賛を浴びていた。
しかし、来客の心を鷲掴みに魅了したタップダンスは『前座』なのだ。
客の心はシニガミ導師のステージを観ずとも既に満足し切っていたのだが、一旦袖口に引っ込んだ美女が再びステージに姿を現した時に客達は正気に戻ったのだ。
 美女は台車に載せた箱を押して出てきたのだ。 それは座布団くらいの面積の四角く透明な小さな箱だ。
それをステージの真ん中に据えると、ポニーテールの美女は台車に乗せていた幕巻を持って箱の上に立った。
手にした幕を大きく広げた一瞬で箱の上に乗った美女は、羽飾りに彩られた不気味な仮面で素顔を覆ったシニガミ導師と入れ替わり、手にしたままの幕を横へ投じつつ両腕を大きく開いた。
ポニーテールの美女はシニガミ導師の足元に据えられた透明な箱に身体を丸めて収まっていた。 蓋など無い小さな箱に窮屈そうな、身動ぎ一つ出来ない体勢で美女は無力にも詰め込まれている。
シニガミ導師の突然の登場にやや遅れて喝采があがった。
そして客達は、栗色のポニーテールな美女のタップダンスは『前座』であったのを再認識させられたのだった。
 ストンと接合部の無い箱から降りた導師は、その足でスタスタと客席のボックス席へと降りて来た。
少女はビクリと身を強張らせた。・・・苦い記憶が蘇る。
今年は年上の女性が加わっているので、どうかそちらを弄って欲しいと瞳を固く閉じて切に願った。
拍手が上がって周囲を見渡せば、別の少女が導師に手を引かれてステージに金属音をたてながら上がっていた。
ホッと胸を撫で下ろすと、無精髭の主は塵芥でも見る様に少女を睨んでいた。 その蔑んだ目に少女は危機感を感じ、瓶を抱きしめる腕に力がこもる。
導師の導きに壇上に上がった少女はあどけないが、しっかりと分別のつきそうな年頃の女の子だった。長い黒髪をゆったりとした三つ編みに結わえ、地味な黒縁眼鏡を掛けていた。学校では委員長と呼ばれそうなタイプの女の子ではあるが、エナメル質の指分けされていない腕全部を覆うロングサックグローブと、同じく脚全部を覆う金属環が散り嵌められたロングヒールブーツ。白く細い首を覆う厚手の革に多くの金具を備えた首輪、それ以外は白い素肌が剥き出しの裸体。発達途上の乳房に小さな乳首にそぐわぬ太いリングピアス、括れていない軟らかそうなお腹。痴丘には生え始めたばかりの薄い痴毛と、固く閉じた縦筋がより少女の幼さを醸し出して衆目に晒していた。
可愛らしい尻には鞭の青痣が所狭しと線引かれていて痛々しい。・・・それらの居姿が彼女の非日常性を誇示していた。
「可愛らしいお嬢さんは何歳ですか?」
通常のシニガミ導師は英語で喋るのだが、先だって初めから少女に合わせて喋った。
「え・・・そっ・・・11歳で・・・今年の11月で、12歳・・・です」
大勢の観客の視線に怯えつつ、顔を真っ赤にして恥かしそうに応えた。そうでなくとも、この年頃の女の子は衆目の真っ只中に出るのに慣れていない。 あまつさえ、自分の変態的な裸体姿を晒しているとなると、羞恥心はレース車のタコメーター状態だろう。
「年女とは素晴らしい!皆様!このお嬢さんにもう一度拍手を!」
導師の呼びかけに観客から拍手があがった。 少女を連れて来た主人は勿論、他の観客たちもその意味を重々承知していた。 前年より弄られ続けた少女にもその拍手が意味する事を知っていた。
「当魔界館のイベントは初めてですか?過去に来店した事は?」
「えぅっ?・・・はぃ・・・な、い・・・ですぅ」
少女は質問の内容よりも羞恥心で爆発しそうな方が余程深刻であった。 モジモジと身体を揺すり、手で股間と乳首を隠そうとする。導師は訳知り顔で少女の返答に頷いた。
「そうですね。とりあえず座りますか?」
そう質問しつつ少女を導いて箱に座らせた。箱の内部には未だ栗毛ポニーの美女が納まっているが、羞恥心で取り乱した少女は意識もせずに導かれるままそこに腰を降ろした。
「・・・では、当館のこの催しをどう感じましたか?」
座らされて一息吐いて落ち着きを取り戻した少女は、その質問に答える回答に結びつく小1時間の凄惨な記憶を思い起こしてしまった。 入場口では来訪客全員に宙吊りにされた女性スタッフを鞭打ちや針刺し等の嗜虐サービスで、被虐女性はズタボロになっていた。 ホール内では給仕で歩いていたスタッフの女性を呼び止め、その場で乱暴に犯す客。 賭博場では連れの女性を掛け金として、思い思いのゲームでディーラーに負けては手足を切り取られ、果ては首を切り取られ、鮮血を噴出し生命に縋り付こうとする胴体。 別の賭博場では、手足を短く切断された女性達が、競走馬として走る妨害有りの競馬場では、3位以下の馬女性は、騎手の女性にそれは惨たらしい殺処分を受けていた。 通りかかったショーブースでは、2mを超える大男が裸の女性を素手で引き千切ったり、掴んだ手で骨を粉砕したり等の力自慢みたいなショーを観掛けた。 
お腹の大きな妊婦の少女が柱に拘束され、大きく膨れたお腹を幾つもの鉄串で刺し貫き、そこへ鈍器で殴ってお腹の子供を虐待死させて喜ぶ来館客。 大ホールの円筒形の水槽には3人の人魚が優雅に泳いでいた・・・が、彼女達には両腕が欠損しており、残った両脚をボルトで縫い付けられ、尾ヒレを足の甲に固定された人工人魚姫は、円筒の水槽上部に頭一つ分しか通らない穴から首を突き出して代わる代わる息継ぎをしていた。 その脇では女性客の連れであろう幼い男の子を、スタッフの女性数人を嗾けて寄って集って強姦させて喜んでいた。
そしてここの観客席にて、幻想的な素晴らしいタップダンスを目にして感涙し・・・今に至る。
 胸の悪くなる光景を思い出して朦朧とした意識に何かが繋がり、少女は「ハッ!」と気付いて自分が腰掛けている箱を見下ろす。 透明な箱の中で美女の自分を見上げる視線と合って、にっこりとヒマワリの笑顔で微笑み返した。
「ひぃっ!?ご、ごめんなさいっ!」と悲鳴を上げて飛び退く三つ編み少女。
その様子に客席から笑い声がチラホラあがった。
「お気になさらず・・・で?この魔界館の感想はどうですか?」
導師は少女に片膝を突いて目線を合わせて、再び同じ質問を繰り返すと、少女は表情を曇らせた。
「っ・・・人が、いっぱい死んでて・・・酷い事がいっぱいで・・・ここは・・・狂ってます」
そう呟きながら小さな箱に閉じ込められている美女へと視線を移して目を伏せた。
「そうだね。人が死ぬ所は初めて見るの?」
その導師の気遣いの言葉に少女は小さく、だが明確に首を振って否定した。
「その・・・言っていいのか・・・」
少女の躊躇いがちの言葉に、導師は少女の飼い主に視線を向けると、壮年の男性は首肯で応えた。それを認めて、少女へ続きを促す。
「私が御主人様に買われて少しした頃に・・・私が御主人様の前で粗相をしてしまい、私の面倒を見てくれていた教育係りのお姉さんが・・・私の代わりに責任を・・・ひっく!・・・とって・・・目の前で処刑されて・・・」
感極まったのか嗚咽交じりに少女が話す。今にも泣き出しそうだった。
子供の泣き声こそ白ける事は無い。
「なるほど。その娘は君の代わりに死んだのか。なら、君も死んで彼女に償わなきゃね」
その冷たい言葉に少女は思考が停止した。導師がなんと言ったのか理解出来なかった。
「心配する事はない。君一人だけで死なせはしないよ」
そう言い放って導師はマントを大きく広げた。 オロオロと狼狽する少女を尻目に導師は声も高らかに宣言する。
「I‘ts showtime!!」
高らかに挙げた声に客席からは怒号の様な歓声と拍手が渦巻いた。
マントを翻し、掲げた片手で指を弾くとそのパチンとした音に呼応して三つ編み少女の周囲1mの空間から同時に数十本もの鎖が飛来し、なす術もない少女に殺到し、蛇の様に群がり巻き付いていく。 導師は位置をずらして美女の詰め込まれた箱の後ろに立って、その箱を勢い良く踏みつけて派手な音を立てた。その音に呼応して、少女に蛇の様にうねり巻き付く鎖は逆再生する様にとびだ出した空間に戻っていくと、鎖は少女の着用していた首輪やグローブやブーツに付属している金属環に繋がっていて、鎖の張力によって少女を空中に張り付けにした。 脚をV字に開いて幼い縦スジと小さく窄まった肛門が丸見えの体勢だ。
少女の三つ編みが中空に揺れ、逃走はおろか喋る事も叶わなくなった。何故なら、鎖の1本だけは装着物ではなく、少女の口から肛門までの体内を縫っていた。
何が起こったのか分からぬまま少女は目をパチクリさせた。
導師は宙吊りの少女の真下へ未だ美女の納まった箱を移動して向きを調整する。中の美女が逆さまに尻を上向きにした体勢にした。そして、導師は彼女らの前でマントを大きく翻して通り過ぎる。
一見して変化が無いように見えたが、モニターに映った望遠接写映像には、少女の体内を貫通している鎖が、箱と箱の中に窮屈に詰め込まれた美女の薄く開いた口から肛門までを更に体内貫通しているのだった。
導師はパチンと指を鳴らすとその鎖は何も無い空間へ吸い込まれ、そして何も無い空間から吐き出され、美女と少女の体内を金属音を掻き鳴らして荒々しく舐め回し駆けていく。
箱をどうやって通過しているのは想像も出来ない。
「んぼぉぉおおおおおおおお!」
箱の中の美女は体勢が悪くあまり見えないが、叫びなのか嗚咽なのか分からない声を上げる少女の腹は、グネグネと隆起して体内を蹂躙している様は見るだに痛々しい。 暫くすると、荒い音を立てる鎖に血が染まり始め、二人がどんな事になっているのか想像に難くなかった。宙空に拘束された少女が苦しそうに腰をくねらせ、三つ編みを振り乱して身悶えする姿がなんとも滑稽であった。 次第に血の量が増えていき、血煙りが舞い始めた頃、すっと導師が左手を上げると、鎖の流動が唐突になくなった。 輪となった鎖は一定方向に流動していたのだが、合図によってプツリと途切れ、空間に吸い込まれて消えたのだ。
「おげぇぇえええ!げぼっ!げほっ!」
体内を蹂躙された少女は、嗚咽交じりに吐血し、ズタズタの肛門から赤黒い汚物を垂れ流した。
パチンと指を鳴らせば、再び空中から鎖がジャラリと飛び出して少女の腰や首、四肢に巻き付いてギリギリと締め上げる。
「ぐぎゃっ!」
少女の短い悲鳴と締め上げられる鎖からポキリと骨の折れる音がステージに響く。暫くして少女の首の骨が折れたのか、カクンと首を落とし、次の瞬間には、とんでもない力で締め上げた鎖は少女の肉体をバラバラに引き千切って、箱の上に血肉と内臓をばら撒いた。
観客から拍手が沸きあがる。が、瓶を抱える少女は目を背ける。他の同年代であろう奴隷娘達も同様に目を覆った。
導師は血と内臓に塗れた箱を軽々と持ち上げて、軽く揺すると、中に詰め込まれた美女が血溜りに落ちた。
箱はどこも開いた形跡は無い。その箱を片付けている間に、美女はのろのろと起き上がる。狭い箱の中に詰め込まれて居たのだから直ぐには起き上がれないだろう。しかも口元を真っ赤に染めているのだ。当然体内も鎖に蹂躙されているだろう。時折血を吐き出している。
導師が袖から大道具を引っ張り出してきた。片手にはゴミ袋を被せた業務用ポリバケツ。
まずはポリバケツを美女の側に置くと、タップダンスの美女は少女の残骸を拾い集めてそれに放りこむ。
暫くの片付け作業の後に、最後の生首を拾い上げ、ずれた眼鏡を外して自分の顔に掛けてから、三つ編みの生首をバケツに放り込み、ゴミ袋を外して口を括る。
導師は長方形の箱を開けると、美女はその箱に自ら入ると、導師は箱の扉を閉め、鍵を掛ける。
箱は女性にサイズアップされた作りで、これもまた、どこにも余る空間が無い上、幅も狭く、扉を閉めれば脚を畳む有余も当然無い。頭だけが箱から突き出し納まった。長いウェーブの掛かったポニーテールは丁寧に箱から出してある。
借り物の眼鏡を掛けた美女はまたもやヒマワリの様な笑顔を客席に投げかけた。眼鏡を掛けてもやはり美しい。
導師は剣を取り出し、箱に無数に走るスリットへ差し込むと、反対側から切っ先が飛び出す。
次々と剣を出現させては、箱に刺し込んでいく。 時折、剣を突き刺す時に「うっ」っと堪える呻き声を洩らす美女。
ややあって、箱を貫く剣の切っ先は随分狭い間隔で切っ先が等間隔に突き出している。
女性は血の気の無い顔で無理矢理微笑もうとするが上手くいかない。すると、突然口から血を吐き出した。
導師は箱を横倒しに傾けて、上向きに倒すと、バケツに入ったままのゴミ袋を拾い上げて、上に剣先が突き出した箱の上に無造作に置く。美女の頭は既に脱力していた。重力に引かれるままだ。
導師はシーツの様に大きな幕をどこからか取り出し、その上に被せた。当然剣の先から箱の縁といった形に隆起しているのだが、恒例の指パッチンでその形が崩れ、ステージに広がって落ちた。 どの角度のカメラからも移動した形跡は映っていない。
それどころか、取り払った幕の下は綺麗に清掃されてすらいる。先程までは少女の体液で汚れていたのに、綺麗サッパリ元通りになっていた。
ステージ上には両手を広げた導師が一人だけになってしまった。


・・・
それから1時間にわたって何度となくアシスタントガールと客席のメガネ少女を殺害しては、元に戻し、更に殺害するといったマジックを披露し、宴も酣となりイリュージョンマジックショーは閉幕の運びとなった。
パチパチパチ・・・
盛大な拍手によって血塗れの導師の姿は幕に消え、メガネの少女は傷一つ無い清潔な肌で飼主の下に戻された。
武将髭の男は席を立つと、娘に瓶を抱えさせてその場を後にする。四肢を失った連れの乗った台車はラウンジガールが気を利かせて押して追従した。
出口ホール付近には、満足気な表情のブルジュア達が屯し、退館の順番待ちの行列だった。
ラウンジガールが台車に乗った達磨となった連れを、大きめのキャリーバッグに詰め込み直しているのをボケーっと眺めていると、別のポニーテールの女性が歩み寄って来た。
「宜しければ、一刺しどうぞ」
小さな籠を差し出す少女に目をやれば、入館の時にも同じように声をかけて来た短いポニーテールの娘だった。
籠には大小様々な針が消毒液の匂いのするスポンジに突き立っている。 視線を少女の身体に向ければ、体中の肌に針が突き通されて、血が滲み、内出血の青味が白い肌を斑模様に彩っている。
見ていて痛々しい彼女に、男は躊躇う事無く、針山から人針抜くと、彼女の瞼を摘まんで突き通した。
小さな悲鳴を漏らしつつも、少女は微笑みを浮かべつつお辞儀して別の客人に声を掛けに去っていった。
恙なく退館手続きが済んで、大扉がスタッフによって開けられる。
扉をくぐると、そこは男が仮住まいとしているホテルのスイートルームだった。
少女は面食らって抱える瓶の中身を確認すると、ちゃんとポニーテールの生首が液体に揺蕩っていた。 少女にとっては全部夢であって欲しかった部分がちゃんと現実であったのだ。
一応、はしたない恰好ではあるが、元来た扉を開けて確認してみても、ホテルの廊下であった。
少女はまだ夢の中に居るのではないかと錯覚してしまっていたが、主が持たされていたバッグから達磨姿となった2号奴隷の少女を取り出している様を見て愕然となった。
主はきっと自分達が客弄りをされなかったのを納得していないと本能的に察していた。
これから恐ろしい仕打ちが自分を苛む事を予感させる出来事だった・・・。

イリュージョン(午年編) 了

イリュージョン(巳年編)

ここは魔術師の館。マジックショーを披露する娯楽施設『魔界館』。
毎年行われるイベント企画で、どのマジシャンも新年を向かえ、巳年に因んだネタを披露している。
この施設では飲食も出来るので、ショーを見ながらお酒を飲むお客さんが多い。勿論、成人のみの入店に限られる。
毎年多くの会員が訪れ、新年に一度の一大イベントを満喫するのだった。
中でも人気なのがイリュージョンを専門にしているシニガミ導師のマジックの人気が高い。
さあ、今日もシニガミ導師の舞台が始まります。

 客席は導師のマジックショー開演を今や遅しと心待ちに賑わっています。
ステージに近い客席の前方にあるVIP席は小さなソファーで囲ったボックス席で、ガラステーブルには高価なお酒類が並び、蛇柄の全身タイツに身を包んだ半裸姿のラウンジガールがお客を持て成す高級席である。
精悍な顔立ちに無精髭の男が傍らに少女を控えさせていた。
「おや?○○さんじゃないですか?」
そこへたまたま通りかかった男性が、そのボックス席に座る男性に気が付いて声を掛けた。
正確には男性の後ろ姿ではなく、傍らに控えている少女を目にして、そこで初めて気が付いたのだ。
少女の太股には、特に目立つ龍が巻き付いた刺青が施されていたからだ。 去年のイベントでステージに引き上げられて、バラバラにされ、串刺しにされ、真半分にされるなどと、シニガミ導師のショーを引き立てた少女であったからだ。
「ああ、××さん。こんばんは」
「今年もいらしたんですね」
「当然でしょう。導師の奇術を観ずして新年は迎えられないですよ」
「ですな・・・。ところで、その子・・・ちと場違いではないでしょうか?」
男性は彼女を、彼の実子であるのを承知で言っている。
「そう言われれば・・・なるほど、確かに・・・」
男性の視線が少女の刺青に突き刺さる。
少女はピクンと身体を強張らせ、大胆に彫られた昇竜の刺青を隠すように手で覆った。
どんなお仕置きが降りかかるのか分からないが、歓迎されるべき状況でないのは肌で感じている。まさか、ここで殺されてしまうのではないかと、最悪の状況を想像してしまう。
「そうですね。すぐに切り落としましょうか。ははは」
その言葉に少女は愕然とした。実の父親の命で彫られた刺青を、今度は脚ごと切断して無かった事にしてしまおうとしているのだ。しかし、無力な少女は、主には逆らえないどころか、メス奴隷として調教されて、主である父親に屈服しているのである。そんな気さえおこりはしないのだ。出来る事は身に降りかかる災厄を、諦めて受け入れるしか方法が無いのだった。
「でしたら、サービスカウンターで処置できるらしいですよ。ご利用なさっては?」
「そんな事まで・・・それは良い事を聞きました。・・・ん?」
男性の言葉を遮るように、ステージの幕がゆっくり上がってゆき、ドラムロールが響きはじめた。
「おっと・・・開幕ですね。それではまた後程・・・」
会釈してさっさと自席に戻って行く男性。 方や片脚を失うと宣言された少女を放置し、ステージ上に食い入るように見つめる父親。余程楽しみにしていたらしいと覗える。
 ステージにはしっかりと据えられたポールが1本。その傍らには、尻まで届く黄金色をした髪の少女が立っている。端正な顔立ちに左目の下に泣きボクロがあるのがチャーミングだ。ホールガール同様に蛇柄の全身タイツを着ているのだが、半透明なので淡い色の乳首や無毛のスリットは透けて見えているため、全裸とほぼ変わらない姿であった。
軽快な音楽が流れだし、ミラーボールや色彩照明などの演出で、少女はリズムに合わせてポールに身体を巻きつけつつ踊り出す。海外ではわりとポピュラーなポールダンスだが、彼女のポールダンスは一流であった。ポールを軸に回転するにも、長い髪の毛がバラけてしまわないように首の角度を見事に調整しているし、腰つきや乳房の揺れ方まで完璧な体操術であった。男も女も、彼女の妖艶な舞に見蕩れて言葉を失ってしまう。 クネクネと身体をしならせる様はまさに蛇だ。
大胆かつ繊細なポールダンスを、観客たちは未だ嘗て見たことは無かった様だった。まるで心を抜かれたように彼女のダンスに見蕩れる観客たち。
じゃーん!とドラムがダンスの終演を告げ、片足を垂直に上げて手で掴んで保持し、反対の手でポールを掴んで、フィニッシュポーズで金髪少女の動きは停止した。なんと扇情的な姿であるのだろう・・・。
観客が感無量の溜息と供に拍手を打ち鳴らそうとした矢先に、ジャン!とドラムが鳴り響き照明がステージの少女から客席に移り換わる。意表を突かれて観客の注目が照明に照らされた場所へと移すと、そこにはシニガミ導師が立っていた。
導師の登場に拍手が上がり始め、次第に大きなうねりの様に数が増した。少女のポールダンスに対する賞賛も含まれている様だった。
マントをなびかせて歩き、ステージ上の少女の隣に並び、手をとり合って客席にお辞儀した。
もう一度盛大な拍手が巻き起こる。
導師はポケットからサイコロ状の透明プラスチックの塊を取り出す。小さい物だが、手元をカメラがズームインしているので、ボックス席のモニターでクッキリと映し出されている。
導師が翳した手でパチンと指を鳴らした途端、先ほどのサイコロが派手な煙を伴なって爆発した。白煙は直ぐに霧散したところに透明な箱が出現していた。先のサイコロが巨大化したと一目で推測できた。
導師は手を振って宙から洋風ケトルを出現させ、やかんを傾けて中の液体を箱に注ぐ。透明な箱はどこにも継ぎ目が無いのに、箱へと着色された水が、箱の中に溜まってゆく。水が薄い青で着色されているので、内部の空洞は球状となっていると一目でわかった。穴の無い箱の内部に水を注ぐのも驚きだが、手に持っている洋風ケトルも不自然である。なにせ、小型のやかんにもかかわらず、その内容量を超えた水を吐き出しているのだ。
箱の中は水に満たされ、薄い青色の球が透明な箱に露わとなる。 少女が箱を傾けて倒しで6面全てを床に接地させてどこにも入り口がない事を観客に見せた。
導師は少女の手をとると、導いて箱の上に上がらせた。
導師はマントを翻しつつ少女の前を通過すると、箱の上に立っていた少女は、箱の中の球状空間に身体を丸めて収まっていた。全てが一瞬の出来事であった。
導師は両手を広げて観客の歓声と拍手を一身に受ける。
不意に導師が観客席に降りて来て、一直線に最前列のボックス席へと歩いて行った。手を差し伸べたのは太股に龍の刺青を施された少女である。きょとんと目を丸くする少女の手を握り、二人でステージに戻っていく。
少女に動かないように指示すると、少女の脚に掌をゆっくりと這わせる。導師の手の軌跡には少女の白い肌しか残っていない。つまり、導師は立派に彫られた龍の刺青を消してしまった。
龍の刺青があるせいで脚を失うところだった少女にとっては好都合な状況であった。
うれし泣きをしそうな少女を導師は、少女が閉じ込められた箱に導いた。
ちょこんと箱に座らされ、きょとんとするだけの少女の前を導師は何気なく通りすぎると、刺青を消された少女が忽然と消えた。
良く観るとその少女が箱の中に閉じ込められ、金髪の少女が消えていた。
導師は止まる事無く歩いて、袖へと一旦引っ込むのだが、導師がダンスポールの前を横切った時に金髪少女がポールに現れていた。少女は口から肛門に掛けてポールに貫かれていた。金髪少女の長い髪がほんのりと濡れ、手足を動かして身動ぎしているので生きてはいる。 
何気ない動作で消失と出現をやってのける導師に拍手が舞い起こる。
少女は串刺し姿勢のまま、自らの身体に手を這わせたり、腰をくねらせたりと観客の目を楽しませる動きをみせる。
すると導師は何か忘れていた事を思い出した様な素振りをして、箱に歩み寄って一瞬にして巨大化させたハンカチをかける。ふぁさっと被さるハンカチを直ぐに取り除くと、少女が箱の上に立ってきょとんとしていた。金髪少女と同じくほんのり濡れている。
実際、箱の中の水位は半分に減っていて、少女達が中に閉じ込められたと確かに分かる状態だった。
観客の目が其方に向いてる隙に、導師は再びポールに串刺しになった金髪少女の前を横切って袖に引っ込んでキャスター付きの箱を押して戻ってきた。先ほどやったように導師は横切るだけの動作で金髪少女は消え、ポールだけがそこに残った。
ステージの真ん中に箱を据え、前面の3分割になった板を抜き出し、刺青少女を箱へと導いた。箱の内部は椅子のように座れる様にできている様で、少女はそこに座らされた。1枚目の板を差し込むと、曲げた膝から足だけを箱から出したようになる。板と板を繋ぐ金具をかけ、2枚目の板を差し込んだ。2枚目の板には2つの穴が空けられていて、そこから手を挿し出す作りだった。板から突き出した手に手錠を掛け、板を金具で繋いだ。3枚目の板は上面に差し込まれ、半円の切り口が首を避けるように嵌った。金具を掛けて固定し、脚にも錠を嵌めた。少女は頭と手、足が箱から剥き出しで拘束された格好だ。
オロオロと狼狽する少女にエナメルの目隠しと、ボールギャグが施され、見るのも喋るのも叶わなくなった。
 導師は「疲れたのでちょっと休憩」と言わんばかりに透明な箱に腰掛けた。
少女が不安そうに「うー」と呻くと、導師は立ち上がり少女の頬を撫でて安心を伝えた。
観客がどよめいた。
先ほど導師が座っていた箱に再び金髪少女が身体を丸めて収まっているからだ。
導師はこれまた忘れていた事に気付き、巨大ハンカチを被せ取り払う。そこには金髪少女だけが立っていた。
心なしか上体をフラフラさせて憔悴を滲ませていたが、にっこりと笑顔をみせた。
導師はパチンと指を鳴らし、空中に白煙が舞い、濃密な白煙から剣が出現し巧みにキャッチして振り回すポーズをとる。
少女は肩幅に脚を開いて手を後ろで組んみ直立の姿勢になる。すると導師は少女に剣を切りつけた。切っ先は二の腕を翳めて、パックリ裂けた傷口から血が溢れ出した。
本物の実用剣であるアピールだ。
斬られた少女は傷の痛みに悲鳴も苦悶も洩らさずに笑顔を湛えた姿勢を崩さない。
導師は剣を一回転させ、切っ先を少女の納まっている箱に宛がうと背中側から一気に突き入れた。「うー」と少女が呻いたが切っ先が箱の外部に貫通すると少女は大人しくなった。
導師は先と同様に剣を出現させ、試し切りをしてから箱に剣を突き立てていく・・・。
箱にはもう剣を突き刺す面積が無くなると、箱を横向きにし、側面の固定金具を外して扉のように開いた。 刺青少女は確かに背中から剣で串刺しになっていた。  傍らの金髪少女も全身傷だらけの血塗れだ。
側面の扉を閉めて再び箱にし、正面に向けると少女はボールギャグの穴から吐血した。導師は金髪少女に指示をだし、少女はキャスター付きの箱が動かないように保持した。
導師は刺さったままの剣を引き抜き、一振りすると血の滴がステージの床を水玉に彩る。
導師は箱からつき出した首に横から切っ先を突き通した。箱から外の手足がバタつく。
「えぴゅっ!」とボールギャグから声とも悲鳴とも取れない音が漏れ出したが、そんな事もお構い無しに剣を引き、喉を切り裂いて血潮を撒き散らした。飛び散った温かい血が箱を保持している少女にも掛かった。
頚椎を残して切り終わると、導師は頭を両手で掴んで上に引き上げる。すると、脊椎を引き連れて少女の身体から抜け出していく。通常脊椎は胸骨腰骨と一体になっているのでありえない光景だった。
箱から外の手足がバタバタともがいて、箱の上面からぴゅっぴゅと鮮血を吹き上げていた。
導師は脊椎を連ねる生首を観客席に掲げると、一層割れんばかりの盛大な歓声と拍手が舞い興った。彼女の飼主であり父親である男も、娘の惨殺を見て大興奮で大喜びをしていた。
金髪少女は立ち上がり、切り傷から開いた穴から全身タイツを引き千切り、脱ぎ捨てて全裸を晒した。だが、切り傷から滲み出た血が模様のように肌にこびり付き、やはり蛇柄の模様にも見えるのが不思議であった。
少女は掲げられた脊椎に手を添え伝う血をうっとり顔で舐め啜る。腰をグラインドさせたり上体をくねらせたりと、どこか妖艶で淫靡で卑しくも純粋な行為に見え、観る者の性欲を掻き立てていく。
少女の舌は徐々に上へ這って行き、導師の手から首を受け取り、大事なモノを抱きしめる様に抱えてボールギャグの上から深いキスをする。それは観る者によって至高の淫蕩であったであろう。
少女は身体の入ったままの箱に腰掛けて、脊椎の末端である尾骶骨を自分の膣に宛がい、挿入しようとしている。
導師は次の支度に取り掛かって動いている。
袖からポリバケツ型のゴミ箱を持ってきてステージ端に置いた。そのまま生首で自慰を始めた金髪少女から首を取り上げて、ゴミでも捨てる様にポリバケツに放り込む。
名残惜しそうにゴミ箱を見つめる金髪少女をよそに、袖から出して来たのは10mのロープが3本。
その3本とも様相があった。1つは金属製のたわし、2つ目はロープに等間隔に幾つもの瘤がある・・・3つ目は両端に大きなリングの付いた丈夫な鎖だった。
箱から少女を立たせると、その3本を手渡して持たせた。少女はまた肩幅に脚を開いて両手でソレを持った。
導師はマントを翻して少女の前を通過すると、少女の持っていたものが持っていた手から消え、3本の末端が少女の口から飛び出し、反対の末端が尻から垂れ下がっていた。
突然の事に目を白黒させる少女を宥め、ステージ上に横にした。
導師は袖に引っ込みフック付きのワイヤーを手に戻って、少女の尻から顔をだす鎖のリングにフックを掛け、反対の袖からもワイヤーのフックを持ち出して、今度は少女の口から出る鎖のリングにフックを掛けた。
ステージ中央に立って両手を一杯に広げると、ワイヤーは巻き上げられ、少女が徐々に空中に浮いていった。バランスがとれずに手足をバタつかせるが、両手で口から出る鎖を掴み、尻から繋がる鎖に片足を巻き付けて安定した。片足が垂れ下がっているものの、ステージに向くには上下のバランスを保つのに都合がいいらしい。だが、少女の体内を貫通しているであろう鎖やロープ類で、少女は身体の内部で相当な激痛があるだろうと想像できる。
少女は体内を貫通する鎖によって宙吊りにされる格好で美しい裸体を衆目にさせられているのだ。
導師は彼女の尻から飛び出したロープを握りゆっくりと引き抜き始めると、瘤のついたロープは白い腹を蠢かせて徐々に抜け出していく。 やがて反対側の末端が少女の意思に反し、口へと吸い込まれていって少女の体内を蹂躙していった。 それを裏付ける様に、少女は苦しそうに不自由な身体を小刻みに震わせ、涙を零れさせて腹部の蠢きに嗚咽していた。
やがて、少女を貫通していたロープが少女の体内から抜け切ると、観客席から盛大な拍手が少女に贈られた。
拷問にも等しい責め苦に耐えたことによる賞賛であった。
少女は疲弊の色を滲ませつつも、観客を喜ばせている感覚に笑顔を顔に表した。
喝采が止むと、導師はもう一つ少女の体内を貫通するワイヤーに手をかけた。 その事をワイヤーの振動の感触で悟ったのか、少女は息を呑み慄いた表情を見せる。
導師はワイヤーを少々乱暴に引き抜いていくと、少女の口に海栗の様な金束子が吸い込まれて行き、少女の粘膜を削りとり、無数の裂傷を体内に刻んでいった。
少女の身体は激痛に乳房を揺らしつつ跳ねて、小刻みに痙攣をし、そしてまた背中を仰け反らせ身体を震わす様は、観ていても痛々しかった。 腹部を内側から押し上げ、蠢き通る様子がアングルカメラのお陰でモニター鑑賞できる。
少女は激しく咳き込み、鎖に貫かれた身体を跳ねさせ、苦しみ悶絶する。 喉全体といわず、体内の粘膜を擦過傷だらけにされているので無理も無い。
やがて、少女の肛門を押し広げ、肉片を巻き込んだ金束子の末端が体外に引き抜かれた。
血でべっとりと濡れ、あらゆる粘膜を傷つけ、削ぎ落とした肉片と粘膜に塗れた末端を見る限り、少女の体内はとんでもない事態に陥った事を如実に物語っていた。
『死んで終わりなど生ぬるい』と云わんばかりの仕打ちであるが、客席の拍手喝采と歓声がその歓声を違うモノへと換えていた。
少女は満身創痍の重篤である。 このまま放置しておけば少女は確実に死んでしまう。
導師はウインチの張力を解放し、少女をステージ上に降ろして、フックを鎖から外した。 少女は未だ鎖に貫通されたままだが、無理な姿勢から横になれて脱力した。 苦しそうに胸を上下させて荒い息をしているが、鎖が邪魔で思うようにいかない様だ。
少女の疲弊はピークであるはずだが、少女は自分の胸を揉みしだき、股間に指を這わせ始めた。
そんなパートナーを余所に、導師は刺青少女の身体が入ったままの箱に、大きな布を被せてその姿を覆った。
指をパチンと鳴らしてから、布を取り払うと、箱から飛び出していた手足が消えていた。 箱を開いて客席に披露すると、刺青少女の体どころか、突き刺さった剣も枷もべったりと付着した血も全て綺麗に無くなっていた。 まるで少女の存在自体が嘘であったかのように消失してしまったのだ。
客席の感嘆の声がステージに届く。
導師は自慰をしている少女の口から出ている鎖を引き上げて、少女を無理矢理立たせると、先ほどの箱に誘導して中に座らせた。 そしてすぐさま板を差し込んで少女の手足に枷を嵌めた。
先ほどの布を被せて、少女を箱ごと覆い隠す。またパチンと指を鳴らして布を取り払う・・・。
少女は消えもしなければ、入れ替わりもしていなかった。箱に拘束されたままの少女の姿がそこにあるだけだった。
観客からどよめきが立ち、口には出さないが「???」と観客たちは変化を見つけられなかった。
導師は少女の入った箱の上面2枚の板を抜き、口から連なる鎖を引き上げる。手足には枷があるので立ち上がれないのだが、少女は鎖に引かれるまま持ち上げられ、観客に裸体を晒した。 驚く事に少女の身体には四肢が無い。手足は箱に拘束されたまま残され、少女はダルマの姿で鎖に貫通されて居たのだった。 
更に驚く事に、持ち上げられた少女の尻から伸びる鎖には、刺青少女のダルマ姿が鎖を体内貫通されて出て来たのだ。
一本の鎖がダルマ少女2人を貫通していたのだ。 
無残な死に様を晒した筈の少女が手足を失いながらも復活させたシニガミ導師・・・。それも驚きだが、箱の容積はダルマであっても2人分が収まるスペースなど無いにも関わらず、そんな非常識をやってのけた導師に、拍手喝采満場歓声の渦が巻き起こった。
導師が鎖に連なる二人のダルマをステージに放ると、少女達は動き難そうに身体をくねらせて鎖を鳴らした。 その様は奇怪な『蛇』の様でもあった。
驚天動地の様相を見せる客席を尻目に、蠢く金髪少女の頭を踏みつけ自尊心を蹂躙する。 導師の背徳的な行為に会場も沸き立つ。
そのままの姿勢で導師は袖に向けて手招きしてから指を鳴らすと、数人の女性アシスタントが袖から姿を現し、ステージ上の機材を片付け、血で濡れた床にモップを掛けつつ右袖から左袖へと流れる様に片付けてしまった。 そして大きな機械を数人がかりでステージ中央に据えた。
導師はその機械を機動させると、ゴウンゴウンと重厚な音を奏でる。 用途不明の機械が凶悪な咆哮を挙げている様だった。
導師は金髪少女の肛門から鎖で連なる刺青少女の身体を持ち上げると、不思議と体内を通っていたであろう鎖が意図もあっさり抜け落ち、ジャラリと音を立てて少女を解放した。
呆気にとられ呆然とする少女を導師は肩に担いで機械に歩み寄る。 機械の上蓋を開け少女を放り込むと、直ぐに上蓋を閉めた。機械の側面には覗き窓がある様で、カバーをスライドすると、ダルマとなった少女が窓から良く見える。 不安そうな表情でキョロキョロと内部を観察している様だった。 機械からは相変わらず不気味な音と振動が起こり、少女の入れられた機械が一番危険なモノであるのは明確であった。
導師は指折りでカウントダウンを始め、0と同時に側面のスイッチを押し込むと、中の少女が短い悲鳴をあげるとバリバリとけたたましい音が機械からあがった。
覗き窓にはべったりと鮮血が張り付き、中の様子は伺えなくなっていた。
機械の横には大きな皿が置かれると、機械からミンチ肉が吐き出され皿の上にぼたぼたと落ちていく。 精肉屋で販売しているようなミンチではない。浅黒い血と脂肪、細く破砕された骨と臓器と体液、粘膜と頭髪・・・その全てが混ざり絡まったモノである。
汚物と表現してもおかしくない代物は皿に山を積み上げていった。
導師は同じ様に金髪少女を抱えあげると、鎖から解放された金髪ダルマ少女は、口元を吊り上げ、優しげな表情を客席に向けた。導師は蓋をあけ、笑顔のままのダルマ少女を機械に投入した。
再び起こるけたたましい音が機械から響き、取り替えられた皿へと汚物を積み上げていく。
一つ目の大皿は刺青少女の成れの果てで、二つ目の大皿に積み上がっているのが金髪少女の成れの果てである。
普通の一般人が観れば嘔吐必須の凄惨な汚物である。先程まで意思があり感情があり人間であった少女が、僅か数十秒の内に汚らしい肉片へと姿をかえたのだ。 道徳を根本から否定した凶悪的行為であるにも関わらず、観客は興奮の坩堝と化して大喜びである。
二つ並んだ大皿を残してアシスタントガール達が人間挽肉機械をステージから片付け、後から続くアシスタントが巨大な金魚鉢をステージに置いた。 そして大皿に盛られた金髪少女であった生ゴミを金魚鉢に移し入れ、続き刺青少女であったはずの生ゴミを移し入れてアシスタントは袖に引っ込んだ。 巨大金魚鉢の容積の3分の1が埋まった事になるが、まだその容積を満たすには足りない様子である。
導師はハンカチをなびかせ放ると空中で煙となり、導師の手は煙の中からシルクハットを取り出し、更にシルクハットの中からステッキを取り出してみせる。その無駄の無い一連の動作に拍手が起こる。
導師はシルクハットを水平にした左腕の上に置き、右手でマントをシルクハットに向けてゆっくりと下から覆う様に動かすと、マントの内側から出た手がシルクハットを掴んだ。 マントを除けるとそこにはシルクハットを手で頭に載せた少女が出現していた。
少女は長い後ろ髪を二つに纏め、浅く日焼けした健康そうな全裸姿に、両手両足に黒革の枷を嵌めただけの姿だった。 にも関わらず陽気な笑顔を浮かべ、舌を少し出しておどけたポーズをしての登場だった。
良く見ると足の枷には微妙な長さの鎖が1本ずつ付いていて、末端はカラビナが付いていた。
少女は金魚鉢の前まで移動し、しゃがんでから足枷の鎖を手枷のリングに自ら掛けて立ち上がった。
足枷と手枷が繋がると両手が上がらない様に鎖の長さが調整されていると客席にも理解できた。 ステージの上から両端にカラビナの付いたバーがウインチによって降りてきた。
少女はそれを掴んで両足の足枷にカラビナを掛けると、ウインチは巻き上げられて少女の身体が逆さに吊り上げられた。大きめの乳房と2つ分けの後ろ髪が重力に引かれて垂れ下がる。
シルクハットを被り直した導師はステッキを指先でクルクル回し放り投げると、それは白煙を伴なって巨大な鎌に変身し、直ぐに大鎌をキャッチして体の周りを這う様に振り回してポーズをとった。
その導師の姿はタロットカードの大アルカナ、13番目のカード『死神』であった。
導師は大鎌を振り上げると、少女は観覧者に満面の笑顔を向け、微笑んだ表情は一瞬にして金魚鉢の中へ落ちた。
少女の裸体が脊椎反射によってビクンと撥ね、乳房を揺らし身体を痙攣させる。次の瞬間には金魚鉢の中で生ゴミ塗れの自らの生首に鮮血を吹きかけた。
ビクンビクンと裸体は痙攣し、鮮血を吐き出す勢いは衰えず、生ゴミだらけの金魚鉢に嵩を上げていく。
どうやら両手の拘束は手がだらんと垂れ下がらない様にする目的があり、血液を余す事無く吐き出させる意図であった様だが、首を刈り落とされた少女はどこまでもプロであると賞賛を禁じえない。
観客達は3人分の命の詰まった金魚鉢を爛々とした目で見つめ、次にどんな不思議現象を観られるのか楽しみに見つめた

出血の奔流が治まり、金魚鉢がの容積を満たした頃を見計らい、導師は金魚鉢にステッキを突っ込んで掻き混ぜ始めた。
もうどれが誰だかの判別など付きようもない状態の中身を、導師は邪悪な魔女でも髣髴とさせる動作で鉢の中身を掻き混ぜ続ける。 すると、どす黒く濁った鉢の中から手が外に突き出した。 客席からはどよめきが起こる。
観客の驚嘆も不思議ではない。 寧ろ鉢には誰かの手など最初から入っていないのだから、そっちの方が不思議なのである。
何かを探る様に動く小さな手を導師は握って引き上げる。
金魚鉢の汚物から出てきたのは生ゴミと血糊に塗れた小柄な少女であった。
導師は少女をステージに座らせると、袖からバスタオルを持ったアシスタントが駆け寄って身体を拭いていく。
嗚咽する少女の首と手足には厚い革枷が巻かれ、乳首のリングには首輪に連なる金の鎖・・・。その特徴から、客席から選出された刺青少女であると観客達は思い至った。タオルで拭かれた顔を見ても間違いは無い。だが、最初に消された昇り龍の刺青は戻っていない。 血糊を綺麗に拭き取って貰った少女は、導師のエスコートする手によって立ち上がり、そのまま観客席まで送られて戻った。
太腿の大胆に彫られていた昇龍の刺青は消し去れたままになっているのは、恐らく導師の粋な計らいだったのかも知れない。彼ならばまた同じ様に戻せたはずだが、それをしなかったのは、「過ぎた年は忘れ消し、新たな門出を向かえよ」との意趣が込められているのかも知れない。
何にせよ、少女は場違いな刺青の為に脚を切り取られる難は逃れられた事だろう。

ステージに戻った導師は腕まくりして金魚鉢に手を突っ込んで中身を探る。
何かを掴んだらしく、徐に引き上げるその手には髪の毛の束を掴んでいる。鉢から出たそれの正体は首を刈られた少女の生首であった。その表情は満面の笑みを湛えていた。 だが、導師は横に首を振り、少女の笑顔をステージ上に投げ捨てて、再び鉢に手をつっこんで中身を探る。
今度こそお目当てを掴んだ様子で引き上げ手には、三つ編みにされた髪の毛が握られていた。手繰り挙げると、今度はか細い手が出てきて、その手を掴み挙げる。
汚物だらけの金魚鉢から出てきたのは、迷う事無く金髪少女であった。髪の毛こそ三つ編みになっているが、目の下の泣きボクロは見間違えようがなかった。 直ぐに数人のアシスタントがバスタオルで少女を拭いにかかった。
導師はウインチを下げて首なし少女の拘束を全て解いた。そしてアシスタントの持って来た寝台に少女の横にしていた。
髪の毛こそ乾いてないが金髪少女の汚れは拭いとられ、赤茶色に染まった三つ編みを垂らし観客へと一礼をする少女。 ボックス席の主の下へと戻った少女に向けて優しげな笑顔を贈り、目が合った少女もしどろもどろに頭を下げた。
金魚鉢は片付けられ、入れ代わりに出てきたのは、長テーブルの上に半球状の皿蓋が大小所狭しと並べられていた。
客席も意図を汲み取った様子で歓声に涌く。 観客の生唾を飲み込む音すら聞こえそうな熱気である。
金髪少女は首なし少女の寝台に上品に腰掛け、にこやかな笑みを湛えた。 導師は頭に乗せたシルクハットを金髪少女に渡し、それを両手で受け取り、膝の上で逆さまに持った。 導師はすぐさまシルクハットに手を入れ、巨大なテーブルクロスを抜き出して首なし少女の上に覆い被せる。右手を掲げパチンと指を鳴らしてテーブルを指差す導師。
そして、先ほどのテーブルを取り払うと首なし少女は忽然と消えていた。テーブルクロスをシルクハットに戻し、代わりに大鎌になったはずのステッキを取り出した。
テーブルの皿蓋をステッキでトンテンカンコンと一つずつ叩いてから全ての皿蓋を取り払うと、そこには焼きたての肉料理がずらりと並んでいた。 片付けられたはずの少女の生首が綺麗にメイクされ、笑顔のまま皿に盛り付けられていた。
丑年では1つずつ料理を出していたが、今年の巳年では一気に済ませてしまった。
恐らく尺の問題でそうしたのだろう・・・。
少女を使った料理の登場に観客達は大熱狂した。「早く食わせろ」だの「待ってました!」だのと口々に騒ぎ立てる。
導師は一指し指をチッチッチと振ると、観客達は静かになって導師の先を促した。
袖からアシスタントが出てきて、料理の乗ったテーブルを袖に戻し、新しく皿蓋の乗ったテーブルがステージに出て来た。
観客達は「まさか」と目を見張ると、金髪少女は恥かしそうに俯きコクンと頷いた。
おおおおおおお!と歓声が怒号の様に会場を覆う。
少女の持つシルクハットから違う色と大きさの布を取り出して、少女の持つシルクハットと布を交換した。客席に見えるように広げて見せる様に指示してシルクハットを被り直した。 少女は指示通りに布を開いて持つと、導師がステッキで床を軽く突いて鳴らす。トンと音がした瞬間少女の持っていた布はハラリとステージに落ちた。 観客が見たのは、少女の四肢が一瞬にして消失し、再びダルマとなった少女が支えを失って寝台に転がる瞬間だった。
身を捩って体勢を整える少女をそのままに、導師は先ほどやった様に皿蓋の幾つかを叩いて蓋を開くと、香ばしい香りと湯気を振り撒いた料理が並んでいた。
導師は少女を抱えあげると、少女は優しげな笑顔を観客に向け、導師にマントで包まれると、少女は一瞬にして消失した。そして、残りの皿蓋を叩き、少女を使った料理が開け放たれた皿蓋の上に盛り付けられている。 最後の皿蓋には長い髪をアップに纏められ、綺麗にメイクされた金髪少女の優しげな笑顔が皿の上に乗っていた。 汚れていた長い金髪は元の黄金色に輝き汚物に濡れていたとは思えない美しさがあった。
先に袖に消えた少女料理がアシスタントガールによって客席を回り、料理を振る舞いに移動し、金髪少女のテーブルも客席に降ろされて観客達を喜ばせていく中、導師は深く一礼し、拍手喝采の中にステージは終幕を告げるのでした。


・・・さて、皆様。
昨年は大変ご迷惑をおかけしてしまいました。
今年一年皆様方に幸多き年であります様、お祈り申しあげます・・・。


イリュージョン 巳年編  了

イリュージョン / 辰年編


ここは魔術師の館。マジックショーを披露する娯楽施設『魔界館』。
毎年行われるイベント企画で、どのマジシャンも新年を向かえ、辰年に因んだネタを披露している。
この施設では飲食も出来るので、ショーを見ながらお酒を飲むお客さんが多い。勿論、成人のみの入店に限られる。
毎年多くの会員が訪れ、新年に一度の一大イベントを満喫するのだった。
中でも人気なのがイリュージョンを専門にしているシニガミ導師のマジックの人気が高い。
さあ、今日もシニガミ導師の舞台が始まります。

 客席は導師のマジックショー開演を今や遅しと心待ちに賑わっています。
ステージに近い客席の前方にあるVIP席は小さなソファーで囲ったボックス席で、ガラステーブルには高価なお酒類が並び、ディフォルメされた竜のコスチューム姿のラウンジガールがお客を持て成す高級席である。
そこには男女のお客が座り、導師の登場を心待ちにしていた。
男性は30代半ばの精悍な顔立ちの紳士で、高級ブランドスーツを着し、落ち着いた雰囲気が彼の大物ぶりを醸し出していた。無精ひげの様な顎髭が印象的である。その隣に座す同伴の女性は彼の実子であるのだが、普通とは様相が異なる。
見た目は9歳から10歳ほど。
栗色の髪をゆるい三つ編みに編んで白い背中に流し、幼く円らな瞳が愛らしい…町で見かければ目を引く容姿であるのだが、彼女が着ている着衣は鱗質感のローレグのパンティー一枚と、細い首に巻き付いた太く重厚な鰐皮の首輪から垂れる金色の鎖が、男の子のようなまっ平らな胸に小さな乳首を貫通する太いリングピアスに繋がっていて、彼女の幼い容姿に一際異彩を醸し出していた。
そして極めつけは彼女の左足全体に巻きつく様に描かれた昇龍の刺青であった。まさに今年の干支を象徴しているのだ。
意識すると、甲斐甲斐しく男性の世話を焼くラウンジガールのコスが、なんとも陳腐に見えてしまうほど見事な色彩を放っていた。
 男性の他にも同伴で入店している女性客もちらほら見てとれる。『魔界館』は完全会員制であるため、店側が許可した会員以外の立ち入りは喩え気の置ける家族でも一切禁止している。しかし、例外的な同伴者も許可されている。それは、会員の『所有物』であること。それなりの審査はあるものの、審査さえ通れば持込は自由だ。
そんな少女も『会員の手荷物』扱いで入店を許可されている。
男性は煙草片手に吹かしつつ、ラウンジガールの身体を触って談笑して間を繋いでいると、指に挟んだ煙草の灰が床に落ちて気をそちらに逸らした。見れば煙草は吸えない程に短くなっていたのを認めると、すっと少女の前に差し出した。円らな瞳の少女は半眼で口を開いて小さな舌を出した。男は躊躇いも無く娘の突き出した舌で、ジウっと煙草を揉み消して、吸殻を娘の舌の上に残し手を引いた。そして、何くわぬ顔で先ほどの談笑を再開させる。
煙草の火で舌を火傷した少女は泪目で堪えると、そのまま口を閉じて灰と吸殻を唾に絡ませてコクンと飲み下してしまった。 うえっと不味そうな顔をして再び出した舌には、煙草による火傷が無数にも残されていた。

 ドラムロールが鳴り響き、会場の照明が暗転していく。
闇の中でステージの幕が静かに開き、一際大きなシンバルの音で、舞台中央を照らした照明にシニガミ導師の姿が浮かんでマントを翻しつつ登場した。
一瞬にして会場は拍手喝采の大盛り上がりで、観客がどれほど導師の奇術を愉しみにしていたのかが覗えます。
期待の視線が導師の一挙手一投足に集まる中、静かな曲調のクラシック音楽を背に導師はゆったりとした足取りでステージ前に出て普段寡黙な導師らしからず語り始めました。
「I want to do by participation on the customer side this time though the show in my assistant is always done.」
そう言って舞台前面のVIP席にすっと手を差し伸べたその先は先ほどの少女であった。
観客達の視線が自身に集まっている事に気付いた少女は、キョロキョロしてあからさまにうろたえていた。自分の主に視線を向けると、ニコニコと上機嫌で「いってこい」と屈託無い笑顔で肯いた。
同じボックスのラウンジガールが機転を利かせて、戸惑う少女に優しく触れてステージ上に導いた。
壇上に上がった少女は導師に並び立って一礼をすると、客席から割れんばかりの拍手を贈られた。
「Only she is a small dragon suitable for the decoration of this year's magic.」
白い肌に一際映える左足の昇龍が衆目に晒され、恥かしそうに顔を赤らめてもじもじと居心地悪そうな少女。
長身の導師と並んで立っていると、少女の小ささが更に際立つ。
導師は胸ポケットからトランプカードを取り出した。それを少女に向けて差し出し指で触るように指示して、少女は言われるまま指でトランプを指で突付いた。導師の手の上でトランプの山は一瞬にして4倍の大きさに姿を変えた。
隠しもしないでトランプを一瞬の内に巨大化させた導師に少女は目を丸くする。
もう一度するようにと気軽に差し出された巨大化したカードを同じように指でつつくと、今度はカードが上空に巻き上げられカードの紙吹雪になった。またも少女はビックリして身を竦めた。
ひらひらと舞い落ちるカードの一部がステージ上にあったボードに張り付いていた。上中下段3段の様で、上段に1枚中段と下段は2枚ずつカードが張り付き、カードの中身は伏せられていた。
ボードを前面に移動させ、少女との立ち位置で挟んだ。
導師は少女に上段の1枚を指差し問いかける。
「what are contents of this card?」
英語で話し掛けられて困惑する少女に気付き、導師は同じ質問を日本語でした。
「えっとぉ・・・分からないです」
「デわ、何でもいいからスウジを言ってくダさい」
導師は直ぐに日本語へと切り替えて少女に問うた。
「え?・・・じゃあ1」
少女の言葉に首肯して、張り付いたカードの背に1と記入した。
「これは?」
「んん…8で」
そんなやり取りで5枚のカードに数字を書き込んだ導師は、ボードをステージ脇の見える位置に移動させた。
上段1、中段左が8、右が5、下段左が12、右が7となった。
「顔を洗う時はどウしまスか?」
チンプンカンプンな導師の言葉に少女は戸惑いつつも、少女は両掌を上に向けて水を受ける格好をした。
パチン!
導師が指を鳴らすと、ステージにばら撒かれたカードが、まるで意思を持った様に浮き上がり、少女の掌へと一斉に集まった。再び少女はビックリして身を竦めた。そんな様をみて客席からはのどかな笑い声もちらほら覗えた。
導師に優しく指示されると、少女は言われた通りテーブルの上にカードを置いた。
「さテ、ここからが本番でス。逆さマに吊り下げラレた経験はおありかナ?」
とぼけた口調で導師は少女に問いかけた。年端もいかない少女に問う内容ではなかったが、場所が場所だけに不審に感じる観客など一人も居ない。
「…はい。少なからずは…」
少女の控えめな返答に導師は満足そうに首肯し、パチン!と指を鳴らした。天井からフック付きのワイヤーがするると降りて来て、ステージ上でコン!と音を鳴らした。いつの間に取り付けられたのか、少女の左足首に環枷が当然の様にそこにあった。フックを環枷に掛けると、ウインチは巻き上げられ少女は片足で逆さ宙吊りになった。
金の鎖と三つ編み右足と両手が重力に引かれて下に下がる。
少女は観客の視線を意識してしまい、恥かしそうに両手でピアスの乳首を隠した。 
 導師は先ほどテーブルに置かれたカードの山の上から一枚手に、投げ出された少女の右足を優しく掴んでカードを太股の付け根に押し当てる。 カードは少女の白くて細い太股に抵抗無く潜り込んでしまっていた。肉体に融合しているかのように、カードの四つ角が太股から突き出しているように見えた。客席から拍手があがる。
同じように、山から取ったカードを腕の付け根に差し込んで、反対の腕にもカードを肉体に挟んだ。
「痛いカい?」
導師の優しい問いかけに少女は首を振って否定した。
「変な感触はありますが…痛くないです」
導師が肯いて、首輪の下にもカードを押し付けて、肉体へと差し込んだ。
少女は首からつき出したカードの角を触れ、摘んで不思議がって居る。そうした間にも残った左足にも同じくカードを差し込んだ。
「不思議かい?でも、もっと驚くよ」
バランスの悪い片足吊りでゆらゆら揺れる少女の右足を掴むと、反対の手を身体に回し少女の白いお腹をさする。
「ふぇっ!?」
唐突にお腹を撫でられた感触に少女はビックリして身を強張らせた。さっと導師が身を引くと、その手には少女の脚が握られていた。断面にはカードが張り付いて、カードの数字ダイヤの7が読み取れた。
観客は一様に驚愕の表情をして感嘆の声を洩らした。
導師は手に持った少女のものであった脚に、頬擦りしてからテーブルの脚に立て掛けた。少女は何が起こっているのかまだ気付いていない。
流れる動きで今度は両腕を掴んであっさりと取り払ってしまった。 ここでようやく自身の手足が分離している事に気付いた少女は、みるみる内に表情が変わって慌てふためいていた。
やはり取り払われた腕にはダイヤの5と8が張り付いている。
まさかと思った観客も居ただろう…ボードに張り付いたカードに記入された数字であった。 胴体側の断面は、血液の噴出も無く、真っ黒な紙が張り付いている様に何も見て取れない。
しかもステージ上に置かれた手足が少女の意思によって動き暴れ回っている。
「えええええ?ナニ!これぇ・・・?」
「な?言っタ通り不思議だロ?痛みも無イのにバラバラになっちゃウンだ」
そっと頭を抱える導師の口調はどこまでも優しさを含んでいた。
「ん?コイツは邪魔だな…」
少女の首輪と両乳首を繋ぐ金色の鎖を握り込んで直ぐに開くと、鎖は首輪から外れて両乳首のピアスだけで垂れ下がっていた。その様を見て、幼いながらも想像力を膨らませ、自らの未来予想に頭が向いた様子だった。
「え?ちょっ…」
身体を振り揺らして導師の手から抜け出そうとするが、長い三つ編みを掴まれた。すっと左手を高らかに掲げ…
パチン!
指を鳴らすと、少女の頭は胴体から離れ、掴まれた三つ編みでぷらんと揺れた。張り付いたカードの数字は、やはりダイヤのAだ。
首を失った少女の身体はクネクネと身動ぎしていた。
少女の首をぶら下げた導師はテーブルのカードを懐にしまい込んで、そこへ少女の首を観客席に向けて置いた。少女は今にも泣きそうな表情で涙を浮かべていた。
割れんばかりの拍手喝采が観客席から巻き起こる。
逆さに吊られた胴体は背中を反らし、左膝を曲げるなどして暴れているのと同様に、床の手足も違う生き物の様にステージ上を這い回っていた。
「気分はどウダい?生きタままバラバラになレることなんて普通はなイヨ?」
少女の生首に語りかける導師は、テーブルに片肘をついて気軽な口調で話し掛けると、少女は口を開いた。
「…あれ?…喋れる…」
「アあ、首だけの姿デ居心地悪いカな?」
何とも言いい表せない微妙な、困ったような表情をみせる少女。
「このマま殺ス事だって出来るンだ。…僕はシミガミだからネ」
導師はバケツを胴体下に置くと、ボードに張り付いた上段カードを引き剥がした。途端に真っ黒な色が覆っていた首の断面から鮮血が流れ出し、下に置いたバケツを赤く染めて嵩をあげていく。
ビュクッビュクッと鼓動に合わせ、鮮血を吐き出す胴体はピクピクと痙攣して生命力を失っていく様を感じさせた。
「わたし…このまま…死んじゃうんですか?」
少女の首が自身の身体の状態を観て導師に涙声で問いかけた。
「ソウだよ。君はコの舞台で無残に殺さレて、生まれ変わるンダよ」
楽しそうに両手を開いて観客にアピールした。『おお~!』と歓声があがった。
少女の視線は自分の主に向けられた。本当に楽しそうな表情で舞台に歓声を贈っている。
青みがかった胴体が鮮血を流し出すのが収まると、血液で満たされたバケツが取り除かれた。
未だ動き回る左腕を踏みつける動作で、吊り下がった胴体に向けて手を振る導師の指パッチンで、残る左脚は胴体から分離した。重力に引かれて無情にもステージ上に胴体が転がった。脚に巻き付く龍の開いた口先のカードはダイヤのQだ。
 ボードから引っぺがしたカードを観客席に掲げて裏に返すと、ハートのAがプリントされていた。他のボードのカードを剥がしひっくり返すと、記入された数字のハートである。
再び客席から拍手歓声が導師に贈られて恭しく頭を下げる。
袖から箱が運ばれてきた。運んできたのはこの次に公演予定の人気№2マジシャンのルル嬢だ。
この場に知らない観客は居ない。導師のステージが終わっても、そのまま連続同じ席でルル嬢のステージを楽しみにしている客達だからだ。ルル嬢の登場に会場も沸き立った。
今回もラウンジガール同様に、竜をモチーフにした格好だ。
箱の上蓋を取り外して、ルル嬢は少女の分裂した部位を拾い、箱の中に投じていった。
ウインチに吊りっぱなしの左脚も導師の手によって箱の中に入れられた。
最後にルル嬢が少女の首を抱き締めるように抱え、自らも箱の中へと足を踏み入れて客席に向かって、元気一杯の笑顔で手を振った。上蓋には丸く穴が空いていて、固定金具を外す事で更に半分に分割された。半分づつの穴を首に挟むように合わせて金具を掛けると上蓋の完成だ。
ルル嬢が身体を畳んで箱に沈むと、上蓋が箱と合わさって固定金具を掛けられ、ルルの頭だけが箱から突き出している格好だ。
キャスターの付いた箱はクルンと回転させられ、何処にも脱出口などない事をアピール。
箱の中身は分割された刺青少女の肉体と、ルル嬢の身体が所狭しと詰まっている筈だった。嗜虐心の強い者ならば、そのままルル嬢の首を悲鳴と共に、鋸で引き切りたくなる様なシチュエーションである。
導師が袖から運び出したのは箱と同じサイズの四角い金属枠の内側に一面びっしりと剣身を備えた装置で、剣面の裏側に螺子ロッドとそれに回転運動を加えるモーターがある。もう一つ全く同じ装置であるが剣の向きが横向きだった。
それを二人の入った箱に固定金具で合体させるのだ。縦向きの剣を左側に取り付け、横向きの剣装置は後ろ側だ。
導師がマジシャンらしからぬ作業を行っている間も、箱から頭を突き出したルル嬢は鼻歌交じりにニコニコと笑顔を観客に振り撒いている。箱の中からは少女の震える声が「怖いよぅ…どうされちゃうのぉ…」と漏れ出している。
「サて、準備が整いマシた。お待ちカね!これヨり処刑のお時間デス!」
待ってましたとばかりに、観客から拍手歓声が嵐のように沸いた。なぜか処刑される本人であるルル嬢も大喜びだ。
『3!2!…1!』
観客も一緒になってカウントダウン。
電源スイッチが入りモーターが回転すると、ロッドが螺子運動で剣を箱に押し込んでいった。
「あ!来た!どんどん食い込んで…身体に刺さってるぅ…死ぬ!死んじゃうぅ♪」
「ナニ!?何なんなのぉ?…痛!…」
彼女達の反応を覗い知る限り、本当に剣が身体を刺し貫いている様子だった。
箱の反対側…前面と右側に血塗られた剣先が飛び出して装置が自動で停止した。
全ての鋭い剣先から鮮血が滴り落ち、箱の内部からも剣を伝って血が溢れ出した。ぐったりと項垂れたルル嬢の頭を、導師は愛しそうに撫でてから顎を起こすと、半目を開いてコプンと吐血した。箱の中の肉体はズタズタに切り裂かれてもはやどんな医療技術でも治癒は不可能だろう。
導師は装置を逆回転させて貫いた剣を戻し、箱から分離させて袖に戻した。
「are you ok?」
その言葉には応えないが、薄く目を開き命の光が消えていない事を表した。
「Shall I kill?」
「……は……ぃ」
短くそしてはっきりと肯定の意思を示したルル嬢に賞賛の拍手が起こった。
導師は用意していたチェーンソーを起動させて構えた。そのまま首を刈るのかと思われたが違った。
唸りを上げる連続刃は、だらしなく舌を出したルル嬢の頭頂部から入れられ、縦方向へと血の混じった肉片を撒き散らして進入した。頭蓋骨を削り脳漿を撒き散らして、あっと言う間にルル嬢の頭は顎といわず、首元まで真っ二つに両断されてしまった。両断された断面からわりと無事な舌が、ベロンと垂れる様が何ともグロい。
処刑が完了した様は誰がどう見ても完全に死んでいる。箱の中に詰め込まれたバラバラ少女も、滲み出す血と経緯から、無事である理由が無かった。
彼女の所有者である男性もそんな事を嘆きもせず、それどころか上機嫌で導師に惜しみない拍手を贈っていた。
 胸から赤いハンカチを取り出す。それをパチンと指を鳴らしてから、サッサッと振って投げるとハンカチは巨大化し、カーテンの様な幕に姿を変えた。
それをバサリと広げて無残な様相を呈す箱の上に被せた。 
直ぐに布の中央を摘んで、豪快に上へと持ち上げつつ取り払った。箱の上にはルル嬢が際どい衣装を身に纏いポーズをとって立っていて、その両足の間には少女の首が箱から突き出していた。
「…あれ?」
キョロキョロ首を廻らす少女の箱からルル嬢は颯爽と飛び降りて、蓋と箱の固定金具を外して少女を箱から出した。
立ち上がった少女は五体満足で着衣等も一切の傷痕や痕跡さえも残ってなかった。促されつつ何がなんだか分からないまま箱を出て、自身の身体を確認している。
ルル嬢は少女を抱き寄せ、空いた手を広げて観客にアピールすると、導師共々惜しみない喝采を受けた。
 再び導師が袖から用意しなのは、大きくて丈夫なビニール製の袋だ。それを抱き合った二人に頭からスッポリ被せ
て、口を上に手繰りつつ、中の二人を転がした。
狭い袋の中で二人は揉みくちゃになり、二人は交互に向かい合って69の体勢に納まる。袋の口を密封した導師は指をパチンと鳴らすと、一瞬にして袋は真空パックの様にぺチャンと収縮し中の二人の身動きを封じた。
袖から出した台には巨大な丸鋸が鎮座している。
真空パック状態の二人を台の上に軽々と乗せると、スイッチを入れて丸鋸を始動させた。
少女はまたも自分の置かれた状況を把握出来ないで居る。なにせ、目の前にあるのはルル嬢の股間に顔面の半分を埋没させ、視界にはかわいいお尻しか見えない状態で呼吸もままならないからだ。
恐怖心に身体を強張らせていると、反対に同じ状態のルル嬢が少女の秘所をパンティ越しに舌を這わしている感触がした。彼女なりに『大丈夫』と言いたいらしかった。
二人の置かれた台は自動でゆっくりと鋸に向かって進み始めた。
丸鋸がビニールの袋を切り裂き始めるが、空気が入って元には戻らない。喩えるなら熱収縮パックであった。
鋸の先端が最初に触れたのは、ルルの頭頂部であった。台が進むに連れて鋸の外円を赤く染めていった。
股間を舐める感触が無くなったか思うと、ルル嬢は身を強張らせ、小さく痙攣したあとオシッコを垂れ出して、暖かい尿が口に直接広がった。
すると、今度は股間に冷たい感触が伝わったかと思うと、次の瞬間には一瞬で沸騰した様に熱くなった。相手側のルルから力が抜けて脱力した。
股間からどんどん身体に這い上がってくる痛みに混乱していると、身体を引き裂かれている事にここでやっと気付いた。しかし、既に胸まで鋸は進み、心臓を真っ二つに引き裂いていた。
恐怖に目を見開くとお尻越しに見えるビニールに血飛沫が視界を赤に染め、お尻を半分に割る線が視界に映ると、目が焦点を結ばなくなった。少女は意味が分からないまま思考は途絶えていた。
 ステージには真っ二つに分割された少女が、体の断面を外気に晒して、見せてはいけない部分まで余す事無く観客に披露していた。
拍手喝采の大賑わいで、観客達の目を愉しませていたのだった。
導師は大きく一礼すると、そのまま幕は引かれ、ショーの終演を告げるのであった。
興奮しっ放しの観客たちはご満悦で、口々に傍の人達とショーの感想を語り合って酒を酌み交わしている。
少女の主である男性も、自分の娘が生きたまま真っ二つにされた事に憤りも感じさせないで、ラウンジガールの胸を弄りつつ酒を飲んで、『良いものを見た』と上機嫌に笑っていたのだった。
 そんな男性の下にルル嬢が少女を連れてやって来た。
それを認めた男性は「なんで生きてるの?」と言いたげな表情で娘を見た。
ルル嬢が復活するのは毎年恒例なので、不審に思わないが、実の娘の分割死体を目にした後で、すぐにこの再会は正直驚きだった様子だった。
「どうも!ご協力ありがとうございました~。元通りに戻しましたので、お返ししますね~」
ルル嬢の朗らかな笑顔に見蕩れて、持っていた煙草の灰を落としてしまう。
男性はあっと意識を戻し短くなった煙草を認めると、傍に戻った少女が口を開けて舌を突き出していた。
今まで通りにジゥとその舌で揉み消すと、少女も不味そうな表情で吸殻を嚥下した。
少しの間少女の顔を眺めた後、少女を抱き寄せて膝の間に立たせた。ズルっとローレグパンティーを引き下ろし、自身もズボンを下ろして逞しいモノを出す。
少女が主の意図しない行動に戸惑っていると、大股に脚を抱え上げられて少女の幼い膣口に男性自身を宛がい、そのまま抱えられた少女を引き下ろして貫いた。
濡れていない幼い秘所は男のモノを受け入れず、膣口の乾いた粘膜が擦れて裂けて血を散らした。
ルル嬢は空気を読んでか、その場を後に踵を返し、去り際に「次のステージもお楽しみ下さいね♪」と言い置いてから袖に戻る際に一度振り返った。
そこには、高く抱え上げられた左脚に描かれた『龍』が新年の喜びに打ち震えている様に見えたのだった。
今年は善い年であれば良いな・・・。いや、きっと善い年になる!そう感じたルル嬢でした。
A Happy new year !

イリュージョン / 辰年編 了
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